迷ったところで・・・地球の上

迷ったところで・・・地球の上

敦煌滞在2日目

2011年08月25日 | 甘粛省

歴史を勉強したくなった。

僕が中国を好きになったのは10歳の時。さだまさしの影響だ(大笑)

中国に興味を持つ方の多くは三国志だったりするのだろうか? 僕の場合は「雄大さ」だった。 中国は2006年に足を踏み入れて丸5年が経つ。その間色々な都市に行ってみたが、敦煌は初めてだった。敦煌の映画をDVDでも見た事はあるが、大した興味も持てなかったし、井上靖の「敦煌」は聞くまで知らなかったし。

 

 しかし今日。初めて中国の歴史について自ら”もっと知りたい”と思った。元々歴史が好ではない。特に世界史。理由は「莫高窟」を見たからだ。あまりの美しさに「これが唐の時代に描かれたもなのか!?」と心が震えるほど感動した。(”唐の時代”と言われたって、それが何年の頃なのか僕には分らなかった。”遠い昔”であるという事だけで十分だった)日本でも一般的な史跡を見てはいるが、史跡を見て心が震えるなどと言う感覚は生まれて初めての経験だった。

 

宗教の融合、うつろい、時代ごとの流行、極楽浄土などを表した壁画を前に、大袈裟ではなく自分がその時代に入り込んでしまう感覚さえ覚えたのだ。

 

実は今日、ガイドさんに頼んで案内をしてもらったのだ。 このガイドさん(クン)がこれまた素晴らしかったのだ。それもこの感動を増幅させた一つの理由だろう。 ガイドは張建クン(28歳) 清潔感のある良い青年だった。

朝9時に旅館のロビーで待ちあ合わせ、まずは「月牙泉」。そして「莫高窟」を見た。

 

【月牙泉】

風の回廊の中に位置する砂漠の中のオアシスだ。敦煌市の南5kmという非常に近い場所にある。

「月牙泉」の入場料は120元。中に入ると砂丘がドーンと目の前に広がる。標高にして700mの砂丘。

この砂丘を4つの方法で見学できる。 ①徒歩 ②ラクダ ③バギーバイク ④軽飛行機 だ。僕はラクダを選んだ。

市内から見える「月牙泉」

 

入口を入ると別世界が広がる

 

このラクダで山の中腹までを往復する。所要時間は1時間ちょっと。80元。

 

砂丘の中腹から山頂を見た景色

 

ここが「月牙泉」

なんとここは昔は「河」だったのだ! 泉の水は今でも湧き出しているが、年々少なくなっているらしい。

敦煌の観光地化が進み、ホテルが大量の水を消費するようになったからだ。

また、毎日多くの観光客が訪れるが、翌朝には全ての足跡が消えるという。

ここは「風の回廊」。風の力で全てが「無」に帰る。

 

ガイドの張健クンの生まれは、ここからわずか数百mのところ。

彼曰く「昔はこの泉が大きく、船もあったんですよ・・・」と。

また、砂漠の砂も踏めば音が鳴るというとても特殊な砂だったのだが、観光地化が進んで

その音は出なくなったらしい。 砂が汚れたからだ。

 

【莫高窟】

なんと入口で劉クンとバッタリ再会!

やはりここまで自転車で来たそうだ。奥さんは・・・・・気持ち悪くて休んでいるらしい

 

ここが「莫高窟」の象徴。この中に35mの大仏が。

ここから先、カメラの持ち込みは一切禁止。心に焼きつけるべし。

 

ここは博物館にあるレプリカ。(撮影OK)

実際保存されている色と全く同じです。見事な保存状態でした。

この壁画は極楽浄土を描いている。

画面左半分は「楽器隊」。右側は「踊り子」

 

発色の美しさに息をのむほど

 

インド仏教がシルクロードを越え、やがて日本に辿り着いたのだ・・・。

 

ここの入場料は180元(外国人)

その場合、専門ガイド(日本語)が付いてくれる。

観光所要時間は2.5時間。

 

今回頼んだ日本語ガイド(張健クン)のお陰で、最高に有意義な一日を過ごせた。張クン、ありがとう!

もし皆さんが敦煌に行く時には是非彼にガイドを頼むと良いでしょう。因みに彼は星空ガイドができます。

砂漠の中から見える星空を見ながら、悠久の時を楽しむのもオツではないでしょうか?

