RPGツクールを知っているだろうか。自作のRPGが作れるというRPG好きならドンピシャでハマッてしまう夢のようなゲームソフトである。ゲームを作るゲームと考えると、いかにも近代的なツールと思うが意外と歴史は古く、SFCのときから既に発売されてシリーズが続いているロングランな商品だ。※今ではツクールではなく「RPG MAKER」というシリーズ名称に変わっている。
価格は安くはないが、買えなくはないというお手軽チックな面もありユーザーの間口は意外と広い。我こそはと息巻くユーザーは購入しオリジナリティ溢れるゲームの制作を夢見て始めるのがほぼ全てのユーザーの入口であろう。しかし現実はそう甘くない。制作を始めたは良いものの様々な問題に直面し恐らくその8割以上(無根拠なデータ)が途中で挫折しホコリのかぶったゲームとなろう。というのはツクールに携わった人間であれば通説のようなものだ。
かくいう自分もその経験をした人間の一人であり何回も同じことを繰り返した。しかし自慢ではないが 実は最後まで行きついたことがあり、2作品を作り上げたこともある。完遂した処女作はニンテンドーDSで発売された「RPGツクール+」というもので、10年以上前のツクールシリーズだ。個人的にこのツクールは非常にユーザビリティが良く、個人的な見解であるが 鬼門となるマップ作りとテキスト打込みが非常に優れていた。ただ汎用性は広いものではなくお手軽な分、お手軽なゲームしか作れない。凝った作品など出来るはずもなく容量的な問題もあり、10時間未満でEDを迎えるような作品しか作れないシロモノであった。しかしこの経験が役に立ったであろう次に手を付けたのはPCで発売されている「RPGツクールVX Ace」というシリーズであり、この作品は頑張った。EDまで延べ40時間程度のRPGを仕上げることが出来た。今考えてもよくやったものである。正直5年もの歳月を費やした。
さて前置きが長くなったが今回はツクールを始める人間にアドバイスというつもりはないが、実際の経験談を語りつつ 制作のきっかけになってもらえることを望み、記事にしてみる。もちろん自分はプロフェッショナルでもなく、作り上げた2作についても人様に公開できるような立派なものでもない。友人にプレイしてもらった程度だ。なので指南チックな記事ではないし そもそも参考にもならないこと請け合いである。それでも見て頂けるとありがたい。
まずそもそも、令和という時世に時代錯誤も甚だしいが、ツクールを仕上げるのに必要なのは根気と情熱という精神論である。しかもコレは大前提という意味で捉えてほしい。大前提があったうえで他の要素もクリアし何とか作り上げられるのものなのだ。出口の見えないトンネルをただ真っすぐに歩き続ける。この根気がなければ ある程度の長編物のRPGを作ることは不可能だ。これを知ってもらいたい。もちろんこの精神論がなければ手を出す資格がないとか、そんなことを言うつもりはない。興味本位で出してみるのも一興だ。まず続かないが。
次にツクールを仕上げる一つの考え方として「最初から長編物を作らず、短い物から作ろう」理論。・・・間違いではないのだが これはどうだろうか。恐らくEDまでたどり着いたという達成感を自分自身に植え付けることが一番の目的であり、それに伴ってツクールの機能を徐々に知っていこうよ、という考え方であると思うが。確かに作品を作るにはツクールの機能を理解し駆使する必要があり、それには短く簡単なゲームの作品を仕上げるというのは正論だ。しかし果たしてそんなゲームを作って楽しいだろうか、満足できるだろうか。自分はつまんなくなる。だからそんな考えをとった覚えはない。
どんなストーリーにするか、キャラクターはどんなのがいるか。キャラクターの背景はなんだ、ストーリーの背景はなんだ。とどのつまりはどんな結末にするか。そんな企画を全て思いつく限り書き出す。これが一番だと思う。今の時代PCとスマホがあればアプリを使ってデータベース等 簡単にできる便利な世の中なのだ。これをするだけでも結構楽しいもの。ツクールのソフト等使わなくたって創作活動は出来るのだ。しかし、とは言っても書き出すのだって意外と難しい。何の情報をどのような括りで書き出していけばいいか わからない。そんなことも往々にあり得る。でもそれも経験である。無我夢中に書き出してるうちにどのような情報を管理すれば良いか、自分なりのやり方が見えてくるだろう。自分もこういった情報の他にも用語やステータス、装備品、技等、ほぼ全てをExcelで書き出した。別に高度な技術は必要ない。ただ単に項目ごとに作っただけだ。しかしそれだけでも有るか無いかだけで管理の精度は雲泥の差となる。
そしてそれと同時にツクールのシリーズの特性を並行して調べておきたい。ツクールシリーズは大きく分けて2つ。「家庭用ゲーム機」か「PC」かである。断トツに使い勝手がいいのはPCだ もちろん。携帯ゲーム機でいつでもどこでもという利点は多少あるが、それだけだ。何よりもテキストを打ち込むだけでフラストレーションの限界突破はすぐにやってくる。それだけPCの汎用性は偉大なのだ。別で後述するがPCはどこかの誰かさんが無料で配布している拡張コードで溢れている。それを使いこなせば限りなく無制限に機能拡張が可能なのだ。ただし自分のPCの性能と見合うかどうかも事前の下調べが必要であろう。シリーズの特性上、複雑な処理技術や高性能なCPU、高解像度のグラフィック。所謂ハイスペックなマシンを必要とするゲームではないが、シリーズ上位になればなるほどマシンに性能を求められることは言わずもがな。例えば自分のように動画見ます、ネットサーフィンします 程度の人間が持つPCでは最新作のツクールを動作させることはもはや不可能であろう。なんとなくそう思う。
更にPCのツクールにもシリーズがわんさかある。自分がメインで使ったのは「RPGツクールVX Ace」というシリーズであるが、今となっては時代遅れな商品である。そもそも新作はツクールではなく「RPG MAKER」という商品名に変わっている。出来ることも ことさら多くなっているのであろう。まずはその辺のシリーズの体験版をダウンロードし使い勝手を見てみれば宜しい。買うのはその辺の調査が済んでからの方が良いだろう。シリーズ毎にブラッシュアップされているとはいえ、微妙な使い勝手の違いはあるはずだ。
この辺が済んでから購入し始めるといった具合だ。ここまでの段階で購入前の「心構えや準備」の話である。仕事とも思えるような心構えがあって、1万弱のお金を払ってプレイするゲームである。しかもそれでも挫折する可能性が極めて高い。挫折することがわかっていて購入するこのゲームの価値については何とも言えない。ただ一般的なRPGソフトを2本でも買えば1万弱はするだろう。この2作をプレイしてEDまで迎えるまで約130時間として。ツクールはやり始めたらある程度熱中できる。挫折するとはいえ少なくとも200時間以上は費やせると考えたら、プレイ時間に対する費用対効果はそう悪くない。生産性は最悪だが。そんな側面で見ると、それで成り立つ商売なのだから上手に考えたものだ。
というか既に ここまでの段階で長文となってしまった。一旦ここで切り上げるが、また続きを書こうと思う。それでは。