先行して公開された映画は、けっこう話題になったように記憶しているが、民間企業が運営に参画する刑務所、「島根あさひ社会復帰促進センター」における「TC(Therapeutic Community=回復共同体)」の試みを描く。
犯罪加害者に対して必要なのは何か。建前上は、加害への社会的報復は第一には想定されていないが、裁判での判決をみても、実際のところ、被害者、遺族への謝罪、補償、加害者の更生よりも、報復が優先されているように感じることがいまだに多い。
犯罪は病気が発現した結果である。わたしは、ずっとそう思っていて、だとすれば、加害者を罰することに意味はなく、加害者が自分が行ったことの意味と、被害者や遺族の感情のみならず、犯行時の自分の感情を理解したうえで、病気から快復することがめざされなければならず、TCの試みはすべての刑務所や少年院の更生プログラムに取り入れられるべきものであろう。
目次
プロローグ「新しい刑務所」
ある傍観者の物語
感情を見つめる―四人の物語
隠さずに生きたい
暴力を学び落とす
聴かれる体験と証人―サンクチュアリをつくる
いじめという囚われ
性暴力 光のまだ当たらない場所
排除よりも包摂
助けを諦めさせる社会
二つの椅子から見えたもの
被害者と加害者のあいだ
サンクチュアリを手わたす
罰の文化を再考する
エピローグ「嘘つきの少年」のその後
プリズン・サークル
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