50歳を過ぎると気になってくるED。
加齢現象・老化だからしかたない・・・と済ませてはいけないようです。
男性ホルモン低下による症状ではありますが、動脈硬化の影響も受けるため、
治療により全身血管への好影響もあるという内容の記事を紹介します。
▢ 実は「セックスの再開」が目的ではない…すべての男性が勃起障害(ED)をいますぐ治療するべき恐ろしい理由「男としての自信を取り戻す」という話だけではない
笹井 恵里子ジャーナリスト (プレジデント 2025年1月3日号)
・・・EDとは勃起しないだけでなく、十分な硬さに至らなかったり、持続できないために満足な性交渉ができない状態で、40代の約35%、50代の約半数、60代の約7割が該当すると考えられている。
これを放っておけないのは、EDの根本原因が「動脈硬化」である可能性が高く、やがては心筋梗塞や脳卒中などの発症につながる恐れがあるからだ。海外で40~59歳を対象に、冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症など)とEDの関連を調査した研究報告では、疾患の重症グレードが上がるほどEDの発症率も、18%(グレード1)、57%(グレード2)、66%(グレード3)と明らかに高くなっている。
日本抗加齢医学会専門医・評議員で日本泌尿器科学会専門医の平野敦之医師(美健会理事長、ルネスクリニック日本橋院院長)は「国内でもEDのおよそ7割が血管系の問題から起きているといわれる」と説明する。
「男性が興奮すると、テストステロン(男性ホルモン)の作用によって、神経を介してペニスの海綿体の血管に一酸化窒素が出ます。これは血管をしなやかに保つため、そして血管を拡張させるために欠かせない成分です。しかし加齢などの要因でテストステロンの分泌が低下すると、一酸化窒素の出が悪くなり、ペニスの海綿体に十分に血液がいきわたらなくなってしまいます。この場合、いくらやる気があっても、勃起力が足りずにことを果たせないという結果に……。長引くほど、男としての自信も失いがちになります」
そういった性交渉の問題だけでなく、テストステロンが減って血管のしなやかさを保つ一酸化窒素の量が落ちてくると、全身の血管が硬くなり、動脈硬化につながって高血圧症に、さらには冠動脈疾患のリスクを高めてしまうのだ。
平野医師によると「ペニスの海綿体の血管は最も細いため、一番最初に動脈硬化の兆候が出やすい」という。つまりEDを自覚したら、「年だし、仕方ないか……」ではなく、心臓病や脳卒中の早期発見につながる重要なサインとして受け止めたい。そして血管の状態をチェックできる検診をお勧めする。
それでは、EDそのものは治療したほうがいいのかどうか。
▶ 治療は2パターン
結論からいうと、早めに治療をしたほうが局部だけでなく全身の血管にも良い効果があるという。治療としては2パターンあり、一つは服薬だ。
「国内で使用可能な薬剤は主に3種類――世界で一番最初に開発されたED治療薬『バイアグラ錠』(最近はフィルムタイプも発売)『シルデナフィル錠』、即効性があり硬さも出やすい『バルデナフィル錠』、マイルドな効き目で長時間作用する『シアリス錠』『タダラフィル錠』です。タダラフィル錠を1年以上服用すると、局所への血流を増やすことはもちろん、動脈硬化の進行を抑えることが学会でも報告されています。費用は1錠あたり安いもので1000円弱から1500円くらいです。それを1週間に1~2回程度服用するパターンが主流ですね」(平野医師)
それぞれの薬の副作用を下の表にまとめた。また虚血性心疾患の既往歴があるなど、服用している薬との相互作用によって血管を広げすぎるリスクを伴う人は使用できない。
EDのもう一つの治療は、「衝撃波治療」だ。
「人工的に発生させた衝撃波をペニスの皮膚表面から陰茎海綿体に照射することで細胞内外で反応が起こり、新しい血管の形成が促され、血管が若返ります。すると血流が良くなって勃起機能が改善するうえ、動脈硬化を予防する因子が全身に運ばれて体全体の血管に良い影響があります。副作用などの体に悪い作用もなく、安心の治療といえますね。ただし最新型の衝撃波装置は高価なため、日本には数台しかないことと、治療費用も1回5万~7万円と高額です。そして1回受けて終わりというよりは、4~6回くらい繰り返し衝撃波治療を受けたほうがいいと思います」(同)
とはいっても1回の治療で効果があれば、1年以上の維持ができるという。ずっと服薬を続けることと比較すれば、衝撃波治療を一度受けて薬は服用しないという選択も、費用対効果としては悪くない。平野医師のもとでも衝撃波治療を行っているため、多くの男性患者が訪れるという。
「みなさん恥ずかしがるのですが、加齢に伴っていずれは誰もが起きるのがEDともいえます。ですから、気後れする必要はありません」(同)
▶ 男性ホルモンを保てば仕事にも好影響
さてEDは、動脈硬化が主要な原因であると述べてきたが、そのほかには不妊治療などプレッシャーを感じるような性交渉の場面や、服用中の薬によっても引き起こされる。
「例えば糖尿病や脂質異常症の方は、病気自体も、またスタチン系やフィブラート系の薬そのものも男性ホルモンの生成や分泌を抑制し、EDになりやすくなります。胃酸を抑える市販薬も同様です。ほかにも精神科で処方される睡眠薬や睡眠導入剤に含まれるフェノバルビタール、抗うつ剤に含まれるイミプラミン、パロキセチンなどが男性ホルモンの分泌を抑えます」(同)
何らかの理由で男性ホルモンの分泌が抑えられると、EDのリスクが上がってしまう。逆から見るとEDがあれば男性ホルモンの分泌も低下している人がほとんどのため、できればED治療とともに血液検査で男性ホルモンのチェックを行いたい。テストステロン分泌低下のサインは勃起障害のほか、頻尿、内臓脂肪の増加、性欲喪失、倦怠感、筋力低下、集中力や気力の低下など。もし一定の数値以上にホルモンが低下していれば、保険適用となり月1000円程度で治療ができる。
一方で現在症状がない人は、男性ホルモンのテストステロンを維持できるような生活習慣(規則正しい睡眠、有酸素運動、筋トレなど)を心がけると、生活習慣病やEDの予防になるだけでなく、仕事の出来にも好影響が。
「テストステロンの分泌を高く保ち続けている人は、いくつになっても記憶力、判断力が衰えません」と平野医師が強調する。
「何よりやる気に満ちているため、仕事でも第一線で活躍を続けます。積極性もあるので新しい仕事に果敢に挑戦したり、時間を惜しまずに人に会いに行ったり、旅に出かけたりと、行動力も落ちません。テストステロンが男性の体と心におよぼしている影響は想像以上に大きいのです」
ホルモンの量が低下するタイミングは個人差がある。80代になってもそこそこのホルモン値を保つ人もいれば、40代で低下してしまう人もいるのだとか。ホルモンの急激な低下を防ぎ、公私共に良いコンディションを。
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