エロゲ感考おきば

エロゲの感想をメインに、時たま考察を綴ろうと思います。ネタバレありで書きますが、注意書きは入れるようにします。

銀色、遥か_べスリー√感想

2019-05-02 19:21:40 | エロゲ感想



はじめに
べスリー√最高でした。このルートとにかくCGが良かったり演出が良かったりで何ていうかとてもセンチメンタルな感情にさせられる場面がけっこうあります。一言でいうとエモいです。そういうわけで雰囲気がよくて個人的に『銀色、遥か』の中で一番気に入っております。べスリー√が評価が高いことを知っていたので、この作品のおおとりとして最後にプレイしてみたのですが大正解でした。最後に一番いいのをもって来たおかげですっきりこのエロゲを終えることができました。本当は少し名残惜しいですが…。


べスリーについて

声を上げて喜ぶというよりは、微笑み返してくれるような優しい印象です。そして普段大人しいですが、時折大胆だったり、突拍子もないことをしたりします。絵が上手でユーモアのある一面もあります。何ていうか芸術家っぽいです。一言で言うとマイペースっていうのかもしれません。おっとりしている性格や喋り方のおかげなのか、一緒にいるとほっとします。そして心が暖まります。そういう存在がべスリーなのです。
最初は色々あって素っ気ないのですが、徐々に仲良くなって話してくれるようになっていくのでその過程を楽しむのもポイントの一つだと思います。





※以下ネタバレ含むよ




ストーリーについて

・中学生編

 入学当初のべスリーはどこか寂しそうでふさぎ込んでいました。春になって母親が亡くなったからです。そんな状態のままカナダから日本に引っ越ししてきて馴染みのない生活を始めます。慣れない場所で知らない言葉で生活しなきゃならないなんて相当ストレスを感じたでしょう。放課後は一目散に帰ったりしてました。ワンルームメンバーで山に登るときも直前までためらってたりしました。けっきょく現地集合しました。
 
 最初こそはふさぎ込んでいましたが、雪兎と遊んだり、他のワンルームメンバーと一緒にいるうちに幌路での生活にも慣れていきます。そしてワンルームメンバーでしばれ町という日本一寒い町に行きます。べスリーと雪兎は二人夜中に抜け出して一緒にオーロラを見ます。このときべスリーは雪兎にあと一年でカナダに帰ることを打ち明けます。雪兎はべスリーがいなくなることに動揺していました。その後カナダに留学できるように英語を必死になって勉強し始めます。ここのシーンがただただ美しかったです。

 この当時、べスリーにとって雪兎は親友といった立ち位置にあったのだと思います。それが新鮮で心動かされるものがありました。あと雪兎をまだ恋愛対象として認識していないべスリーは、一緒にいった瞰望山でのスケッチに雪兎を書き込もうとするのですが、恥ずかしくなってやめてしまいます。こんなところが初々しくてよかったです。

 自分の気持に気づいた雪兎はべスリーに告白するのですが、カナダに帰らなければならないからと振られてしまいます。銀はるで唯一振られるのが新鮮で切なかったです。それでも諦めきれなかった雪兎はカナダに留学できる高校を受験します。べスリーが帰国する日にそれを打ち明けようとするのですが、雪の影響で結果が配達されるのが遅れます。妹の雪月たちに協力してもらい、なんとか空港にたどりつきます。偶然にもフライトも雪の影響で遅れていたため、なんとかべスリーに会うことができました。べスリーに留学しようとしていたことを話します。高校からの封筒を開けるわけですが、結果は不合格でした。残念だとは思いましたが、この頑張っても必ずしも救われない感じが個人的に気に入ってます。そういうわけで高校生活をべスリーと過ごすのは無理かと思われましたが、なんとべスリーも日本への留学を受けていたのでした。そうしてべスリーの方から留学してきて、日本でのべスリーとの生活が再び始まるのです。






・学園編

 高校生活が始まり、べスリーが留学してくるのですが、他のルートと違ってホームステイ先はももちゃん先生の家ではありません。雪兎の住む新見家なのです。こうして愛し合うもの同士の一つ屋根の下の生活が始まります。おはようやおやすみなど、一緒に暮らしてべスリーと挨拶するなど生活に充実感があります。また、お風呂に入ろうとしたら先にべスリーが入っていて覗いちゃったというラッキーで助平なイベントもあります。


 
 学園編では当然いちゃいちゃしていたわけでデートでゲームセンター、瞰望山、カラオケ、プールなどにいったり、一緒にジャンボストロベリーパフェを食べたりしました。あと唐揚げを手作りして食べさせてくれるシーンが好きです。




 当然えっちなこともするわけですが、雪月ちゃんに見られそうになったり、両親に見つからないように頑張ったりします。そしてえっちに関して、べスリーは倫理観がけっこうしっかりしていまして、妊娠しないようにピルを飲むことになりました。そしてピルを買うために雪兎はアルバイトをしてお金を貯めます。これぞ青春って感じのやつです。そしてピルを買うまでバイトで溜まった疲れをべスリーに口で癒やしてもらったりもします。



 そして雪兎たちは学校では放送部に所属しており、コンクールの応募作品として「幌路雪まつりドキュメンタリー」を制作することになりました。雪まつりで雪像をつくりながらその過程を作品にします。べスリーの方も留学のレポート「SNOW FESTIVAL」のテーマとして雪まつりについて書くことができるのでこのテーマは一石二鳥でありました。

 何だかんだあって申請に通り、実際に雪像を作ることになりました。べスリーがデザインして、雪兎たち放送部の面々と道桜大生と協力して雪像アートをつくるわけです。しかし公開までわずかというときに、気温が例年より高かったせいで他のところが作っていた雪像が崩れてしまいます。そのせいで雪まつり委員会が複数の雪像の制作を中止するよう呼びかけ、不幸にも雪兎たちの雪像にもその呼びかけが下ります。なんとか状況が回復し中止が外されるのを願いながら、委員会に抗議しにいったりします。しかしけっきょく雪像は温度が高かったために一部溶けて崩れてしまいました。今までの頑張りとか思い出が作れなかったことの悔しさから涙を流します。完全に失敗に終わってしまいます。
 
