高橋秀実,2005,『トラウマの国』,新潮社(¥1,470)'05.8.29 ・・・トラウマ・セラピー、老成した子ども、資格取得競争、スピーチ訓練学校、地域通貨、女性による男性へのDV、日本共産党、スローライフのせわしない現実等々、ちょっとヘンな日常のひとこまひとこまを、丹念な取材にもとづき、とぼけた論調でしかし鮮やかに描き出す。人間の愚かさ、あくどさを正面から告発するのではなく、ボケ役に徹しながら、さりげなく現実のどうしようもない閉塞状況をえぐり出す。異色ルポルタージュの佳作。