レール。

目の前に見える２本のレール。

そのレールは続いているけれども…

決して平坦なものではない。

右に左に曲がりくねったり…

急な坂道を登らなければならなかったり…

また降らなければならなかったり…。

そしてやがて２本のレールは分岐を繰り返し終点へと向かう。

レールがあるから…そのレールに乗っかってただ走るだけではなく…

そのレールを敷設するのにどれだけの労力が必要だったか…。

それを考えさせられる『旅』だった。

勢いにまかせてレールの上を全力疾走していると…カーブを曲がりきれなくなり脱線する。

単線区間では列車行き違いの段取りをしていないと同じ線路上で列車同士が衝突する。

人間関係にも言える事だが…自分の思うままに行動していると…

周りとの調和がとれないのだ…。

『決められたレールの上を走るのが嫌なら自分でレールを敷け！』

つまりはそういう事。

何もない場所にレールを敷く覚悟があるならば…

その労力は決して苦痛には感じないだろう。

何もかもを乗り越えてレールを敷き終えたなら…

きっと素晴らしい景色が見えるはず。

人の敷いたレールの上ではあるが…

私はそれをこの『旅』で見てこようと思った。

高い山を登り切り…

頂上へ達した時…

窓の外に広がる景色は素晴らしいもののはずであった。

しかしやはり…全ては私に味方してくれなかった…。

自然は私に試練を与えた。

素晴らしいはずの景色は雨や雲によって…

その全貌をさらしてはくれなかった…。

『また出直して来い。』

自然は私にそう語りかけたような気がした。

だからまたいつか…

その景色を見るために…

私は『旅』に出る事だろう…。

今度は自分で敷いたレールの上を走って…。

Eiichiro