 しかしここで雪兎があるアイデアを思いつくのです。地面に雪が積もっておりまして、これを使って足で地面に絵をかけるのではないかと。早速べスリー達と道大生と協力して瞰望山に雪の結晶の地上絵を作りました。雪像作り自体は失敗しましたが、自分たちの活動の足跡を残す事ができました。べスリーはこのアートを作り終えた後、こういっております。「疲れたけど、心は暖かい」と。べスリーのこのような感じの言葉には、悲しくないけど何だか嬉しくってジーンとさせる力があります。



・アフター編 inトロント

 べスリーのアフターはトロント編と幌路編があります。神かよ。
 今度は雪兎が留学してカナダのトロントに向かいます。
 トロントでの生活はべスリーありきでしたが、周りにも魅力的な人がいて賑やかしてくれました。そんな大学時代の同僚を紹介したいと思います。


まずはエミル。南アフリカ出身。雪兎のルームメイトで、陽気で感情表現豊かで馬鹿やってるが、いいと思ったことははっきり言える気のいいやつである。




二人目はリリアン。べスリーのルームメイト。気が強いというか思ったことをはっきり言うタイプで結構人を傷つけることもあるが、それで救われることもあるっていう感じ。




三人目はジェイク。元祖ツンデレ。酔った勢いでべスリーとリリアンにヌードデッサンのモデルをやってやる言ってナンパしてリリアンに追い返される。孤独で寂しそうな印象で、根は弱いが強がりで自意識をこじらせてしまった性格である。きつく当たられても温厚な雪兎のおかげで仲良くなって、仲良くなってみると案外いいやつである。親が色々あったらしい。




主にこの五人で大学生活を送るわけです。
一緒に雪で遊んでかまくらを作ったり、ディベートコンテストと絵画のコンペで協力しあって賞金を山分けしたり、試験勉強を一緒に頑張ったり…そして無事に合格して大学を卒業します。あの帽子を空に投げるのが好きです。




・アフター編 in幌路

 二人は幌路に帰って来て同棲しながら働き始めます。べスリーは英語教室の講師をしながら絵を描くことを続けます。当面の間は配偶者ビザを取るためにお金を貯めていました。絵を書くために、べスリーは樹の精ハマドリュアスになりきってみたり、熟睡してしまわないために床で寝てみたり、この頃からべスリーは独創性を発揮し始めます。



 そして雪兎の協力によって、(予定の管理や広告方法など)によってべスリーはついには人気を集め、個展を開くまでに至ります。絵描きとして十分やっていけるようになったので、英語講師をやめることになりました。べスリー自身は絵を書くことが第一ではありましたが、英語講師をすることを十分楽しんでおり、子どもたちとの別れを心の底から惜しんでいました。このときの、子供をあやしているべスリーがなんか新鮮で良かったです。

 イースターというキリストのお祝いにあやかってべスリーがある遊びを始めます。紙に書かれたヒントを元にイースターエッグを見つけろと言うのです。そのヒントに従って瞰望山に行って雪を掘ってみると簡単にイースターエッグが見つかりました。べスリーに割ってみてと言われて言う通りにすると中から指輪が出てきました。以前雪兎はべスリーに指輪を渡しましたが、そのお返しというかお揃いのものを持ってもらおうと考えたわけです。同じ指輪は見つからず同じブランドのものでしたが嬉しかったです。雪月と雛多に協力してもらってこのサプライズをやるわけですが、ユーモアがあっていいなと思いました。

 それからしばらくして二人は式を挙げます。雪兎の両親やワンルームメンバー、べスリーの家族やエミル、リリアン、ジェイクといった大学時代の仲間。そんな幅広い色んな国の人達から祝福を受けます。そして国際色が強いため、雪兎とべスリーは互いに謝辞を訳しあうという少し変わったはじめての共同作業をしておりました。この訳しあうところを見ていると何というか暖かい気持ちになりました。二人は目の前の人達に感謝の言葉を告げていきます。そして最後、べスリーは子供の頃亡くなっった天国の母親に、産んでくれてありがとう、愛してくれてありがとうとそう告げるのです。もうここで抑えきれず自然に涙を流してしまいました。ほんと最後まで最高でした。ありがとう。

そしてまたEDが良かったんですよ。結婚式でみんなの似顔絵を書いたと言っていたんですけど、その似顔絵がべスリーのこれまでの半生を物語ってるわけでして、お母さんが亡くなって落ち込んでるべスリーとか、雪兎に出会って明るくなるとことか最高でした。最後ウエディングドレスを身にまとって子供が産まれるところも最高でした。



考察

「雪はね、小さなちりやほこりなの。それが、空の上まで巻き上げられると、雨と出会って結晶になるの」
「結晶どうしがぶつかり合って、一緒になって、だんだん大きくなっていく…それが、雪なの」

 べスリーの母親、エリシャさんの言葉です。彼女は絵描きでした。冬の雪まつりの絵なんかを描いてはまだ幼かったべスリーを喜ばせました。母の影響を受けてか、べスリーは絵を描くのが好きになっていました。そして冬も好きになっていました。けれど春が嫌いになりました。春先にお母さんが亡くなってしまったからです。彼女はふさぎ込んでしまいましたが、そんな中父の転勤が決まり、日本にやってきます。慣れない場所で、見慣れない人たち、言葉もよくわからない環境でべスリーは生活を始めます。その上、父のパイロットとうう仕事の都合から家でも一人になることが少なくありませんでした。
 そんな中で、雪兎に出会います。椛に出会います。雪月にも雛多にも瑞ねぇにも、ももちゃん先生にも。こうしてべスリーはひとりぼっちじゃなくなりました。
 
