「婚活」にいそしむ男女を取材して書かれた部分にはさすがにげんなりしたが、シェアハウスやゲストハウス、異業種交流会等をとおして新たな関係性の構築を模索する人々を取り上げた部分はとても興味深かった。「地域おこし協力隊」の一員としてIターンを決行した独身女性の事例も印象深かった。
性愛の欲望は普遍的なものではない、具体的には、個人差がとても大きく、終生欲望が希薄な者も珍しくなく、また、欲望が亢進する時期があっても、ほとんどの人は、いつかは冷める。また、子どもをもつことについても、とくにいつまでもそれに執心する者はそれほど多くはない。また、良縁があったとしても、法律婚を遂げる必然性はまるでないわけだから、お互いが望む期間だけ共同生活をおくれば良い。
だとすれば、結婚できなければ孤独死へ一直線といった短絡的固定観念は捨てて、浅くても長期にわたって頼りあえる関係性を構築するなりして、結婚してもしなくても、子どもがいてもいなくても、寂しくも不安でもなくそれなりに充実した人生を自由に楽しんだら良い。そんな著者のメッセージが聞こえてきそうな作品だ。
それでも、やっぱり「つながりたい」―未婚社会における“絆”の在り処とは?平成27年版厚生労働白書では「2035年には男性の生涯未婚率が29.0%、女性が19.2%になる」と予測されている。未婚者が増えた背景を探るとともに、結婚したい人が結婚に至るには誰がなにをすればいいのか、また、結婚しない場合の“絆”にはどのようなものがありうるのかなどのヒントを丁寧な取材から紐解いてゆく。
目次
結婚相手はどこにいる?―地方に憧れる女性たち
競争社会を駆け抜けるシングルたち―上昇志向と実家回帰
“お見合い恋愛”時代の到来!―縮まり始めた恋愛結婚との境
36歳、婚活のリアル―ネット婚活の光と影
シェアハウスの“分散型”絆とは?―利害がつなぐ人間関係
40代、おひとり様女子の移住―見知らぬ土地で見つけた“居場所”
“生涯未婚”と言われても―50歳だから、結婚したい
50歳の未婚オトコたち―人生の逆転はある?ない?
ゲストハウスの緩いつながり―地縁の新しい形
ビジネス会がつくる新しい絆―盛り上がる異業種交流会と研修ビジネス
自治体の婚活支援とつながりの可能性―絆づくりに挑戦する人たち
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