とろろご飯
突然のある日の事、かれこれ27年来の親友の実家に足を運んだ。
顔を見てほっとした、と言うか、させてくれたのは、彼女や家族の私への優しさ・思いやりだったのだと思う。
優しい笑顔といつもと変わらない振る舞いに、心中を想うと、涙が溢れる自分が申し訳ないと思った。
わかっていても、受け入れたくない事の1番の哀しみと苦しみは、この事実より他はないと私は想う。
生きてこそ...すべての事は愛しく有り難く、感情など後からなんとでも調整出来るのだと言う事。
何ひとつ周りに存在する出来事や人々との関わりには縁があり、無駄も当たり前もないのだと言う事。
だからこそ、何事にも人にも、真っすぐ誠心誠意で目の前に向き合いたいと真実に想わせてもらう出来事です。
そのある日の夜、帰り際、彼女とお母さんから、(これはお父さんの作っていた最期の長芋、これだけはもう来年からないや、もう作れないから、是非食べてね。)と渡してくれた。
美しいずっしりとした、長芋は、お父さんが真摯に研究を重ね賞状迄頂いている程の立派な物。
食べ物は、見た目には消えてなくなる物だけれど、食べるわけだから、自分自身の体内に入る、大切な物で内面と密接な関係を持つ。
特にカジュアル過ぎて、自覚していないだろうけれど、実は心によりダイレクトに残る物のように思う。
大切に有り難く、まずは、とろろご飯にして食べたよ。
甘くて、粘りがしっかりして物凄く美味しかったよ。
彼女とお母さん、そしてお父さんへ
心から心から、ありがとうを想います。
(忙しいのに来てくれて、本当に嬉しかったよ、ありがとうね、気をつけて帰ってね)とハグをして別れた。
私達は、今も変わらず互いを尊重し大切に思いやれる真心を持ち合う関係性、温かさ。
お父さんがまたそれを気付かせ繋げてくれたね、お父さんありがとうね、私達は語らずとも、それぞれに感じているよ。
とろろご飯が、真心いっぱいであったかいや...。