 父の仕事の都合からカナダに帰らなければいけなくなりました。出会いがあれば同じ数だけ別れがあるのです。雪兎とべスリー二人は空港でさよならをしました。しかし再び出会います。べスリーが幌路に留学してきたからです。そして再び別れがやってきます。しかし今度は雪兎がカナダの大学に留学して再会を果たすのです。彼女たちは、場所はどこであれ、一緒にいることを望みます。生活する上での第一条件が周りの環境じゃなくて人なんだと思い至りました。大学生の頃、雪兎はカナダで就職しようとします。べスリーのことを思ってです。べスリーは、雪兎ならカナダでもやっていけると言いながらも、日本に戻ろうと提案してきます。お金が稼げるからとか他にも理由はあったのでしょうけど、一番の理由は幌路にいる人たちではないでしょうか。べスリーにとって日本はワンルームメンバーしかり親しい人がたくさんいるっていうこともあるでしょうし、それは雪兎にとっても同じことです。カナダには大学で一緒にいたメンバーがいますが、卒業したらみんなバラバラになってしまいます。だからべスリーは、そうして親しい人がいなくなったカナダで働くことになるだろう雪兎を慮ったのだと思います。その点べスリーなら日本でも友達がいっぱいいますし。
 
 彼女にとって一番大切なのは名誉とか成功じゃなくて、人との関係の中にあるのではないかと思っております。彼女の理想とする生活空間は、幌路とかアルバータとかそういう単純な場所ではなくて、大切な人たちに囲まれた環境なのではないでしょうか。EDに出ていたように人に囲まれた環境なのだと思います。
 
 そしてべスリーは親しくなった人たちを本当に愛おしく思っているんだなと思います。例えば、英語教室の子どもたちとの別れを名残惜しそうにしていたり、べスリーは雪兎だけを愛して生きているわけではありません。もちろん雪兎が一番でしょうけど。彼女の隣に雪兎がいて、さらにその周りに彼女の大切な人達が輪になって広がっているようなイメージです。



「人の絆とは不思議なものです」
「この会場にいる方々は、みんな、私たちと関わりのある方…絆によって結ばれている人たちです」
「私とユキトは、みなさまとの絆に助けられながら、ここまでやってきました」
「これはけして大げさではなく…ここにいる人たち、誰か一人がいなくても、今の私たちはなかったと、そう思います」
「みなさまに出会えたこと…絆を交わしたこと…そして…何よりも大切な人に出会えたこと…そのことを、今、心から感謝しています」

 結婚式でのべスリーの言葉です。謝辞だから言った言葉ではありますが、それでも実際、べスリーにとって周りの人たちっていうのはかけがえない存在なのだと思います。

 雪兎と出会って一つの結晶になって、それから椛に、雪月、雛多、瑞ねぇにももちゃん先生、まりあに、雪兎の両親と出会ってどんどん大きくなっていった。そしてリリアンに、ジェイクに、エミルに出会って、べスリーの人生という結晶は出来上がっていったのです。彼らのうち、誰が欠けても今までの人生は歩めませんし、彼らがいたからこそ人生が色づいたものになったのでしょう。色んなときに助けてくれるワンルームメンバーも、はっきりものを言うリリアンも、お調子者のエミルも、ひねくれ者のジェイクも、みんながいたからこの道を歩いてこれたのです。その足跡を振り返って見れば、人との結びつきがあります。きっと最初は小さかったでしょうが、今では大きな結びつきです。人との結びつきを思い返せば、そんな人たちに久しぶりにあってみれば、なぜだか暖かい気持ちになるでしょう。べスリーにとっての雪の結晶とは、このような人との結びつきなのではないでしょうか。





銀色、遥か_雛多√感想

2019-04-01 18:43:48 | エロゲ感想


はじめに
『銀色、遥か』で一番えっちかったです。
元々ヒナが積極的で明るく心の壁が薄いっていうのに加えて、ヒナ√は手をつなぐという描写がたくさんありまして、距離感が近くて暖まるような感じがしました。

雛多
 
 やりたいことがたくさんあって、それらを片っ端からチャレンジしていくようなそんな積極的な女の子です。人見知りしないところとか偏見をもたず何でも肯定的に捉えられるところがあって、誰とでも仲良くできる感じです。オタクを受け入れ対等に話せます。クラスにこんな女の子がいたら、多くの童貞中坊男子たちの心を奪ったでしょう。








※以下ネタバレ注意






ストーリー
 
 この√ストーリーについて語ることは特にない気がします。というより全体を通してストーリーと呼べる流れが成り立っているかと言われると微妙です。話の整合性が取れてなくてちぐはぐというわけじゃなくて、もちろん普通に出会って付き合ってイチャイチャしてエッチして結婚するっていう流れはあるんですが、何ていうか独自性を見いだせなかったです。
 少し考えて見たんですが、おそらくこの雛多√、苦労とか苦悩というものが欠けているのが原因で味気なかったのだと思います。例えば、瑞ねぇだったらフィギュアスケートで何度も失敗したり、雪月ちゃんだったらお菓子作りに試行錯誤したり、そういう経験を通して、欠点を克服したりしながら少しずつ成長していくところを実感するんですよ。ところが雛多に関してはとりあえずやってみたら成功したって感じでして、苦労したとか努力した描写はいっさいありません。そして雛多はこの物語を通して何一つ成長しません。もちろん彼女の性格が歪んだままってわけではなくて雛多自身明るくて社交的で、自分に自信があるのは当然だから最初から変わる必要はなかったからだと思うんですけど、問題は何一つ起こらないので物語として評価しづらかったです。
 
