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12月に東山魁夷の展覧会で訪れたが、これで最後の訪問になるだろう、岩手県立美術館へ。1月に始まったばかりの展覧会がもう最終日前日だった。なので混んでいる。中央公園の雪の照り返しに慣らされて室内に入るとクラクラする。
明治、大正、昭和の時代の写真家。まだ写真が芸術写真として歩み始めたばかりの頃。お年寄りの観覧者が多いのは、たぶん幼少期の岩手の風景を思い出すためだろう。実際、作品はどれも見事にセピア色で、風景写真はノスタルジアに溢れている。もちろん人物写真や室内での静物写真もあり、この当時から光加減は技術が出来上がっていて、フェルメールなども連想したりする。
最初混んでいたがやがて空いてきて、広い展示室で静かに鑑賞していると眠気に襲われる。こういう夢心地も美術館の醍醐味。
常設展、展示を入れ替えたのか、去年の記憶と全く重ならない。ただ、舟越保武の彫刻だけは前回と同じで、特に聖女セシリアの美しさは引き込まれた。美術館自体が地方ならでは、広い土地を有効に使い、曲線美のある建物。盛岡を離れた後に、もう一度戻って来たい。