張健くん:+86-135-1937-1938 

 

彼とはガイド終了後に一緒に食事をした。

毎年、日本人観光客が減ってきているそうだ。また、日本人にガイドする値段よりも、中国人にガイドする値段の方が高いという驚きのコメント。中国人裕福層が多い証拠だ。彼は敦煌に生まれ育ち、ガイド歴も長いベテランだ。僕もかなり意地悪く(?)質問してみたが、全て懇切丁寧に説明してくれた。 こうしてガイドをつけた旅は今までやったことが無かったのだが、モチ屋はモチ屋である。さすがプロ。

敦煌の魅力を最大限に堪能できたのは、張クンのお陰だと心から思う。

 

また大好きな町が見つかった。

 

 

↓↓↓↓  走る励みになります! 是非クリックお願いします ↓↓↓↓ 

 敦煌や他の世界を楽しみたい方! クリックしてみてください。

 にほんブログ村 旅行ブログ 世界一周へ
にほんブログ村

 

旅に出てみません? 人気ブログランキングへ 


クリックすると・・・猛烈に旅に出たくなってしまうかも!


敦煌滞在1日目

2011年08月24日 | 甘粛省

夜中の3時まで洗濯だった・・・

 

最近手洗いで洗濯している方いらっしゃいます? アレ、本当に握力使いますよね。今回も砂漠地帯を抜けた後なだけに、見事に砂・砂・砂・・・。部屋の中がジャリジャリしています。しかし空気が乾燥しているので、夜中に干しておいたら午前中までに全部乾いてしまいました。

あ~。スッキリ!

 

 で、外は快晴!だったのですが、僕は朝から真面目にお仕事していました。因みに自転車で走りながらもお客様対応をする事もあります。勿論、僕が旅している事を知っているお客様です。色々な方に支えられている事を、本当に感謝しています。

PCで会社のネットワークにつなぎさえすれば、会社にいるのと同じ環境になりますからね。Skypeを使えばオフィスの音声も画像も雰囲気までも手に取るように分かる訳です。これが良い時代と言うのかどうかは甚だ疑問ではありますが、少なくとも「どこでもオフィス」は今の僕にとってはとても重要なのです。

因みに僕が使っているのはToshibaのDynaboookRX-1/SSです。ネットブックが盛り上がる直前の機種だったのでフル装備で且つ軽量です。さすがに使い込み過ぎたせいでキーボードがおかしくなってきました。まぁ、毎日自転車のカバンの中で揺さぶられているせいでもありますけどね。

 

外付HDDは1TB。電源線は軽量化の為に切って短くしてあります。

 

結局、夕方19:00まで部屋から一歩も出ず(従ってご飯も全く食べず)、黙々と仕事していました。

さすがに夕飯を食べに町に出てみました。夕暮れ始まる敦煌の町を3時間ほど散歩してみました。

 

市内の中心にあるモニュメント

 

敦煌市内の周りにはぶどう畑が。そして干しブドウがたくさん売られています。

ウルムチに行けばもっとたくさんあるでしょうね!

 

 

石・・・屋さん。これは良い商売だな。。。

 

木彫り職人たち。観光客相手の土産モノですが、手抜きなし!職人技です。

 

木彫り

 

移動果物屋さん。ぶどうを一房、買いました。50円。

 

これ!前から気になっていたので買ってみました!

上はドライフルーツ、下の土台はピーナッツ・ヌガー。

高過ぎます。どんなに小さい一切れでも100元(1300円くらい)します!ご注意!

 

今夜のごはん。たまには野菜多めで。

 

敦煌市内は観光客が多いのでとてもアカ抜けています。清潔感もあるし過ごしやすいですね。

明日は、敦煌郊外の遺跡を巡りたいと思います。

 

↓↓↓↓  走る励みになります! 是非クリックお願いします ↓↓↓↓ 

 敦煌や他の世界を楽しみたい方! クリックしてみてください。

 にほんブログ村 旅行ブログ 世界一周へ
にほんブログ村

 

旅に出てみません? 人気ブログランキングへ 


クリックすると・・・猛烈に旅に出たくなってしまうかも!


敦煌に到着!

2011年08月23日 | 甘粛省

さっむい!