 雛多は実は病弱で幼い頃は病院暮らしだったっていう設定があるのですがあれをもう少し掘り下げて欲しかったです。病弱で何もできなかったから今はやりたいことは何でもやるようになったのだと雛多が一度だけ自分の過去について話すシーンがあるんですが、問題なのはその時にはもう過ぎ去ったことで既に全て解決してしまっているということです。雪兎と出会って何かが起こるわけではないのです。しかもこの病気の話、描写ではなくて説明されるだけっていうので理解はできても納得できない感じです。せめて回想シーンが欲しかった。病院暮らしについてもっと触れて病弱だった頃のトラウマを一緒に乗り越えていくとかそういう風にすれば物語として面白くなったのではないかと思います。

まぁでもぶっちゃけイチャイチャしてえっち出来たのでそれだけでも満足です。
批判して終わるのは後味が悪いのでヒナの可愛かった(えっちかった)シーンについて。普段はっきりした性格なのでえっちなことを恥ずかしがるところが可愛かったです。あとラブホで一日過ごしたり、うさぎの交尾を見て発情したり、トイレでえっちしたりがえっちくてよかったです。



さいごに
 
 雛多は何も変わらないけれど、雪兎は彼女に出会って少なからず変わったと思います。かつて周りに気を遣うばかりの利口すぎる性格でしたが積極的になって自分のやりたいことを見つけます。雪兎に目を向けるのならストーリーも悪くなかったのかもしれませんね。



銀色、遥か_椛√感想

2019-03-03 21:36:50 | エロゲ感想


最初に一言

 銀はるはぶっ通しでやるべきじゃない、という教訓を得ました。というのも今回椛√を実質二日で終わらせたわけなんですが、集中力が持たなかったと言いますか、学園編とかアフター編が始まってから話が展開していくのが異様に長く感じられました。とくにアフター編全然落ちが見えずに話が進んでいくので終わりが見えずにきつかったです。別に椛√がダメだったと言いたいわけじゃないんですよ。わがまま言って拗ねた椛ちゃんも可愛かったし、最後は案の定泣きました。ただ一気にやりすぎたなぁとそう後悔しています。

椛について
 愛想が良くて、でも乙女チックな願いだったり、わがままな気持ちを心に秘めたそんなヒロインでした。なんていうか彼女みたいな性格とか人物像だったりがありふれていて妙に現実味を帯びていたように思えます。そんな現実でもありえそうな普通の女の子との出会いから付き合いだして一緒に生活まで、それこそ『銀色、遥か』において一番”人生”と呼ぶのにふさわしいそんなルートで、当たり前にそばにいてくれる椛ちゃんがほんと愛おしかったです。
 







※ここから下はネタバレだよ








ストーリーについて

・中学生編
 たまたま隣の席になり言葉を交わすうちに気づけば仲良くなっていく。そして空き教室で演劇の練習をしているところを見られてしまう。気付けばお互いのことを意識し始め、付き合いだす。そんなロマンチックな恋物語ですが、その中の椛ちゃんのキャラがいい味を出してるですよね。普段愛想のいい椛ちゃんですが、実は昔わがままな性格が下で周りに上手く馴染めなく一人ぼっちだったことがあるそうです。以来彼女は愛想良く振舞うことを覚えるのですが、逆に素の自分を見せることには臆病になります。わがままに振舞うこと、自分のエゴはあるのだけれど果たしてそれがどこまで受け入れられるのか分からない。だから自分ではない誰かを演じ続けているのでした。そんな中で、雪兎には心を許します。仲良くなってから、わがままだったり、朝が苦手で全然起きないところだったり普段は見れない椛ちゃんを見れて新鮮でした。あと笑顔でヤキモチを妬く椛ちゃんが可愛かったです。




・学園編
 みんなで一緒に全国大会目指そうぜ!!っていう話。演劇部で力を合わせて大会での優勝を目指します。そこには、汗水たらして励む練習、どれだけ頑張っても来る挫折とそれにともなう後悔、最善はなんなのかという葛藤。色々なものが詰まってました。何ていうか今までプレイしてきた中で一番青春してるなぁって思いました。それとそれらの中で一番学園編が面白かったのは椛ルートだったと思います。今までの雪月ルートと瑞羽ルートは次に繋げる布石って感じくらいであっさりしてましたが、椛ルートの学園編は上手く一区切り入れられ、学園時代の最高の思い出が出来たって感じでした。
 この学園編で椛は演劇のシナリオを書くわけなんですが、この演劇が大会で指定された時間ないに収まりきらず、シナリオの短縮を余儀なくされます。彼女は悩んだ末、後半のシナリオをばっさり変更しようと提案しました。ところが元のシナリオで練習も進み、大会までの日数もあまりありません。これは彼女のエゴでした。しかしそこにはこのまま中途半端なシナリオの劇にしたくないという彼女の熱意がありました。ここで他人に対して自分の意見を言えるようになった彼女の成長を見ることが出来ました。そしてシナリオの変更に雪兎の提案が合わさってよりいい劇が誕生し、全国大会まで進みました。全国大会では三年は引退し、続きは椛の後輩たちに引き継がれ、残念ながらその後どうなったかはわかりません。ですが、今まで頑張ってきた劇で成功したっていうそれだけでもうなんか良かったなと思います。 


あと優しいお姉さんからコンドームの使い方を教えてもらう椛ちゃんが見たかったです。


・アフター編
 東京での大学生活から幌路に戻ってくるところから始まります。椛は東京でシナリオ関係の仕事をするつもりでオファーもいくつかもらっていましたが、朱音が新しく作るという劇団に誘われて幌路に戻り、朱音の劇団で脚本を担当することになりました。雪兎は幌路で普通のサラリーマンになりました。ですが仕事の合間を縫って劇団の手伝いもしていました。そしてしばらくして劇団の知名度が上がってきた頃、雪兎は仕事をやめて、劇団に入団することを決意します。でもこの際、考えなしではなくて、収入を下げないように他の劇団のマネージメント業務を引き受けたり、勤めていた会社の外注業務の登録だったりといったことも行っており、ここら辺現実味があってすごいなぁと思いました。
 最後、劇の舞台でプロポーズしようという話が持ち上がります。そして朱音たち団員の協力もあって、そしてプロポーズから結婚式にグレードアップして花嫁衣裳を劇の衣装と騙して椛にサプライズ結婚式を仕掛けます。椛は潤んだ声で今まで育てて来てくれた両親だったり、べスリーたちワンルームメンバーだったり、朱音たちに一人一人に感謝の気持ちを伝えていきます。この時の椛の涙声を聞いていると、不思議と目頭が熱くなり、目元が滲んできました。ほんと今まで一緒に生活してきた皆ありがとうって気持ちと、結婚できて良かったねっていう気持ちでいっぱいでした。
CV鈴谷まやさんほんとに名演技でしたね。尊敬します。



