本と音楽とねこと

景気後退・意外な効果

 某学科を除き、推薦入試の志願状況が好調である。
 なぜか。
 金融恐慌と景気後退局面入りにより、高校新卒者への企業求人が激減しているから。理由はおそらくそれだろう。就職できそうもないなら、奨学金もらいながらとりあえず大学に行き、高卒よりもましであろう大学新卒者への求人状況に、また4年後の景気回復に期待する。就職氷河期世代のフリーター、その貧困問題が、深刻な「社会問題」として構築されている。職にあぶれることへの恐怖はそうとうのものだろう。
 懸念されるのは、とどまるところを知らない福祉人気の凋落である。それに対し、社会学の人気が盛り返し、心理学の志願者も堅調だ。介護保険制度の創設に向かっていた1990年代後半期、社会学の人気が凋落し福祉学に志願者をごっそりもっていかれていたのがうそのようだ。TVや雑誌では、福祉施設職員がフリーターに次ぐワーキングプアの典型としてこれでもかというほど取り上げられ続けている。
 いくつかの変数をあたまのなかで重回帰式に代入してみると、ここ20年くらいの、社会福祉学と社会学との人気度の推移がすっきり理解できる。
 「人気」は正直かつ的確にして冷酷だ。

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