「万世一系」の血縁幻想により正統化されてきた天皇制が、一方で、被差別部落出身者への属人的差別を正統化してきたことは、直観的に想起できるが、上杉さんは、部落差別の起源を丹念に歴史資料を読みこなして検討し、最終章で、皇位継承問題における男系至上主義の欺瞞を指摘する。
ただし、「天皇制と部落差別」それ自体についての論及は乏しい。一連の議論をとおして浮かび上がるのは、天皇崇拝と部落差別に通底する血縁幻想の理不尽さである。
部落を「社会外」として再構成した著者が、いま「天皇制と部落差別」の歴史を解きあかす!「差別の歴史をつくるのは誰か?」の難問―「権力」か「民衆」、それとも「ケガレ」か―を解く。
目次
第1章 天皇制と部落差別の歴史
第2章 歴史における身分について―部落史の見方が変わった
第3章 部落史における「血縁」「穢れ」と「権力」
部落史に固有な「血縁」意識
「穢れ」と部落差別はどう関係するか
部落史における「権力」の位置
第4章 中世の差別意識と天皇制―網野善彦をどう超える
第5章 「万世一系」が衰退させる大衆天皇制―皇室典範の改正をめぐって
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