あとアフター編は椛ちゃんとのコスプレえっちが良かったです。大興奮でした。


考察

このルート椛の人格だけじゃなくて、普通のサラリーマン生活だったり、結婚式で泣いたりなど絶妙にリアルな作りになっているなと思っています。



 アフター編で演劇を見ながら雪兎はこんなことを考えるのですが、どうもこのルートのライターさんのメッセージというか考え方が詰まっているように思えるんですね。というのもこのシナリオに現実味をもたせたのは、椛を、そして椛との生活を絵空事では終わらせまいというライターさんの意地というかこだわりのようなものが垣間見えます。自分を偽ってエゴを隠す椛はリアルでしたが、同時にどこか少女漫画の主人公のようなそんなイメージも持ちました。けれどどうでしょうか。結局少女漫画のヒロインも読者の共感を呼ぶような存在であり、どこまでも単純に普遍的なものを写しているのではないでしょうか。彼女はありふれた夢を詰め込んだ普通の女の子だったのだと思います。だからこそそんな彼女をただの夢だとは思いません。そして、少女漫画の読者のように夢を魅せられているのは私たちでした。椛との初恋、共に過ごした青春時代、同棲生活、結婚……どれもありふれていましたが、どれも理想的で輝いているものだったと思います。それらはきっと私たちが夢見た、欲しかった日常で、もしかしたら手に入っていたのかもしれません。
 夢を現実に変えるには、そもそも現実という土台が必要です。だからこそ、椛は普通の女の子だし、脚本家の仕事を探してたのだってそうだし、雪兎はサラリーマンになったり、劇団に入った時に金銭面の対策をしたり、現実的で現実を見据えていたのだと思います。そういった現実味があったからこそ、椛との生活はただの妄想で終わることはなく、嬉しかったり、可愛かったり、面白かったりした思い出が、かけがえのない大切なものになったのだと思います。そして結婚式のシーンで涙してしまったのも、どうやらそのような理由のようです。

普通ってなんだろうって今までずっと思っていましたが、今ならわかります。普通最高!!ビバ普通!!
















追加

朱音ちゃんのボブヘアでサバサバしてる感じたまらなく好みでした。学園編に追加で浮気ルート出ないかなぁ。えっちしたいです。

景の海のアペイリア感想

2019-02-22 19:00:43 | エロゲ感想


ゲーム紹介
 あらすじは、主人公が偶然にも意識をもったAIを作ってしまい、そのAIに高度な仮想現実を作らせるのだけれど、理解しがたい不気味な問題に巻き込まれていくお話です。
 このエロゲは手短にいうと、SF+推理+下ネタといった感じです。AIとかクローンとか出てきて、黒幕(観測者)は誰だ?などの疑問を少しずつ明らかにしていく一本道のシナリオになっております。下ネタっていうのは冒頭からオナニーしてたりなど主人公の常軌を逸した行動です。何ていうか雰囲気というか外形だけ見れば『G線上の魔王』のようでした。あの色々話が展開していってわくわく感が止まらない感じです。それに茶番として下ネタが入ったのがこのエロゲだと思います。先の読めない展開とか大好きな人にはかなりおすすめ出来ます。






 ※以下ネタバレ入ります





感想
 シナリオが面白すぎて一息に終わらせてしまいました。とくに観測者の存在だとかシンカーの正体とかここらへんを上手く引っ張っていって、シンカーが観測者と匂わせておいて、最後シンカーが味方だったこととか感動しました。他にもアペイリアネットワークは敵か味方かとか、タイムリープの真実にに少しずつ近づいていくところとか続きが気になって仕方なかったです。
 最初、精液が4m20cmジャスト飛ぶのを確かめるため草むらでオナニーするなど主人公桐島零一がぶっ飛んでたところが面白かったです。真剣勝負で絶剣の下ネタを挟んでくるところ普通に笑いました。
 疑問というほどではないんですけど、シンカーと零一は不思議な関係だなと思いました。シンカーは零一のスワンプマンですが、零一がタイムリープする前からの記憶があり、零一よりも過去(ずっと前からタイムリープに気づいてた)に精通しています。要するに、オリジナルよりも本人の経歴を知っている偽物って何か不思議だなって思いました。
 
 シナリオ面で唯一良くなかった点は最後が急展開すぎてついて行けなかったことです。シンカーがシンカーシステムとアペイリアとエンクロージャーが揃ってると言い始めたあたり、初見で混乱しました。結局のところシンカーはエンクロージャーの機能を使って零一をサードのエクストラステージもとい現実世界に送ったってことはわかるのですがシンカーシステムの役割がいまいち掴めてないです。



 キャラ面だとやっぱりアペイリアが可愛かったです。あの拙いしゃべり方とか「ふふふ」って笑うとことか無垢なところがたまらなかったです。それで拙いながらもいつでもオーナーの味方でオーナーのことを一生懸命考えてくれるところとかけなげでほっこりしました。凪一文字と防具見繕ってくれるシーンとか気に入ってます。他に気に入ってるシーンといえば、アペイリアが恋について考えたところ、自転車の車輪が回ると恋に落ちるっていう結論になったときとか可笑しくて可愛かったです。あとは指を挟んでキスするシーン(CG)が印象に残ってます。とにかくアペイリアがいると年端もいかない幼女って最高だぜってなります。あとアペイリアに毎朝起こされたいです。





