4月10日というのに終日雪である。鳥たちが餌を見つけられないのかたくさん庭に来る。読んでいた本も終わってしまったし、やることがないので、縫い物などをした。パッチワーク同好会に入っているので。他のメンバーは緻密な美しい作品を作っているが、私は杜撰でそういうのはダメなので、ブランケットを作り始めたら、これはまた縫うところが多い。いずれにしても私向きの仕事ではないなあ。布は大好きなのだけれど。
小学校の頃は縫い物に苦手意識はなかった。布で小さな人形(おぼこさんと呼んでいた。)を作って着せるものも作ったり、好きな遊びだった。ところが中学になったら家庭科で作ろうとしたブラウスの前身頃と後ろ身頃のサイズが合わない。浴衣の襟を二つに切ってしまって先生に「あーあ、やっちゃった。」と言われた。毛糸の靴下は左右の大きさが盛大に違って、優しい先生は「スキー靴履けばわからないものね。」と言ってくれた。高校で襟付きのブラウスを作るとなってもうお手上げ。隣の席のタミちゃんが全部やってくれた。大学の家政学部を薦めてくれた先生がいたが、家庭科と同義語だと思っていたので、ハナから避けた。
長い間この家庭科というのは女子だけが学ぶものだった。それになんとなく反発する気持ちがあって、縫い物なんてできなくたっていいや、と 開き直ってもいた。男子高校にはないこういう科目が私のいた女子校では必修だった。学問をする時間が男子より少ないと悔しかった。
近所のカズコちゃんのお父さんは腕のいい和裁の職人だと評判だった。私の父は「裁縫だって料理だって一流なのは男だ。」と娘に向かって言っていた。かくて私は男性の方が優れていて女性は能力がないのだとすり込まれた。いや父のせいだけではない。世の中がそう考えていたと思う。「女が大学なんて行ってどうするんだ。」「女に中学生なんて扱えるわけがない。」などとと言われるのに反発して肩肘張って生きてきたが、実は私の中に古い刷り込みは染みついているなあと感じることがある。新しい世代はもっと自由に生きればいい。美しい布は男性も女性も好きでいい。
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