新聞記者であった筆者が学校で取材を重ねていた1970年代の終わりといえば、それまでは、途上国で社会主義政権の転覆と容赦ない市場原理主義の押しつけを行ってきた、ネオリベラリズムと結託したネオコンサバティズムが、イギリス、米国、そして日本で台頭しはじめていた時期である。
この時期の日本では、団塊ジュニア世代が過剰な管理教育のもと、熾烈な競争原理に晒され、いじめ、校内暴力、子の親への家庭内暴力等の問題が顕在化していた。
高度経済成長が終わり、所得格差が拡大し、親の階層が子どもの学力を強く規定する「新・身分社会」が成立していくなか、子どもの自ら人生を切り開いていく自律性と自由が剥奪され、異常な管理教育が推進されていく。
過剰人口世代の解消は、過剰な競争原理と管理教育を弛緩させたといえるが、子どもの自律性はなお剥奪されたままである。
ネオリベラリズムと結託したネオコンサバティズムが増長し、それに異議を唱えず沈黙する人々が増えている現実をみるにつけ、本書での渾身の取材記録が過去の遺物でないことを痛感する。
(本書はオンデマンド版で入手可能。)
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