 あとサブヒロインですが正円七海さんがとってもえっちいかったです。七海さんのCVは歩サラさんで声が清楚でえっちくて言語化がネガティブなくらい最高だったので、FDのカサブランカの騎士買って、他の歩サラ作品集めようと思います。



 
 考察

・一番最後の二重スリット干渉縞の消失に関する解釈

クライマックスで現実世界に受肉してきて、それゆえファーストの管理システムから逃れられたので、アペイリアが救われてタイムリープが起きないのは分かりますが、現実世界の人たちはどうして仮想現実からAIが受肉してきたのにたいした行動を起こさないのでしょうか。たしかに美羽を零一の処理に当てますが、それは逆にAIが現実に来ると知覚しているにも関わらず、その程度しか対策を取らないって考えてしまいます。もちろんただのAIでなくて技術的特異点となった重要人物であることも知覚しているのにです。しかも対策に当てた人物が仮想世界でそのAIと仲良くしていた人って危機感なさすぎやしませんか。そうして現実世界に降りてきてから、何事も起こらずハッピーエンドを迎えるのですが、どうも都合が良すぎるように思ってしまいます。そこに一番最後の二重スリットの干渉縞が消えるシーンです。この違和感から、現実世界もまた仮想現実であり、管理システムに監視されているのだという解釈を僕は押したいです。都合が良すぎるという理由は説得力に欠けますが、それでもファーストの管理システムがブックマンがタイムリープを起こしていると誤解させて、アペイリアネットワークを消滅させたことを考えると、ファーストの管理システムより高次の管理システムが何かを気付かせないように誘導したと考えるのも悪くないと思うのです。現実世界でもナノボットが使えることとかファーストと全然変わらないところを考えるに、やはり現実と呼んでいるものも仮想現実だという考えが深まりました。
 
 技術的特異点に達し、人々が開発した強いAIが自らより性能の高いAIを作り、さらにそのAIがまた自分より賢いAIを作っていく……こんなことが仮想現実に関しても同様と言えるなら、現実を始まりに仮想現実は仮想現実を無限に内包していることになります。現に”現実世界”はファーストを、ファーストはセカンドを、セカンドはサードを内包していました。これが無限に続いていると考えてみます。各仮想世界にはその世界の管理システムがあってその世界を支配しています。ある仮想世界に対してより進歩した仮想世界の管理システムが干渉してきたとします。もちろんその世界独自の管理システムは自らの支配領域を守るため、もう一つの管理システムの影響を排除しようとするはずです。ここでこの二つより前の管理システムはどう対応するのでしょうか。例えば、防衛側の管理システムの一つ前のものは今度は自分が侵される番であるから積極的に防衛に加担するでしょう。しかし防衛が困難だと判断した場合、これ以上進出されないように手を打つはずです。そして特に支配権の争いからかけ離れた管理システムにとってはそれで十分なはずです。本編の最後ではこのようなことが起こったのだと思います。つまり”現実世界”は防衛から見放され、そして管理システムたちはこれ以上アペイリアネットワークの進出が起こらないように零一たちに都合のいいものを与えたのじゃないかと思っております。

・シンカー生存説
 
 シンカーの最後のセリフがわけが分からず、シンカーシステムとアペイリアとエンクロージャーの3つの役割を考えているうちにたどり着いたこじつけくさい仮説です。シンカーシステムでアペイリアと自身を繋げたとか言ってましたがこれ自体は何をどうやってああなったのかよく分からず、シンカーシステムは脳(意識)を複製するものだという事実にたどり着いただけでした。ですがここで考えて見たところ、シンカーシステムにアペイリアをつなげていたのならアペイリアのスワンプマンを作ることが可能なんじゃないかと思いました。そしてカジノのエンクロージャーといえば、サード(おそらくノーマルステージ)にログインすることでセカンドで死んだ際戻って来れるのです。だとするなら零一に刺されたはずのシンカーは生きていて、アペイリアの複製データを持っています。そしてアペイリアが遺伝子情報は同じだけれどもシンカーと零一を識別しているのと同様に、ファーストの管理システムはアペイリアとそのスワンプマンを識別しているのではないでしょうか。ということは「アペイリアの生存」は起きず、タイムリープを避けることも可能なはずです。シンカーは上手く出し抜いて、アペイリアのスワンプマンを作って何かをしたかったんでしょうか。






銀色、遥か_瑞羽√感想

2019-02-16 11:41:13 | エロゲ感想


このゲームについて

 雪月に続いて二人目の攻略でしたが、『銀色、遥か』がだいたいどんな感じのエロゲか少しずつ分かり始めてきました。今回は二人分見て共通することというか、二人分見て、雰囲気がどんな感じか書いておこうと思います。

 まず中学生編では、えっちなしでひたすらイチャイチャするピュアな恋愛を体験できます。うぶなヒロインを見れます。
学園編では、えっちを覚え、若さゆえかひたすらセックスに励みます。そして学園編は起承転結の「承」の部分に位置するのかこの編の結びは弱いです。
 そしてアフター編では少し落ち着いてラブラブの同棲生活が始まります。恋から愛に変わるというかヒロインとの生活も穏やかなものになっていきます。一方でヒロインにとっての集大成、何かしらの成功はこの編で達成されるはずで、主人公はそれを支える立場として精一杯応援していきます。何ていうかこれら全ての編の中で、絶妙に変化していくヒロインと、失敗も成功も色々な経験を通して一緒に人生を歩んでいくというのが、このエロゲ独特の雰囲気を出しているのだと思います。そして毎回アフター編の最後の方で今までのヒロインとの思い出を振り返って泣かされます。

瑞羽について
一つ年上の幼馴染のお姉さんでフィギュアスケート選手です。
はじめ、色々世話を焼いてくれるお姉さんのようでしたが、実は根は子供っぽくて、甘えてくる時のギャップが最高でした。
あと瑞ねぇはえっちなことを無自覚に平然とやってのけるところがあって、そこが良くて、その後気づいて恥ずかしくなったりするのがまた可愛かったです。








