素人、考古学・古生物学を学ぶ

人類の起源・進化・移動や太古の昔、日本に棲んでいたゾウ類にも関心があり、素人の目線で考えてみます。

ゾウ目「デイノテリウム」再考(1)  

2023年05月06日 15時18分43秒 | 絶滅と進化

         

      ゾウ目「デイノテリウム」再考(1)

 

 1.デイノテリウムはゾウの仲間か

 前回のシリーズ「生物と絶滅について考える(6):4.古代ゾウの絶滅原因」の中で、ゾウ目のディノテリウムを取り上げ、以下のように述べました。

 「ゾウの仲間のデイノテリウムの「目」は、「長鼻目」または「ゾウ目」です。科はデイノテリウム科、属はデイノテリウム属です。特徴的な形態として、下顎にナイフのような2本の20cmくらいの長さの牙が前にではなく、後ろに向いて伸びています。草などの根っこや低木の小枝を手前に引っかけるように刈り取ることで、短い鼻でやっと口に運ぶことが出来たようです。

ゾウ目の仲間は挙(こぞ)って臼歯(奥歯)で掏り潰すようにして大量の餌を日がな一日食べていますから、歯が生え替わらないと十分に餌を摂ることが出来ず滅びてしまいます。中でもデイノテリウムの場合、歯が生え替わらず弱かったために絶滅に追いやられたのではないかと考えられるのです。 

 それでもデイノテリウムは、更新世前期には絶滅しましたがゾウ目の仲間の祖先の一種として、新生代新第三紀中新世前期から第四紀更新世前期(2300万年前から100万年前)まで代々子孫を育んだ種だったと言えます。」

 後で読み返したのですが、「ゾウ目の仲間」という表現が気になり思案しましたが、使い方としては「誤りではない」と、自分を納得させることにしました。大きくは「同類」と言う程度の意味で用いたものと考えるようにしています。ゾウ目の「遠縁」とか「縁戚」とかにしますと、血のつながりがあることになり大変難しいといいますか、交雑などややこしい議論が必要になりますので、使わない方がよさそうなのです。

 今回は、外国の古生物学の先生方の見方にも触れながら、《「ゾウ目デイノテリウム再考》と題して若干の考察をしてみることにしました。

 デイノテリウムの属名及び学名はDeinotheriumで、学名そのものがterrible beasts「恐ろしい獣」と言う意味であり、現在もそう呼ばれています。生息していた時代は、前述のように新生代第三紀中新世前期から更新世前期で、その年代は2300万年前から100万年前ごろと推測されています。実際には諸説ありまして、400万年前から200万年前と言う説もその一つです。

 〔注〕theriumとは、以前《獣》とか《動物》などの意味があると書いたことがあります。

 形態的特徴としては、下顎に大きく後ろ向きに、下側を向いた長さ20センチ位の鋭い牙を持っていることだと言えますが、上顎には牙がないのも特徴です。下記の全身骨格標本(国立科学博物館)を見てわかると思いますが、大方のゾウ目の仲間が上顎に牙を持っているのですが、ゾウ目の仲間の中では珍しく下顎から鋭い鎌形の牙を持っていたのです。一説では「その特異性ゆえかあまり繁栄しなかった」のではないか、と言う説もあるくらいです。

 形態は、体長が凡そ5から7メートル、足下から肩までの体高が3.5から4.5メートル程度と見られています。また体重も5,6トンはあったと言われています。しかし「種」によっては、例えばGigaterium 種はもっと体長、体高、体重ともに大きかっただろうと考えられています。また、特異な牙は、「肉食獣からの護身」、「繁殖における雄同士の争い」に用いたたり、樹皮を剥がして食べるのに使ったとも考えられます。

 湿度の高い森の中とか、水辺とかが棲息していたと推測されますので、食べ物は森の樹木の樹皮や葉の付いた小枝、水草などを好んで食していたのではないかと思われます。

                   デイノテリウム全身骨格標本

           デイノテリウム全身骨格 

           出典:国立科学博物館地球館展示から:【古生物スポット紹介】

               国立科学博物館 地球館 (National Museum of Nature and Science,Tokyo)、

               動画を操作しながら見ることが出来ます。

              

                        デイノテリウムのイラスト

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                出典:無料イラスト、イラストACより引用、無料利用仮登録済み



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