前回の帰省時(GW)にはすでに始まっていたが、予定がつかず、夏休み帰省でも間に合うので、本日訪問。美術館は基本月曜日は休みとは言え、さすがに祝日はやっているだろう。
入口に時間予約制とかあって、チケット買っても待たされるのか?と言う心配があったが、すんなり入れた。先ほどのプリキュアみたいなステージ入れ替え制ならまだしも、観賞型の展覧会でそこまでやる必要はあったのか?
本題に戻り、デ・キリコ展。若年期から晩年まで満遍なく網羅した回顧展。こうしてみると、シュールレアリスムと古典絵画の間を行ったり来たりしている歴史があることが分かった。やはりシュールレアリスムのパイオニア、という印象が強いのだが、この、迷いの多さがまた、デ・キリコの矛盾と不安のシュールレアリスム表現の根幹のように思える。
そもそも、ピカソのゲルニカほどでは無いにせよ、シュールレアリストたちが生きた時代は、二つの世界大戦を経験した激動の時代だ。宗教的世界観もほぼ消滅していて(というか、宗教ベースのモチーフを、彼の生み出したキャラクター、マヌカンを使って描くことで、宗教をあえて無力化しているようにすら思える)、不安と絶望が、その一方で、原色ベースで描かれたポップアートの源流になった軽みもある。
あと、マヌカンというキャラクターだが、絵画でこのように繰り返し現れるモチーフはそれまで星人しかいなかった訳で、マンガのように作者がオリジナルでキャラクターを生み出すこと自体、キリスト教世界では相当革命的なことだったのではないかと察する。
つまるところ、現代人の迷いの姿をギュッと凝縮したような展覧会だった。
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