監督:Oliver Stone
主演:チャーリー・シーン、マイケル・ダグラスほか
ハーバードのビジネススクール出と思われる若手証券マンのフォックス(チャーリー・シーン)が、成り上がるべく大物ゲッコー(マイケル・ダグラス)に近づき、彼に弟子入りする。ゲッコーはフォックスに株取引における情報(内部情報)の重要性を説き、フォックスはほとんどインサイダー情報に近いような情報を集めることで、大きな利益を上げるようになる。ただその後フォックスは父親の務めるブルースター航空の買収に絡んでゲッコーと対立し、インサイダー情報を収集する「兵隊」としてゲッコーに利用されていたことに気づく。ブルースター航空一筋で働き続けた危篤の父親のためにフォックスはブルースター航空株をマネーゲームの材料にしようとしたゲッコーと株式市場で対決。無事ブルースターを守りきるが、翌日インサイダー取引の疑いで逮捕される。ゲッコーも恐らく逮捕されるのだろうと言うことを示唆するシーンの後、これからは気持ちを入れ替えてブルースター航空で働くよ、と宣言して裁判所に向かう(たぶん実刑判決が出て服役することになると思われる)シーンで映画は終わる。
感想:時代を象徴するような映画だと思った。公開は87年で、物語の設定では85年のアメリカ・ウォール街が舞台となっている。85年といえばプラザ合意の年。各国が為替への協調介入を行ってアメリカの円高を押さえ込み「双子の赤字」をどうにかしようと動き始めた年に他ならない。つまり、アメリカは当時はまだものづくりで生き残るつもりでいたということだ。だからものづくりに一生懸命汗を流す人たちは素晴らしいし、金を右から左へ流すウォール街の連中はとんでもない、という認識が一般的だったのだろう。言い換えれば19世紀後半から20世紀前半にかけて隆盛を誇った工業国アメリカの残像がまだかれらに残っていたということだろう。それ故にこの映画では、フォックスとゲッコーは最後には逮捕されて泣きを見るし、ラストシーンで金融から足を洗う決断を下したフォックスはこれから懲役刑が待っているにもかかわらず、怖いぐらいに晴れがましい顔をして裁判所へと向かっていく。これはものづくりこそアメリカの象徴だという観念のなせる技と言って差し支えなかろう。
翻って現在、アメリカでこの映画をリメイクしたらどうなるのだろうか?非常に興味がわく。
現在のアメリカは一時期ほどではないにせよ投資による利益に多くの国民が依存している。サブプライムローンなどはその好例だ。それでもアメリカ人はウォール街の人間を嫌悪するのだろうか。はたまたアメリカンドリームの象徴として描くのだろうか。
まだ見ていないがこの映画のリメイクは今年日本でも上映されているので、近いうちに見てみたいと思っている。
(挿入歌がエヴァのエンディング曲であることによるテンションUP度:★★★★★)