 

凍えそうに寒い夜だった。寝つきの時だけは砂風呂効果があったのだが、降り続けた雨で地面の温度が下がったのだろう。

おまけに峠の一本道は、夜中でも(夜中だから)大型のトラックがエンジンを唸らせて坂道を往来しており、その音で何度も起きる羽目に。加えて昨晩の突風騒ぎでテントの位置が微妙にズレてしまっていたようで、腰のあたりに凸凹が当たってしまっていたのだ。どの体制で寝てもこの凸凹が気になって眠れない。

  そんなかんやで朝を待つが一向にテントに朝日が当たらない。体内時計では7時を過ぎているのに・・・。と、テントの窓を開けると、山の向こうにうっすらと朝日が見えるが、頭の上には厚い雲がドーンと鎮座しているではないか! ただ幸い雨は上がっている。

 

 

あまりの寒さにテントの中で服を着こんだ。上半身4枚重ね。下半身3枚重ねだ。それでも寒い!しかし山の空気が気持ち良い。外に出てテントに着いた水滴をバサバサと払い落す。  昨晩テントが転がった時に着いてしまった「ドロ」も一緒に跳ね飛ばす。この一か月で随分使い込んだテントになったものだ。

その音を聞いて劉クンもテントから首を出す。彼のテントは二人用。寝袋は氷点下25℃まで耐えられる冬用だ。なるほど・・・いびきもかいて寝ていられる訳だ。

 

 

そこから二人でせっせとテントを撤収して軽く朝ごはんを食べて出発だ。今日は敦煌までの150km。そのほとんどが下り坂。風さえ無ければ楽勝のはずだ。

 

準備を整えて9:30に出発。暑い雲も徐々に遠ざかっていく。・・・・と言う事は、上空は結構風があるってことかな?

 

 

いずれにしても今日の下り坂はいつもと違うのだ。なぜならばこの一か月間僕を苦しめ、楽しませてくれた高原地帯最後の下りだからだ。思い返せば一か月前、「地球には上り坂しかないのか?」と思うほど上りつづけた毎日。今日は思う存分に下りを楽しもう! 下り始めると雲は吹き飛び、青空が見えてきた。向かい風も多少あるけれど昨日の風に比べたら大した事はない。押さないでも下れる下り坂は一か月ぶりだ。 今度は「地球の向こう側まで下れるんじゃないか?」と思う程の下りが続く。その距離約40km。岩山と砂山を横目に見ながらグングン標高を下げていく。僅か一時間で2,800mまで標高を下げた。

 

下り坂の途中で見かけた道路工事現場。急斜面は馬で荷物を運び上げる。

 

ひたすら下りつづける!地球の向こう側まで下れそうな感じ

今度は砂漠地帯を下り始める。見渡す限りの緩やかな大地を風に乗って下り、あっという間に1,800mまで下った。そして辿り着いた町は「阿克塞」という町。実に清潔で街路樹の緑が綺麗な町。ここで休憩・・・と思ったら、劉クンは「昼ご飯食べようか」・・・って、さっき食べたばかりジャン!^^  いやいや、若さですかね~。

ま、今日は急がなくても敦煌に着くし、ゆっくりしましょうかね。

たっぷり2時間かけて食事をした。そのレストランの主はなんと「カザフ族」。そう、つまりカザフスタンの血を受け継いでいる少数民族なのだ。なるほど顔つきが違う。彼らからカザフスタンと中国の関係、先祖がどのようにして中国に土着したのかのかという歴史を講義してもらった。それによると・・・・

元々はカザフスタンの内戦を避けて中国に渡ってきたようだ。はじめはウルムチに移住したのだが、ウルムチ民族との相性が合わず、南へ逃げて来てこの町を作ったそうだ。故にこの町の大部分はカザフ族。あぁ・・・道理で街の雰囲気が中国らしくない訳だ。移住の歴史はまだ浅いようで、お爺ちゃんお婆ちゃんはカザフスタンにいるらしい。つまりまだ2世代目と言う事になる。移住時には、モンゴロイドからも随分嫌がらせを受けたそうだ。例えば水を分けてくれなかったり、畑を荒らされるなど。

そうした歴史を確実に越えて、この「阿克塞」という町を築き、敦煌のサテライトタウンとしてひっそりと暮している。

 

敦煌まで80kmの町。最後にカザフスタンの言葉を教えてもらってお別れした。

緑が多くさわやか。そして住民の顔つきが中国ではない町

 

