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岩波ホールが日本映画をかけるのは珍しい。しかも通常なら1ヶ月上映するのに、この作品はわずか2週間である。しかしこの作品は世界に出て行く価値がある作品だと思う。岩波ホールを信頼してるし。
基本的にこどもが主人公。しかもセリフを極力抑えている。正直、貧困児童を扱った作品を見て奇妙な安堵感を覚えるのは、自分より不幸な人々がいることを知らないとやってられない、自分も相当な貧困層に思える(って、映画を観る余裕があるのに貧困とは言えないが)。
たぶんこの監督は是枝監督フォロワーなのだろう。次の年号の時代にあの作風を引き継いで行くのだと思う。
こどもの貧困とは、親から切り離されているから起こる。ただの家族の貧困ではなく、こどもが家族や社会から切り離されて孤立した状態の貧困である。なんと言うか、ピュアな絶望とでも言えば良いのだろうか。まだ働ける年齢にも達しないうちに、未来を閉ざされると言うこと。救いようのない絶望は事情のある大人だけでなく、事情のあるこどもにも問題の時代。
どうして、常盤貴子とか石田ひかりとか、テレビドラマで主役をはれる役者たちが揃っているのだろうか。物語は淡々とした展開だが、終演後の余韻が半端ない。朝ドラ子役の鈴木梨央に泣かされる。まだ若いのに、僕より老獪したような表情を見せ、観る者を圧倒する。映画館を出ると雨。