小室直樹,2013,憲法とは国家権力への国民からの命令である,ビジネス社.(12.25.24)
さすが博覧強記の小室先生、現代史上の実に細かな事実をもとに、目からウロコの憲法論が展開されている。
小室先生は、憲法のなかでも第十三条がもっとも重要であるとする。
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
「幸福追求」権には私有財産保全のそれが含まれるが、26年にわたって超低金利政策により国民の資産を毀損し続けた政府は、憲法に違反してきたことになる。
戦後教育批判──近代教育の本旨はナショナリズム高揚のためにあるという主張は承服しかねるが、立憲主義の要諦を学べるとても良い本である。
目次
第1章 失われている日本国憲法の精神
英国病と日本病
滅亡の淵に立つ日本 ほか
第2章 総理大臣なき国家・日本
「主権」とは何か
大臣への反抗は「反逆罪」に等しい ほか
第3章 「戦後教育」こそ、民主主義の敵
完全に崩壊した日本の教育
「戦後教育は民主的」と言う大嘘 ほか
第4章 憲法を殺す官僚の大罪
「官僚独裁」の国・日本
無能な独裁者達 ほか
第5章 日本人が知らない「戦争と平和」の常識
憲法と国際法の共通点
何故国際法では「立法者の意志」が優先されるのか ほか