金山のまぼろし

全力で生きる!!

1 なぜ‥走り屋の道に誘う?‥

2005-10-26 01:58:48 | 幻の走り屋奮闘記エピソード1

 

 

1998年

僕が走り屋を始めたのは20歳の頃だ。

 

岡ちゃん(仮名)と会うたびに「走り屋はこんなにカッコいいし楽しいよ。」と走り屋のいい面を説明され、「だから一緒にやろう。」と頻繁に誘われていた。

岡ちゃんは好きなことだから話していても楽しいかもしれないが、僕は走り屋にも車にも全く興味なんかない。

 

職場の同僚が「俺、レガシィツーリングワゴンGT-B買っちゃったんだぁ。」とか「おやじのお下がりのクラウンワゴン乗ってる。」とか、自慢気に話す気持ちが分からなかった。

乗る車は軽トラでもいいし、しばらく前までは自分の乗っているコロナプレミオでさえ、名前がわからなかった。

レガシィツーリングワゴンを買った年上の同僚に僕の乗っている車の名前を聞かれて「わからない。」と答えたら「えっ!?わからないのっ!?」と「頭は大丈夫ですか?」的に驚かれたので後で車の説明書を見て名前だけ覚えたこともあった。

 

だから、岡ちゃんが走り屋の話を始めると「また話し始めた。」と思うのは必然だった。

僕は話をできるだけ車方面に行かないようにリードしていても、岡ちゃんは強引に車の話に持って行くことがあった。

 

興味のないチューンナップ雑誌やドリフトの雑誌を部屋に置いていかれ、走り屋の方向へアプローチされていたが、元々興味が無い上に“危な過ぎる遊び”の提案に抵抗を感じ始めていた頃だった。

 

しばらく会ってなかったうちにこんな危ない遊びをどこで岡ちゃんは知ったんだ?

僕は今のまま、釣れないバスフィッシングの趣味でいいかもしれない。

 

 

花粉症でつらい土曜日の深夜、「そろそろ寝ようかな。」と思いながらもTVのチャンネルを変えたら、目の前の16インチのブラウン管の中では暗闇の中でリトラクタブルライトがパカっと開いて探るように音楽が鳴り始めた。

 

そのリトラクタブルライトの車は走り出し、ノリのいい音楽と共にくねくねした道を魚が泳ぐように進んで行く‥。

 

「これって岡ちゃんが薦めていた漫画のアニメ版‥‥?」

 

そのまま30分間見入ってしまった‥。

‥面白いかも‥。

 

 

偶然にも岡ちゃんが薦めていた頭文字Dの第一話を観てしまったのだ。

 

見終わった頃にはつまった鼻がスースーと通っていた。

 

 

土曜日の深夜1時半。

アニメ“頭文字D”の放送開始だった。

 

 

岡ちゃんと遊んだ時に、偶然観てしまったイニシャルDのことを話した。

 

岡ちゃん 「あぁ、アニメ版やってたんだ。観なかったよ。」

 

 

イニシャルDのアニメを観てから、僕はイニシャルDに隠しきれない万有引力を感じた。

 

その後、僕の走り屋への興味が加速していくことになる。

 

 

しばらくして岡ちゃんに誘われて金山に行き始めた。

子供の頃に行って以来である。

 

僕は親からもらったオートマセダンに乗っていたが、土曜日には3人で金山に走りに行くようになっていた。

もう一人の友達は嶋田君(仮名)だ。

 

嶋田君はオートマのコンパクトカー“カルタス”、僕はファミリーセダン“コロナプレミオ”、岡ちゃんが“180SX”。

 

イニシャルDを何話か観てその気になりつつあった僕は、「岡ちゃんだけ速い車でいいな。」と思っていた‥。

 

カルタスは1000cc(FF)、コロナプレミオは1800cc(FF)、180SXは2000ccターボ(FR)。

 

3人で連なって走るけれど、岡ちゃんだけブッチギリで先に行ってしまう。

差が開くのは当たり前だけれど、それでも離されたくないので攻めると、僕の車はフロントタイヤがギャーギャー鳴る。

嶋田君のタイヤも鳴っている。

そのうちハンドルの利きが甘くなってくる。

タイヤがフワフワしてきて攻めづらくなってくる‥。

 

そんな状況で初夏まで我慢していた。

 

僕もスポーツカーに乗って一緒に走りたい、と思っても、岡ちゃんの車は新車で250万。

ローンを組んだとしても毎月5万円も払い続けるなんて首根っこを掴まれているみたいで僕は嫌だ。

 

僕には新車を買うお金なんてないし、運転は上手くないからぶつける可能性は高いはずだし‥、クルマ買うなら何がいいかなぁ‥。

 

 

 



コメントを投稿