 

さぁて、たっぷり休んだしお腹のガソリンも満タン! 向かい風ではあるが、今日の夜にはシャワーが待っている!と思うと、風も気にならない。快調に飛ばす。3時間続けて走る!(←普通のチャリダーには普通です。僕のようなヘタレチャリダーにはスゴイことです)

ただ、相変わらず劉クンはのんびりペース。3時間走って彼を一時間待つ。何もない砂漠の中で一時間待っていると色んなことを考える。勿論仕事の事も・・・。旅を終えた時の事も。

 

ここがあの「陽関三畳」で詠われる地。

渭城の朝雨 軽塵を潤おし
  客舎青々 柳色新たなり
  君に勧む、更に尽せ一杯の酒
  西のかた陽関を出ずれば 故人無からん。

 

 

砂漠の中に浮かび上がる古城

 

夕方には敦煌まで残り10kmという所まで来た。 そこで携帯をいじっていた劉クンは突然雄叫び!

「どした?」

「彼女が・・・バスで敦煌まで来てくれたんです!」 彼女は敦煌から300kmほど離れた町に住んでいるらしい。

かくして僕たちは敦煌の長距離バス停に行くことになり、彼は今までのスローペースではなく猛ダッシュ!

走る後姿を見て、23歳という若さと素直さにちょっぴり嫉妬。 何故なら、彼は大学を卒業した後、仕事もしないで半年自転車旅行。彼女とは婚約しているという。 勢いと言うか、情熱と言うか、無謀と言うか・・・そのようなオーラを彼は特に持っている。青年らしい青年だと思う。

面白いくらい人が変わって走る劉クン。走りながらも鼻歌は歌うは、叫ぶは・・・嬉しくて仕方ないのだろう。

 

りゅ、劉クン!飛ばし過ぎ!

 

バス停にいたのは、綺麗+かわいいを兼ね備えたアウトドアな女の子。女の子という表現がぴったり。

おまけに、、、自転車が置いてあるではないか?小ぶりのザックと自転車。それには彼も驚いていた。

顔を合わせた瞬間から劉クンはそっけない。はははは。大抵の男ってこうだよね。彼女を前にすると急にぶっきらぼうになる。

彼女と言えば、お腹が空き過ぎてご機嫌斜めの様子。すぐにバス停近くのレストランへ向かう。

 

レストランに入った途端、二人は大喧嘩。僕の事は完全に無視して大声で喧嘩している。原因は・・・・・・

どうやら彼女はなんと妊娠二か月らしい。それなのに自転車を持ってきて、この敦煌からトルファンまでの800kmを彼と一緒に走るという。彼にしてみれば心配で仕方無いのだろう。キッチリ30分喧嘩した後、彼女の勝利。凄まじい顔で噛みついていた彼女は、一転して何とも可愛い笑顔で彼に甘え始める。・・・・もう、、、ベタベタで見てられねー^^;

 

口喧嘩に勝利を収めご機嫌に注文する彼女と、撃沈された劉クン

 

しかしこの彼女はかなりデキルタイプの女性。  僕は仕事柄とても多くの人と会って来ているが、彼女のようなタイプは「大物タイプ」だ。理由は三つ。一つ目は初対面の僕(しかも外国人)に対して全く動じる姿勢がない。極端に驚くわけでも無く全く「普通」でいられる。この普通さを”醸し出せる”のは、相当なコミュニケーション力を持っている証拠。 二つ目の理由は、空気が読めること。(さっきの喧嘩は中国的にOKなので空気を読むこととは全く関係ありません) これはちょっと説明が難しい。 三つ目は目力。久しぶりに真っ直ぐに目を見られた。いつも僕は目を逸らさないが、相手が目をそらすケースが多いが彼女は違った。

妊娠二か月で灼熱のシルクロードを自転車で走る? それだけでも驚きなのだが、第一ダンナは仕事してないじゃん!^^(俺もだ)子供どうするの?と聞けば「パパとママが全部面倒みてくれるから没問題」だとさ。これはとても中国的。なんとも、気持ち良いくらいサッパリしている。グダグダと悩んだりしない勢い。当然これは無謀にも見えるし思慮が浅いとも言えるが、だからこそ羨ましいのである。何でもかんでも後先考える事が良い事ではない。やって見て、失敗して、やり直して、、、。

劉クンと言い、彼女と言い、とにかくそのストレートな性格と表現を2時間近く堪能できた。

 

彼らとは食後にバイバイして僕は旅館探し。町には日本人観光客も目立つ。

部屋が決まりいつも通り服ごとシャワーに入る。(これ、癖になってきた・・・) 

 

 

いずれにしても祝!敦煌到着!

