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本と音楽とねこと

共生保障

宮本太郎,2017,共生保障──〈支え合い〉の戦略,岩波書店.(10.26.2020)

 宮本さんが、「共生保障」の柱とするのが、「ユニバーサル就労」、「共生型ケア」、「地域型居住」、「補完型所得保障」である。
 「ユニバーサル就労」は、いわゆる福祉的就労から正規就労にいたるまでの、障がい者や高齢者も包摂する、多様な働き方を保障する。「共生型ケア」は、「富山型デイケア」に代表される、ケアする者とケアされる者がしばしばその役割を交代する、これも障がい者、高齢者、子ども等を包摂するものだ。「地域型居住」は、まだ萌芽的段階にしかないが、共有スペースがあり、「施設」と「持ち家」の中間的性格をもったものだ。「補完型所得保障」は、まだ実現していないものの、「給付付き税額控除」のような、公的扶助より敷居の低い最低所得保障のしくみである。
 実現しそうもない夢物語を述べるのではなく、すでに実践例が存在するしくみに注目し、実現可能な「生活保障」を構想する。「租税抵抗」の強い日本社会で、いかに手厚い社会保障を実現していくか、本書で述べられたアイディアはおおいに参考になるだろう。

困窮と孤立が広がり、日本社会にも分断が走る。人々を共生の場につなぎ、支え合いを支え直す制度構想が必要だ。いかにして雇用の間口を広げ、多様な居住のあり方を作りだせるのか。自治体やNPOの実践を踏まえ、生活保障の新しいビジョンとして「共生保障」を提示する。前著『生活保障 排除しない社会へ』からの新たな展開。

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