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本と音楽とねこと

「絶望の時代」の希望の恋愛学

宮台真司編著,2013,「絶望の時代」の希望の恋愛学,KADOKAWA.(2.17.24)

 いやあ、おもしろかったね。

 宮台含め、本書に登場するナンパ師たちの言説に、共感することしきり、であった。

 恋愛、性愛とは、当事者同士が、トランス、「変性意識状態」(「眩暈や酩酊」、p.43.)に陥り、非日常の祝祭空間のなかで、お互いを欲しあい、むさぼり食い合う、狂気のことをいう。

、、、ちょっと、激しすぎか?w

 1990年代半ば(バブル経済崩壊期)以降、女性の性的指向性が変貌する。
 「収入・学歴・身長といった世間体的な属性から、一緒にいて楽しいとか和めるとかいった直接的な体感へと、女性たちの関心がシフトした」。
 その結果、親子ほどに年齢のちがうカップルが珍しいものではなくなる。
 しかし、やがて、女性たちの多くは、同性仲間からの承認を気にして、再び、「一緒にいて楽しいか」から「他人がどう見るか」に戻ってしまう。(pp.40-41.)
 そして、どうなったか、、、
 色恋の砂漠、荒野化、、、自己溶解型の、ダイブ系恋愛、性愛の次元とその享楽がわかる同輩の男は少なく、多くの女性たちは、恋愛、性愛に絶望していく。

 「近代社会はそもそも性愛と政治の2領域で<変性意識状態>を不可欠」とする。
 そして、そうした「変性意識状態」をフックとして、深い次元での充足を可能にする性愛には、「損得勘定の<自発性>では足りず、内から湧き上がる力である<内発性>が不可欠」である。(p.45.)
 そして、そうした内発性は、他者を幸せにしようとするストレングス、その源泉でもある。

 しかし、社会はクソ化していき、内発性、自らのパッションとバイブスをもたない、「心情のない享楽人。この無のもの」(ウェーバー)ばかりが増殖していく。

 他者を物格化、モノ化、道具化するクズが増え、損得勘定にのみに動かされ、自らのせせこましい幸せのために他人を出し抜くこと、権力に従属し(「ヒラメ」)、自分より得をしてそうな者を叩くべく炎上ネタを探す(「ギョロ目」)、そうした浅ましいクズが増殖するなか、恋愛、性愛もどんどんクズ化していく。

 「既に大人になった人間が<自発性>から<内発性>へと飛躍できる数少ないチャンス。それが妥当に方向づけられた性愛実践」(p.51.)であるにもかかわらず、である。

 ナンパ師たちは、日常に、偏狭な男に、うんざりしている、感覚のアンテナばかりがびんびんに張り出した女との、奇跡のようなセックスを追い求める。

 ナンパの極意には、まー、いろいろある。笑

 僕は催眠術のノウハウも使いながらナンパするんですけど、今日聞いていても思うのは宮台さんの声はとてもいいですよね。そういう声の質も大事だし、それに加えて「支離滅裂なことを言う」というのがポイントになっているなと思いました。
 現代の女の子でも、いきなりけなしたり、いきなり褒めたり、全然関係ない話をしたりするとみんなポカンとし始めるんですよ。そこでポカンとしているときに褒めて喜ばせて、けなしてグシャっとヘコましたりして、そうやって感情の振れ幅を大きくすることで<変性意識状態>に誘導します。
(高石、pp.82-83.)

 、、、いやあ、鬼畜だなーと、腹抱えて笑ったw

 そう、酒を飲んでもいないのに酩酊し、あたまがぶっ飛んだ状態(トランス)になり、「何かに取り憑かれているようにナンパする」(立石、p.92.)、それが大事。

 「女が男をハンティングするのは簡単で、目を合わせるだけでいい」(宮台、p.231.)。
、、、滅多にいるわけじゃないけど、こんな数秒の「瞳孔の開き」で男をイチコロにするスゴい女は、たしかに、いる。笑

 人間は「受苦的存在」(p.239.)である。

 宮台は、風俗嬢の参入動機を分類し、ギャル系、清楚OL系の動機背景には親への恨みがあり、ギャル系にはネグレクト親、清楚系は過干渉教育親がいる、とする。両者ともに、親から物格化、モノ扱いされたのに復讐するかのように、客を物格化、モノ扱い、する。
 一方で、母親に溺愛、過干渉された男の子は、母親に欲望を制御されたルサンチマンを抱えており、彼はその恨みを果たすかのように、女性を物格化、モノ扱いする。(pp.262-265.)
 この受苦の、物格化の、世代間連鎖、世代内傷つけあいの根深さよ、、、

 まあ、嬢は、まるで恋人であるかのように振る舞い、ライフハックしてんだろうけどさ。
 性風俗は利用したことないから、わかんねーけどさ。
 それに、勘違いして、癒やされる男って、惨め、だねえ。
 おまえさあ、女くらい、ナンパしろよ。笑
 この根性なしが。笑
 
 女を道具化、物格化する、モノ扱いするクズ男、
 それを、いそいそと受け入れるクズ女、
 両方とも、いなくなってほしいものだね。
 おまえ、気持ち悪いんだよ。

 若い人には、ぜひ、読んでほしい本だな。
 再版を望む。

宮台が「性愛」に帰ってきた!恋愛絶望社会を生き抜け!今再び「終わりなき日常」を生きるための教科書。

目次
第1部 恋愛絶望社会、日本。
第2部 性愛から、社会が見える。
ナンパの極意は“変性意識状態”にあり
「非日常」への扉を開けよ
女性は男たちのことをどう考えているのか?自分の内側から湧き上がる力、“ヴァーチュー”を覚醒させよ!
「非モテ」は吠えるが愛のキャラバンは進む


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