DEEP ACIDなんでもかんでも日記・ヤプログ!より移行

言語文化が滅びる理由

 およそ言語の減少に拍車をかけた事件で、ルネサンス期の帝国主義にかなうものはないが(今後も言語帝国主義によって英語以外の言語が滅びたり話者を減らしたりするのだろう)、帝国主義は言語に限らない人類史に幅広い影響を持った事象であり、言語学的にはあまり面白味はない。帝国主義を含め様々な事象による地球上の言語分布の偏りや減少への影響について、素人なりに考察してみる。

○距離は関係ない
 基本的には言語は地続きで広がる。だから大抵は地理的に限られたエリアで言語は流通する。日本語が他のどの言語とも似ていない(いちおうアルタイ語族に属しているとされるが、漢字文化の影響を取り除いた“やまとことば”のレベルで日本語が朝鮮語やモンゴル語とどのくらい似ているか、と言う問題には決着がついていない)。
 その一方で、飛び地に類似の言語が分布するケースもある。「インド・ヨーロッパ語族」と言う名称から分かる通り、インドの言語(ヒンドゥー語、ベンガル語など)とヨーロッパの言語は親戚関係にあるとされる。文字もまったく異なるし、空間的に間には広大なトゥルク語族(トルコ語、カザフ語他)、セム・ハム語族(アラビア語他)などがあるにも関わらず、である。その一方で、フランスとスペインの間に、どちらの言語にもまったく似ていないバスク語が存在する。
 もし海を隔てて類似の言語が存在していたら、おそらく当時は陸続きだったなんて仮説にもなる(もしくは当時すでに海を渡れるだけの船舶技術があったのかもしれない)。言語学はルーツを探ろうとすると考古学までさかのぼる。ネアンデルタール人は壁画と言う形で文明を持っていたことを示したが、果たして言語は持っていたのだろうか。

○農耕文化が第一の理由
 これも言ってみれば帝国主義と同様だ。農耕文化は、土地を極めて有用な財産に変える。そうすると部族間での土地の奪い合いが始まる。領土拡張戦争の始まりである。農耕が始まらなかったら、部族や豪族などの集団形成はあり得ない。狩猟民族も、もちろん狩が1人でできる訳ではないが、移動を繰り返すため、大集団とはなりにくい。
 農耕は穀物など保管の効く食料を生産し、食べ物の“所有”を実現し、そして土地の“所有”をもたらした。つまり経済の始まりでもある。同時に、小さな言語が大きな言語に食われることの始まりでもあった。

○戦争や侵略による言語の減少
 戦争による占領行為は、言語の消滅を引き起こす一方、負けた側の言語も粘りを見せるとクレオールと言うミクスチャー言語が生まれる。2つの言語のミクスチャーの中途段階のピジン言語はある意味片言の言葉であって未完成だが、その二世が話すクレオール言語は話者にとって母語であり、それはすなわち立派に新しい言語である。
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