一読して、性ホルモンの分泌の違いがジェンダー特性を決定しているとか、ファルス(男根)のあるなしによるコンプレックスが性差別の根底にあるとか、いい加減、そうした根拠のない決めつけはやめろよと思ってしまった。
しかし、さまざまな性差別の事例に即して、加害者心理を分析するくだりにはなるほどと思わされるところも多く、フェミニズムを忌避する人たちには受け入れやすい内容ではある。
わたしは、性差より個人差、このフェミニズムの一つの重要な考え方は有効であると思うし、家父長制と固定的なジェンダー観が成立した歴史的経緯と、いまだそれらを克服できずに女性を蔑視する、あるいは女性が自らを卑下してしまう心理を問題の中心においた方が良いように思う。フェミニズムの良質な部分を切り捨てるのは愚かというほかない。
人前で妻をバカにする夫、「男の責任者を出せ」と騒ぐ男性客、女性上司に反発を覚える男性社員、女性の結婚・育児・家事にまつわる社会の無言の束縛や圧力…。男女平等社会は当然と思われるようになった今もあちこちで目にする男性優位の“上から目線”。なぜ今も?家庭や地元で刷り込まれたからか?無意識か?そこに潜む意外な心理的病理を、注目の精神科医が分析。男と女のわかりあえなさを踏まえつつ、お互いが歩み寄る糸口を探る、新しい男女の解剖書。
目次
第1章 どんな言動に表れるのか
第2章 男性優位を容認する社会心理
第3章 男性優位は無意識か、学習したものか
第4章 社会の男女平等観の変遷
第5章 男女の違いをどう捉えるか
第6章 男尊女卑のスパイラルに陥らないために
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