大佛次郎,1994,猫のいる日々,徳間書店.(1.2.25)
大佛先生ほど、たんなる猫好きにとどまらず、数多くの猫たちの福祉に貢献した人はいない。
捨て猫に餌と寝場所を提供し、その数、つねに15匹前後、生涯に500匹ほどの猫の面倒を見たという。
本作には、猫にまつわるエッセイと、猫の童話とが収録されているが、どれも猫好きには興趣が尽きない内容だ。
ジャック・ダン、ガードナー・ドゾワ編(深町真理子・浅倉久志・酒井昭伸・田中一江・山口緑・小川 隆・羽田詩津子ほか訳),1999,不思議な猫たち,扶桑社.(1.2.25)
猫―ひとびとからこよなく愛されながら、冷酷な動物として忌み嫌われ、神としてあがめられるいっぽう、悪魔の手先として虐殺までされた、不思議な生きもの。最も身近な存在でありながら底知れぬ謎をもつ猫は、人間の想像力を刺激し、さまざまな小説が生み出されてきた。本書は、日本でもベストセラーとなったアンソロジー『魔法の猫』の大好評にこたえ、名編集者コンビが、構想も新たに作品を厳選してお贈りする、猫小説傑作集である。よりおそろしく、よりおかしく、より幻想的な、猫たちの饗宴。
広く猫科の動物たちを主人公に、それらの生態をよく踏まえた作品群が収録されている。
インディオの神話的世界を美しく描き出した「ジャガー・ハンター」(ルーシャス・シェパード)と、気高い猫が友を殺された復讐を遂げる「マダム・フロイの罪」(リリアン・J・ブラウン)とが出色の出来だ。