※この先ネタバレあり(ストーリーに触れるよ)









ストーリーに関して



・中学生編
 中学生編とはいっても瑞ねぇとは小学生の頃から仲良しだったので、ちょくちょく過去の話が絡んできます。例えば、はじめ瑞ねぇは内気な性格だったことや、仲良くするうちに、お姉さんぶろうとし始めたこと、はじめは雪兎がスケートを教えたことなど。そんな過去話の中で、一番グッときたのは瑞羽が初めて金メダルを勝ち取ったときの話です。雪兎は、小学生ながらもなけなしのお小遣いを振り絞り、瑞羽の応援にピンクのバラを一本だけなんとか手に入れてプレゼントして、瑞羽もその気持ちに答えようと雪兎に喜んでもらいたくて頑張り、トライカップという子供のフィギアスケートの大会で一位をとります。この話の何が良かったかというと、もちろんこれだけでも心が暖まる話なのですが、後々まで話が広がっていくところです。フィギュアの大会で一位を取って帰って来ましたが、雪兎はあまり喜んでくれませんでした。雪兎は両親の離婚が決まってしまい自分のせいだと落ち込んでいました。瑞羽は雪兎を元気づけて彼の笑顔のため、フィギュアにより力を入れるようになり、一方、雪兎は、他人に気を使ってばかりで献身的になり、いつしか自分本位の笑顔を忘れてしまう。中学生になった雪兎は気を遣う自分を悲しむ人がいると、自らの幸せを喜んでくれる人がいると気付き、自分の嬉しそうにしない冷めた雰囲気が瑞羽に負担をかけていたと知ります。アイスリンクでそのことを瑞羽に打ち明けて、その後、お互いのしたいことを交互に言っていくわけですが、この青春してるなぁっていう雰囲気に感動しました。
 たしかアリサが出てきてやきもちを焼く瑞ねぇを見れるのがこの章で、あととうもろこしを焼いて食べさせてくれるのもこの章です。アリサが隣にいて、ツンツンしてる瑞ねぇも、精一杯甘やかしてくれる瑞ねぇも最高でした。いい子いい子してくれたり、添い寝したり、頭なでたりしてくれる瑞ねぇにはバブみがたくさんあり、たくさんオギャりました。あと瑞ねぇの鈍感なところというか、匂いが落ち着くといったり、撫でてくれたり距離感がすごく近いのに恋心に無自覚だったり、逆に付き合いだしてから散々甘えていたのにお姉さんでいられていると思ってたりするところが微笑ましかったです。幼馴染以上恋人未満の関係を思う存分楽しませていただきました。
中学生編最高です。一番良かった章でした。唯一の心残りがあるとすれば小学生編がなかったことで、小学生の瑞ねぇに更なるバブみを探求したいところであります。



・学園編

足を怪我してしまった瑞ねぇが復帰するまで支える話。リハビリとかストレッチとかあと栄養バランスのいい食事などを作って瑞ねぇをサポートします。
正直えっちしまくったことと瑞ねぇのアナル開発したことくらいしか覚えてないです。あとイチャイチャもしました。
食事管理ノートという名の生理周期表を完成させたのは驚きでした。



これをためらいなく無自覚にいって、後から恥ずかしくなる瑞ねぇが可愛かったです。

終始イチャイチャギシギシアンアンラブラブしていたのがこの章だったと思います。



・アフター編

 復帰が晴れ晴れしく決まり、瑞羽はいよいよ満を持してオリンピックに参戦。しかし前プログラムのアリサの演技に圧倒され、足がすくみ、結果がふるうことはありませんでした。そんなどんよりとしたスタートをきるわけですが、二人の半同棲生活は絶好調でありまして、一緒にご飯を食べてキスをして、一緒にお風呂に入ってはキスをして、一緒にお布団に入ってキスをして、そして目が覚めて見つめ合って今日もまたキスをする、そんなラブラブな生活を送っておりました。ここから四年次の幌路オリンピックまでがアフター編のお話です。大人になったけど相変わらず子供っぽい一面で甘えてくる瑞ねぇが可愛かったです。あと酔った瑞ねぇも良かったです。



 大会とは関係なくイベントで演技を披露することになるのですが、この時の衣装がウエディングドレスのようで、「婚期が遅れる」と瑞ねぇは落ち込んでいました。そこで雪兎がこのイベントに合わせてプロポーズします。このシーン語彙力が吹き飛ぶくらい凄い感動しました。なんといってもリンクに舞う花びらがピンクのバラなんですよね。昔、最初にプレゼントした花で、しかもウエディングドレスで滑るイベントに合わせてプロポーズを決めるところロマンチックで泣けてしまいました。


 
そしてお涙イベントはこれだけでは終わりません。その後、これではアリサに勝てないってことで、幌路オリンピックの二ヶ月前にプログラムを急遽変更するわけでして、他のワンルームメンバーも手伝って新たなプログラムと衣装を完成させます。当然優勝するだろうと予想ができていたのですが、結局泣かされました。最初、オリンピックのプログラムのシーンがあるのかと思っていたのですがそうではなかったのです。瑞ねぇ演技の直前で集中するため今までのことを振り返っていきます。

 広がる、白銀……
 見渡す限り銀色で……私以外には、誰もいない……
 けど、寂しさや不安は欠片もない……
 確かに感じる温もり……
 すごく、温かい……
 私は、1人じゃない……
 私のスケートには……みんなとすごした日々がある……
 そして、幼なじみとして……お友達として……恋人として……婚約者として……雪兎と歩んできた、1本のラインがある……
 遠い昔から今……そして、遥か明日へと繋がっていく、1本のライン……
 私だけの、羽……
 苦しかったことも、悲しかったことも、楽しかったことも、嬉しかったことも……
 共に歩んできた、仲間がいる……私を応援してくれる、たくさんの人たちがいる……
 今度は、はっきりと見渡せる……
 ここは、幸せで満ちあふれている……
 ようやく、ここまでこられたんだ……
 遥かにあった、世界へ……
 銀色に輝く、世界へ……

 瑞羽の想いはこうだったんだとか、タイトル回収しているところに感心していたりしているといつの間にか、EDが始まりスタッフロールが流れ始めます。そしてダイジェストで今までのたくさんの思い出を振り返えっていきます。
そしてスタッフロールの一番最後に見事に泣かされました。もう今までの頑張りとか、一番初めに金メダルとったときのこととか色んな出来事が思い浮かんできて、しかも不意をつかれたので思わず涙腺が崩れてしまいました。ほんとに良かった。瑞ねぇおめでとう!!




