劉慈欣(大森望・泊功・齊藤正高訳),2023,円──劉慈欣短篇集,早川書房.(10.20.24)
円周率の中に不老不死の秘密がある―10万桁まで円周率を求めようという秦の始皇帝の命を受け、荊軻は300万の兵による人列計算機を起動した!『三体』の抜粋改作「円」。貧村で子どもたちの教育に人生を捧げてきた教師の“最後の授業”が驚愕の結果をもたらす「郷村教師」。漢詩に魅せられた異星種属が李白を超えるべく壮大なプロジェクトを立ち上げる「詩雲」など、中国SF界の至宝・劉慈欣の精髄13篇を収録した短篇集。
『三体』で世界に知れわたったスペキュレイティブ・フィクションの第一人者、劉慈欣の傑作短編集。
奇想天外にして、中国における過酷な民衆の歴史、貧富の格差、戦争といったモチーフが周到に織り込まれており、どの作品も読み応えじゅうぶんだ。
それにしても、とんでもない才能をもった作家である。
今後の作品展開にも注目したい。