日本で20 年間にわたり写真家として暮らし働いてまいりましたが、このた
び、一身上の都合によりイングランドに帰国することにいたしました。
この間に多くの仕事やプロジェクトを通じて撮影した作品や、個人的に
撮った写真の中から、私がとても気に入っており、もっとも思い出深い作
品を数点選ばせていただきました。
私が日本で暮らした日々の記念として、これらの写真を皆様にご紹介させ
ていただけますことを光栄に思います。
From the many assignments, projects and my archive of personal photos
taken during that time, I have selected some of my favorite, and to me,
the most memorable images I have taken... it gives me great pleasure
in presenting these photos as a tribute to my time in Japan…
After 20 years of living and working as a photographer in Japan, I have
decided, (for personal reasons) to relocate back to my home in England.
D a v i d S t e t s o n P h o t o g r a p h y
“ S A Y O N A R A B A B Y & A M E N ”
E x h i b i t i o n & S a l e
2013 3/26 Tue. ~ 4/6 Sat. open 12:00 - 18:00
Gallery closed Sunday & Monday
Photo & Design by David Stetson
3月12日~24日
これらの写真は、青年海外協力隊員として同国に派遣された2008年~2010年の2年とその後の訪問の際に撮影したものです。
アフリカというと、最近起きたアルジェリアのテロを始め、モーリタニアのクーデター、ギニアコナクリ、ニジェール、ブルキナファソ、マリの騒乱と、何かと
不安定な状況下にあり、危険、貧困、病気、飢餓などの印象を真っ先に思い浮かべる方が多いようです。しかし、そのようなネガティブな印象とは裏腹に、私が
訪れたセネガルは、確かに貧しく、生活も厳しくはありますが、危険とは程遠く、平和と調和を何よりも重んじる人々の優しさと明るさに溢れた国でした。
“JAM”(ジャム)とはセネガルで話される幾つかの言語に共通する言葉で、日本語だと平和、平穏、調和といった言葉に置き換えられるでしょうか。とてもポジティブで、安らかな響きがあり、非常に好きな言葉です。
「ヤンギ チ ジャム?(あなたの状況は平穏ですか?)」
「ジャム レック、アルハンドゥリラーイ(平穏です。神の御加護のおかげで。)」
これは現地語の一つウォロフ語で交わされる挨拶の一例ですが、このような挨拶が何パターンもあり、また会話の中でもセネガル人は実によくこの語を使用します。
敬虔なイスラム教徒、キリスト教徒でありながらも、呪いやお守り、言霊などを重要視する文化の中にあって、意識的に、無意識的に多用されるこの言葉は、こ
れら外部からの宗教が入ってくる以前から息づく人々の価値観の反映であり、祈りの一部なのかもしれないと感じています。
これらの写真からJAMな空気を少しでも感じて頂けたなら、とても嬉しく思います。
広瀬 佳奈 (Kana HIROSE)