雑木囃子

子ヤギを前にみうらじゅんはどう言うのか

はーい

はいはーい


最近のダサい言い回しで
〇〇過ぎる
というのがある。

でも
子ヤギは
かわゆらっし過ぎやしないか。

持ってる言葉が少ない人々が便利に使う誇張言葉が昔から何かしらある。
ウッソー
マジー
チョー
ガチ
フツーに
メッチャ
などがそれだ。

持ってる言葉が少ないものだから、市民権は得てるらしいけど言霊を畏れ見放されるのを恐れダサいのはイヤな人が使わない、ってな言葉を連発すると安心だからだ。

だから私は、メッチャ派の人たちにたまに聞く。
「メッチャってどのくらい?」って。
答えは
死ぬほど
とてつもなく
この上なく
とか、まあそれもだいたい同じことを言う。

アナウンサーとかももはや流行に流されるのが庶民的アナウンサーの証らしく、平気でメッチャメッチャメッチャメッチャ言う人もある。
アナウンサーと言えば言葉のプロだと思っていたからがっかりだ。
言葉のプロという立場は変わらぬままだから、プロも認めるダサ言葉として、メッチャは止まらない。

大勢におもねる世の中では、まともなこと言っても少数派なら負けとなる。言霊に見放された多数のメッチャ派は意気揚々安心してダサ街道の真ん中を歩くことになる。

私は、そいつらに道を譲っても構わない。
自分で道を作って歩けるから、メッチャ派は草木も生えぬほど踏み固められ枯れたメッチャ街道をゆけば良い。
幸いに、メッチャ派の人たちは、自身のダサさに気づいていない。

立場を変えれば2秒くらいでわかる。
では質問ね。
あなたが社長だったらやたらメッチャメッチャ言う人を雇いますか?
まったく没個性のそんな人のほうが都合がいい会社なら雇ってもらえるが、個性や能力を求める会社では雇われないか、雇ってから社長が後悔することになる。
もっとも、そんなまともな社長も少なくなったかもしれないが。
かくいう私も社長ですが、雇うほどの仕事はしてないのであれですよね。

こころの狭い私は、個性を大切にして欲しがってるのに没個性を分厚くまとっている人たちに苛立つ。そういうのも文化じゃないか、流行り言葉は廃れるからほうっておけばいい、別に悪いことしてるわけでもなし、などの、優しい大人にはなれなかった。
ていうか、大人も平気でメッチャメッチャ言ってるな。

また誰しも、言葉を失う、ってこともある。
その結果は、言葉を持っていないメッチャ派と同じになる。
子ヤギのかわいらしさに言葉を失う私。
メッチャメッチャ言うな言葉に見放されるぞと日々若者に言う自分がそう言うわけには行かないので、体裁を繕うために言うのは
メチャンコリックにかわいいなー
って。そう言う。
それなら言葉を失いつつも踏みとどまった、メッチャをアレンジした私の言葉になるからな。

ところで、メッチャは方言から派生しているわけだから、そもそもメッチャお使いの地域の方々はなんか嫌なんじゃないかな。
でもさ
たまにいるよね
急に関西風にしゃべる
ダサ関東の人!
あれもすっごくダサいよな。

子ヤギはかわゆらっし過ぎる!
メチャンコリックにかわいい!
言葉を失うほどのものに出会うとそうなっちゃう。
そう考えると、メッチャ派の人たちを前にしているなら、こまめに言葉を失うほどのものを差し出せていることになるか。むしろ敏感な人たちなのか?

でも勘弁してほしい
わーメッチャ山!
とか
フツーにうまい!
とか
メッチャフツー!
とか
ばかまるだしはやめたほうがいい。
こんな世の中にしてしまったのに私も加担してますから、申し訳ない気持ちになるわな。

そんな私が素敵と思うのは
言葉を作る
みうらじゅん。
カミ!
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