 

 

 

↓↓↓↓  走る励みになります! 是非クリックお願いします ↓↓↓↓ 

敦煌や他の世界を楽しみたい方! クリックしてみてください。

 にほんブログ村 旅行ブログ 世界一周へ
にほんブログ村

 

旅に出てみません? 人気ブログランキングへ 


猛烈に旅に出たくなってしまうかも!クリック!


無人地帯・・・

2011年08月22日 | 青海省

テントを張る時は、なるべく窓を東向きにして張るようにしている。

理由は、朝日を見たいからという、ごく単純な理由だ。テントも乾きやすいしね。

目論見通り、岩山から上る朝日を浴びて目が覚める。昨夜はテントの窓を開けたまま熟睡してしまった。

標高3,100mは、今までの標高に比べたら大した事はないし、その上何よりも砂のベッドが心地良かった。

 

おっ!風も今日は吹いていないぞ!? 行けるかな? 風が吹き出す前に出発しよう。今日は3,700mまの峠を越え、140kmを走る予定だ。遮るもののない場所。全ては風次第・・・だ。

ラクダって正面からだとよく分らん動物だ

 

横から見るとラクダらしく見える

 

ゆるゆるの坂を上りだす。ありがたい事にこんなに車が少ないのに、新たに道路建設中。今ある道路に並行した新しい道を作っているのである。新品のアスファルトが何百キロも続いている。勿論車は走ってはいけないが自転車は問題ない。・・・ハズ。

岩山の合間をすり抜けるように道が続く 

 

黙々と3,700mを目指して上る。あと少しで頂上だ!という時、突然呼び止められた。

「ご飯食べた?」って。  笑

 

一人の少年が手にお椀を持って立っている。お椀の中にはいわゆる地元麺がよそられていた。

余りに唐突だったので、つい「うん」と答え、彼について道路脇に踏みいると、そこには道路工事のテントがあり、数人の工事人がしゃがんでお昼ご飯を食べていたのだ。  彼は「食べなよ!」と言ってテントに入り僕を手招きする。言われるがままにテントに入り、言われるがままにお椀に麺を入れてもらった。

 

工事の人たちもニコニコ。 みんなで一緒に砂漠に座り込み、ラーメンをすすった。この道路は「軍事用」の名目で建設されているが、実際には「職人確保」の為の工事。つまりこの道路を作る限り、彼らの”職”が保障されると言う事だ。日本でも年末になると道路工事をしていたのを思い出す。それにしてもスケールが大きい。ゴルムドから敦煌までの500km。砂漠地帯に土台を作ってアスファルトを敷いて・・・・を3年がかりで作るらしい。彼らは自分たちが作った道を”君たちのように”自転車で快適に走ってくれると嬉しいんだ!と話してくれた。

・・・「君たち?」って?

そこで気がついたのだが、僕を呼びとめた彼は、なんと旅チャリダーだったのだ! テントの脇に彼の自転車が停めてあった。結構な荷物だ。さぁてどっち向きに走っているんだ? 敦煌方向か・・・ゴルムド方向か・・・。

彼は僕と同じ敦煌方面に行くようだ!彼は半年かけて中国を一周するという兵(ツワモノ)。23歳!若い!

内モンゴル出身の「劉クン」

 

ご飯を食べ終わり、旅は道連れと言う事で二人で旅を続けることとなった。

23歳かぁ・・・。負けられねぇな(笑)  ま、自分のペースで行くだけのことだ。 と、思いつつもやはりペダルに力が入る。

 

向かい風の中懸命に漕ぐ劉クン!時速5km!^^

 

 

峠の下りは負けない自信がある!なぜなら荷物が重いから(笑) 重力の法則ですね。あっという間に彼が見えなくなった。やがて平坦路になり、向かい風も強まってきてかなりペースダウンするが、それでも彼の姿が見えない。なにか事故でもあったのかと彼を待つこと30分。超ーーーーースローペースな彼が、陽炎の中から現れた!  あれぇ・・・のんびりクンだったのですね。それはそれで良い。お互いのペースで走りましょう。 

