「純平、考え直せ」奥田英朗

奥田英朗氏、約１年半ぶりの新作だ。
最近、どうも以前の勢いに陰りが見えてきた？感じで個人的にはイマイチ評価が続くが、このへんてこな表題はどうだろうか？
正直あまり期待せずに手にする。
雰囲気的には、「邪魔」「最悪」「最悪」に通じる作品かと思えば少し違う？
簡単に言えば、鉄砲玉に決まったチンピラの３日間を描いた作品なのだが、これが実に面白い。親分の命令で鉄砲玉としてお務めに向かうってこんな感じなのかなぁ～？とか単純に思ったいたとら・・・途中から雰囲気がかわってくる。登場人物がじわじわと表題のように「純平、考え直せ」とうったえてくる。そして読むもの皆が同様に叫びたくなってくるのだ。
まさしく、「考え直せ」のひとことになってくる。
奥田氏のうまいところは、ストーリーの中に今風を取り入れてくるところだ。今回は、掲示板だ。ストーリーの中にネットの掲示板をうまく利用してくる。これがすごくありそうな内容で、更に「考え直せ」という訴えにつながってくる。この展開は面白い。小説の中に仮想のネット掲示板があるような感じで、上手い！久しぶりに面白い奥田作品で満足だ。次回作は、再び軽いモノ？まぁ～とりあえず期待してみよう。