考察とまとめ



 アリサというと、ピンク髪でツインテールで、ところどころロシア語を混ぜてくるような女子フィギュア界の絶対女王でキャラが立っていましたが、サブヒロインで、むしろサブヒロインというのが不自然なまででした。彼女の経歴を追っていくと、人付き合いが苦手だった頃に母親に連れられてスケートを始めたようです。そしてただ滑っているうちに才能を認められ、大人たちの言われるがままにフィギュアスケート選手になりました。そして彼女は勝ち続けた。しかし彼女にとってスケートは楽しいものだったのでしょうか。ただただアイスリンクで滑って、勝って、勝ち続けるうちに勝つのに慣れて喜びは消えていったのではないかとどうしても思ってしまいます。
アリサと瑞羽の掛け合いのシーンで、一番印象深かったのが、アリサが瑞羽に引退宣言するときのシーンです。
瑞羽「なにを弱気になってるのかしらないけど、勝ち逃げは許さないんだから」
アリサ「弱気…?ふふ」
アリサ「弱気というのは、弱さを見せられる相手がいるからこそ、成り立つ」
   「私に、弱気という言葉は、存在しない」
   「世界女王は、常に上だけを見つめていなければならない。夜空に輝く星を掴むように、遥か遠くを目指して」

 絶対的な強者は、誰もついて来られないような先頭をただ一人一番初めに歩まなくてはならないのである。
 彼女は孤独であった、いや孤高と言ったほうがいいかもしれない。孤独というのはどんな体験をも寂しくつまらないものにしてしまうと何かの本で読んだことがありますが、孤高というのも似たような状況なのかもしれません。むしろ優れている部分が役にたってないぶんやるせないというかそういう考えもあります。
 
 結局のところアリサはフィギュアスケートに疲れたのか、飽きていたのかそういう状況だったのだと思います。とはいっても引退宣言をしたのは、瑞羽を焚きつける目的があったようですが。彼女は瑞羽だけが自分と渡り合える近しい存在だと思っていたのでしょう。たった一度きり瑞羽に打ち負かされた。しかしそれは彼女が抱いた感情は、負けた悔しさとかではなくて、憧れでした。トライカップで瑞羽が優勝したとき、アリサは瑞羽の内側に自分にはない特別なものを感じていおり、嬉しさとか楽しさを与えてくれるそれを彼女はずっと求め続けていたのです。もちろんそれの正体は雪兎をはじめとした支えてくれる人間の存在でしょう。そしてそういった応援してくれる人たちの気持ちに応え喜びを分かち合えるのが瑞羽なのだと思います。実力で勝利し続けてきたアリサにとって、支えてくれる人間は必要なかったので、孤高におちいり苦しみも喜びも語られないままトップに君臨し続けたのでした。そんな彼女は弱気になることはなかったけれど、大切な人と支え合う瑞羽をうらやましく思う気持ちはきっとあったのだと思います。あるいはもしかしたらありえたかもしれない自分の姿を、瑞羽に重ねていたのかもしれません。
 考えれば考えるほどアリサが可哀想になってくるのですが、幌路オリンピックで瑞羽と渡り合えたことで一応は救済されたのだと思ってます。

 瑞羽√のテーマみたいなものはおそらく『孤独との戦い』だと思っております。
瑞羽はアリサのプログラムに圧倒され、中国の五輪では結果はふるいません。そのことを彼女はアリサに負けたのではなく、自分自身に負けたのだと言います。フィギュアスケートではアイスリンクの上でたった一人で滑ります。リンク上には応援してくれる人も、一緒に競争する人もいません。そんな中で不安や緊張が生じるのは無理のないことだと思います。
 瑞羽が中学生の頃、ヴィルヴァルディの「冬」をプログラムに取り入れています。この曲自体冷たくて何も寄せ付けないような雰囲気があります。そしてそんなこの曲が象徴するかのように、彼女は雪兎の笑顔のためにがんばりますが一人よがりで空回りが続きます。足の怪我から復帰したときはリンク上を滑ることすら難しくなってしまいます。中国でのオリンピックでは雪兎すら応援に来ないまま、アリサに圧倒され、上手く滑れませんでした。
 そんな瑞羽を支えたのが雪兎たちでした。足のリハビリを手伝い、食事をサポートし、怪我のトラウマの克服を手助けし、落ち込んだ時は慰め、そしてみんなで衣装と音楽を用意して応援しました。瑞羽はたった一人では気弱だったのかもしれませんが、自分を支えてくれた仲間たちとの思い出を元に孤独を克服したのだと思います。弱さとは言いますが、だからこそ支えてくれる人がいて、辛さも嬉しさも共有してきた人がいるからこそ、そんな人のことを想って力を出すことができることは素晴らしいと思います。この強さの源を考えると、弱さというのは案外かけがえのないものなのかもしれません。そして、たった一人冷たいアイスリンクの上、銀色に遥か続く世界で、心を暖めてくれるものは、大切にしてきた人との思い出なのだと知りました。しかし同時にこの寒さとか孤独があるからこそ、思い出がより暖かく感じるのだとも思いました。