 

下り坂は楽勝♪

 

夕方に無人区のはずの道路脇に小さな村が現れた。殆どが廃墟となっているが、僅かに生活している人がいる村だ。その村の人の為と、この無人区を通るドライバーの為の小さなレストランがあるではないか! そこで後から来る彼を待って、一緒に夕食を食べる。

その村の廃れ具合が、西部劇に出てくる片田舎のようで、結構絵になっていた。

 

中国版、西部劇のレストラン

 

ついでに水を補給して(因みに500mlのペットボトルを8本持つようにしている=2日分の最低限の水)、走りだす。二人で走るとやる気も出てくるから距離も稼げる。

暗くなるまで走りつづけて予定よりもかなり距離を伸ばすことができた。なんと、この一か月以上苦しんだ高原地帯最後の峠を越えたのだ!標高3,650mを暗闇の中走ってテントサイトを見つけた。

 

真っ暗やみの中、お互いにテントを張り終えた、まさにその瞬間! ものすごい突風と共に大粒の雨が降り出した。余りの変化に慌ててテントに逃げ込むが、テント生活10年以上になるがこれ程の強風は初めてだ。テントの中で飛ばされないように踏ん張っていたのだが、5分もしないうちにテントごと吹き飛ばされてしまった(笑) 文字通り「パウダーサンド」と「大粒の雨」が混じって粘土になった地面で、もう一度テントを張り直す。 あらゆるものが砂まみれで泥まみれ。 小さなランタンだけが頼りだ。隣のテントでも劉クンがテントと格闘している。

今度は飛ばされないように自転車の荷物を全部テントの中に放り込んで、ようやく一段落。テントの中は砂まみれ。体は泥まみれ。うわぁ・・・最悪なテント生活だ。 外は風はだいぶ収まったが、ひどい雨だ。明日どうなるんだろ?

 

それでもテントの中は相変わらず砂風呂効果で暖かいのが幸い。

 

それにしても良く走った一日だ。ここまで来れば、明日敦煌に確実に着ける。・・・・天気次第だが・・・・と考えている内に砂風呂の中で眠りについた。 

 

 

↓↓↓↓  走る励みになります! 是非クリックお願いします ↓↓↓↓ 

 

 にほんブログ村 旅行ブログ 世界一周へ
にほんブログ村

 

旅に出てみません? 人気ブログランキングへ 


猛烈に旅に出たくなってしまうかも!クリック!

 


公安をすり抜けて・・・

2011年08月21日 | 青海省

朝7時に旅館の目の前にあるバスターミナル(?)へチケットを買いに出かけた。

昨日、ドイツ人のおっちゃんと、公安からも直接指導されたので仕方あるまい・・・。

バスターミナルと言っても、道路にバスが止まっているだけ。チケット売り場はホッタテ小屋。小屋の中にちーさい枠があって、そこでチケットが売られるらしい。地元の人らしきジィ様方がたむろしていたので、何時に窓口が開くかと聞いてみると「8時過ぎたら開くんじゃないかな?」という何ともアバウトな返事。 まだ30分以上あるので近くの食堂で朝ごはん(餃子)を頼む。

8時過ぎにチケット売り場に戻ると、丁度チケット売りのおじさんも現れた。ここからが戦い!既に待合室には20人ほどが集まっていたので、窓口が開くと分かると、窓口を中心に180度(!)扇型に”並びます”(笑)  ←つまり並ばないってことね・・。

僕はこの手の”整列”にはさすがに慣れているので、速やかに5番手に並び、ジリジリと割り込でん行き、3番手になった。   で、イザ自分の番になり行き先を告げると・・・「満席だよ」と一言で終了。「どうすりゃいいのよ?」と尋ねたら、「11時にバスが来るから運転手に直接交渉してみて」・・・・。  因みに一日に一便のみ。

 

 げぇ~。バスに乗れない・・・。というか、これじゃ次に乗れるのがいつになるかも分らんじゃないか!?

