エラリイ・クイーン(エラリー・クイーン)
探偵エラリイ・クイーンのプロフィールは、それ自体が謎である。 『最後の一撃』によると、エラリイは1905年生まれで双子座ということになっているが、父親との年齢差や、彼の扱った事件の推定年代などから、さまざまな矛盾が生じてくるため、この『最後の一撃』での記述は信憑性に欠けると言わざるをえない。 また、エラリイの性格も途中から大きく変化しており、それを精神的な成長ととらえる見方があるいっぽう、ジュリアン・シモンズ『知られざる名探偵物語』のように、探偵エラリイは二人いたとする説の根拠にもなっている。
☆エラリイの活躍の時系列についての大胆な仮説はこちら。
☆エラリイ・クイーンの風貌 <エラリー・クイーンは父親の上を六インチも抜いてそびえていた。肩か角張って、歩くとからだが軽快にゆれていた。オックスフォード・グレーの服を着て、軽いステッキを携えていた。鼻の上には、こんなに運動家型の人間には、ちょいと不釣り合いと思われるものがのっかっていた。――縁なしの鼻眼鏡である。しかし、その上にある眉毛、面長の顔の微妙な線、輝く目は、行動人というよりも、むしろ、思索の人のそれだった。>(井上勇訳『ローマ帽子の謎』) 上は、エラリイ初登場のシーンでの描写である。父親クイーン警視から事件現場に呼び出されたエラリイは「あなたのおかげで、ぼくは愛書家の無上の天国からひきずりおろされたんですからね」と、ファルコナーの初版本の取引を中断されたことをぼやいている。初期のエラリイには、引用癖が鼻につく、ジレッタント風のお坊っちゃまというイメージがつきまとう。
(Erirakuin_Rika)