形而上絵画です。
私の好きなサルバトーレダリの師匠みたいな人です。
シュールレアリスムの元祖です。
凄い緻密な絵も有るかと思えば、
思いっ切り手抜きしているような絵も有りました。
現代のポップアートの元にもなっています。
ギリシャ神話から取ったアイデアが、かなりモチーフにされています。
光と影の部分がはっきりし、太陽の光は強いのに、空は何故か暗い、
広場に有る塔も、何かを象徴するかのように、何度も描かれています。
室内では、遠近感がおかしく、何故か三角定規のような物が、
たくさん置かれていて、鋭角を創る事で、退屈になる室内を、
緊張感で埋め尽くしているように思えます。
代表的な絵では、のっぺりした人形の顔の真ん中に穴が開いている。
人間の情念を、完全否定したかのような、物体になり、
しかし、その暗い奥には、それを見ている自分の深層心理を、
映しているかのようです。
キリコの絵を見ていると、最先端物理学の、量子もつれのように、
見ている人間の思念によって、現実が変わってしまうのを、
知ってたと思えるような、錯覚がしてしまいます。
11次元有るといわれている最小単位を、遠近法を歪ませ、
それを、まるで見たかのように、二次元のキャンバスに描いている。
一枚の絵の中に、超近視から、超巨視までを、簡素に描き、
その真ん中に、ぽつんと人間がいる。
私は、子供の頃白黒テレビで見た、アメリカのテレビ番組の、
ミステリーゾーンのシーンで、4次元空間に一人取り残される恐怖を、
久しぶりに思い出しました。
たぶん、心の中には、その時のトラウマが、
まだ、そのまんま残っているのでしょう。
そのせいか、誰もいない、荒涼とした風景に何故か、心が惹かれます。
そして何故か女性にも、それを感じる時が有り、刹那の恐れが出てきます。