 

無いものは無い。状況が動かない時は自分が動けばよい。当然のことだわな。

と、言う事で自転車で再スタートする事に決定! 「公安どうするの?」 という不安はあるが、行ってみなきゃ分からないでしょ。ここは中国。何が起こるかわからないミステリーツアー♪

部屋に戻り、バス用に荷物をパッキングしていたものを、再び自転車旅行用に戻して、再出発!   と、走りだして数キロ先で男女二人組のバックパッカーに遭遇。

 

 

彼女は大学の先生。彼はぷー太郎。3か月かけて中国を旅している二人

 

彼らも僕と同じくバスに乗れない二人だった。彼らは、バスを諦めてヒッチハイクしていると言うのだが、車が殆ど来ない。1時間ほど一緒に付き合ってみたが、車は殆ど来ないし、来ても無視される始末。何十台目かの車をようやく捕まえて去っていった。

あ・・・・。俺もその手があったか・・・と、一瞬頭を過ったが、一度「漕ぐ」と決めると不思議と腹も座っているので再び漕ぎ出す。今日もまた向かい風。あ、因みにどこかのブログに書いてあったのを引用しますが、向かい風=Agaist 追い風=Follow と言いますが、向かい風=Head wind  追い風=Tail wind とも言うそうです。ナルホド・・・。頭からぶつかってくるのでHead。ケツから押してもらえるのでTailね。 ・・・・分ったところで風向きは変わりません♪

自転車を風よけにして休憩中~

 

それにしても公安はどこにいるんだ?と、思っていたらついに現れました!検問所!  カメラの最大望遠で見ると、機関銃を持った兵隊と警察が二人いる・・・。さぁて・・・どうやって通り抜けるか!?  ま、ダメで元々と思って走っているので行くしかない。

 

トラックなどは厳重にチェック!

 

いよいよ検問所に近づく。 こうなりゃ・・・・中国人のフリをしちゃえ!(大笑)

と、言う訳で・・・・

飯:「やぁやぁ!こんにちわ!」

公:「ブスッ」

飯:「こんなところで何してるの?」

公:「この先は管理施設があるからチェックしている」

飯:「おぉぉ・・・それはお疲れ様ですね~」

公:「どこから来た?」

飯:「上海から自転車漕いできた」

公:「上海から!?そりゃぁすごい!どれくらいかかった?」

飯:「3か月くらいかな・・・。上海・蘇州・合肥・西安・・・」

公:「どこに行く?」

飯:「ウルムチくらいまでかなぁ」

公:「俺は江蘇省の出身なんだよ」

飯:「マジっすか?」

・・・・・・等と、蘇州ネタで盛り上がっている内に、大型トラックが5台ほど連ねて来た為そちらの対応に忙しくなるみたいで、「お前、行って良し!」となりました♪  ラッキー♪

 

ラッキーなのは良いのだけれど、最後に一言「この先、”無人区”だから気をつけろよ!」と言われ、改めて思い出した。

 

そうだ。無人区だ。だぁれもいない場所だ。 イケね。水がない。

検問所を抜けたところに「最後の売店」という店があり、そこで水を大量に購入。ついでにラーメンも補充。

 

さぁて! 検問所も抜けたし一気に行くぞ!・・・と気持ちは進むのだが、風に押し戻されてしまう。

遠く向こうからは雨雲が近づいてくるし、風はドンドン強まるし・・・・と思っていた矢先に雨が降り出してしまった。

しかし無人区を抜ける為にはここで止まるわけにはいかない。夕暮れと雨と風との追いかけっこだ。

 

雨雲の方面から突風が吹いてくる。砂が舞い上がり大変・・・

 

20:00近く。雨雲の切れ間から夕日が・・・。

 

20:00。 今日はここまで! 辺りには岩山と砂漠だけ。

砂漠の上を突風が抜けていく。テントを張るのも一苦労だが、張り終えた後のテントの中は快適♪

何しろ太陽が一日照りつけた砂は、砂風呂と同じくジンワリと暖かいのだ。

 

砂漠に沈む夕日を見ながら、ウトウト・・・・。気がつけば、テントの窓を開けたまま寝てしまっていた。

 

 

↓↓↓↓  走る励みになります! 是非クリックお願いします ↓↓↓↓ 

妄想の旅に出たい方! クリックしてみてくださいね。

 にほんブログ村 旅行ブログ 世界一周へ
にほんブログ村

 

旅に出てみません? 人気ブログランキングへ 


猛烈に旅に出たくなってしまうかも!クリック!