勤勉、倹約、質素、正直等を旨とする「通俗道徳」が、いかにして農民層に定着したか、古文書を駆使して明らかにする。
「通俗道徳」は、貧困の原因を勤勉、倹約等の徳目の欠如にもとめるため、一方で、厳しい自己責任の論理、他方で、当時の支配者層の免責へとつながった。あらためて、「通俗道徳」とネオリベラリズムの心性との親和性を再認識した。生活保護受給者を侮蔑し、徹底的に排除しようとする心性は、いまになって現れたものではない。
本書が「平凡社ライブラリー」に加えられて24年。いまだに絶版にならずに読まれ続けていることからも、時代に棹さす本書の価値が色あせていないことがわかる。
近代の思想史的系譜を探る。幕末から明治期の百姓一揆や新興宗教の史料を博捜し、日本の近代化を追究した画期的労作。
目次
第1篇 民衆思想の展開
日本の近代化と民衆思想
民衆道徳とイデオロギー編成
「世直し」の論理の系譜―丸山教を中心に
第2篇 民衆闘争の思想
民衆蜂起の世界像―百姓一揆の思想史的意味その1
民衆蜂起の意識過程―百姓一揆の思想史的意味その2
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