66時間をかけてついにEDを迎えた。約1ヶ月のプレイとなった。大ボスを撃破後に差し込まれるラスボスとの一騎打ちの演出は素晴らしかった。一見の価値がある。
無事に何事もなく1週目を終えたのだが、端的に言えば「面白い作品」であった。それこそ幻想水滸伝の新作をプレイしているかのような感覚に陥ったのは幻想水滸伝5以来の約18年ぶりである。幻想水滸伝らしい作品であったという感覚が褒め言葉となるのかどうかは別問題であるが個人的には称賛に値すると考えている。この幻想水滸伝らしさの最たる作品と言えばやはり、幻想水滸伝2の印象が強い人も多いだろう。今回の百英雄伝が そこと比較してどうだったかを書いてみようと思う。
●戦闘システム・・・ハード性能の進化に伴った正当進化である。よって百英雄伝の方が面白い。むしろ幻想水滸伝2の方が簡素すぎる作りである為、百英雄伝が勝利するのは最もなのだが、進化=煩雑化と勘違いしているメーカーもある。そういった点では無粋なことはせずシンプルな進化をさせた百英雄伝は間違ってはいない。
●シナリオ・・・申し訳ないが幻想水滸伝2の足元に及ばない。比較されるのも辛いだろうが、「精神的続編」というキャッチがこれだけ出回ると比較されてしまうのは避けられない。まず主役の3人(ノア、セイ、メリサ)の扱いが雑で残念。んー 複数の主役級の設定をするのであれば、せめて「ノア、セイ」に絞った方が良かった。それでも3人に焦点をあてるのであれば、目指すべき姿は村山氏が途中脱退した「幻想水滸伝3」である。この作品くらいの多角的な視点を取り入れた群像劇を作れないのであれば手を出すべきではない。次の不満点としては、全体的に明るく、戦争をしているというよりも、スポーツ戦争をしている感じなのが どうにも腑に落ちない。緊迫感もない。幻想水滸伝2も戦争をテーマとするには、明るい作品であり、スポーツ戦争の兆候はあったが、ルカブライトのような「カリスマ的な悪」の存在や「ジョウイの悲壮感」などが随所に散りばめられておりシナリオの強弱があったことは間違いないし、何よりも真なる紋章を宿したことによる運命の儚さと最終EDの「救い」の出来栄えが最高であった。そういった作りが出来ているかと言うと、出来ていない。ノアの物語というよりも「諸国連合」の物語であり、そこに存在するリーダーが「ノア」というだけである。ただし戦争をテーマにするとシナリオはとても大変である。軍事的な視点だけではなく政治的、経済的な視点、貴族たちの権力争いなど。敵キャラクターの登場人物も多く作らなければならないし、ゲームを対象とする子供達の理解が及ばなくなる。そういった意味では分かりやすいように配慮した浅いシナリオであったのかもしれない。しかしながら小難しいシーンを避けつつ、重厚なシナリオを作り上げた幻想水滸伝2はやはり別格であったと改めて痛感する。
●ゲームBGM・・・素晴らしかった。幻想水滸伝2も耳に残る思い出深い楽曲が多かったが個人的には百英雄伝の方が優れていたであろう。本拠地BGMも良い。戦闘曲も何曲あるんだと思わせるくらい用意されており妥協点が見当たらない。
●グラフィック・・・幻想水滸伝2のグラフィックはドットがきめ細かく今見ても感動するレベルであったが、CGは弱く、当時の技術レベルであっても高品質とは言い難いものであった。百英雄伝は基本2Dのキャラクターを描きつつ背景は精細な1枚絵が描かれており、今でいう「HD-2D」のような手法が使われている。非常にワクワクする表現であった。だからといってCGに弱い訳でもなく、稀に差し込まれるムービーでも、恥じることのない精細なCGムービーがあった。よくぞ作り上げたと評価したい。
●一騎打ち・・・断然に百英雄伝の方が質が高い。幻想水滸伝2のようなじゃんけんシステムと若干異なり、分かりづらい上に相手の出方がセリフでは予測を立て辛いのは難点だが、何よりも戦闘演出が素晴らしい。一回の攻防で繰り出される攻撃、躱し、防御などは通り一辺倒ではなく何種類ものモーションが用意されている。ドットとは言え見応えのある十分な迫力がある。
●仲間キャラ・・・幻想水滸伝2の108人ですら多いのに、百英雄伝は120人である。少々やりすぎな感じは正直ある。余計なお世話かもしれないが、これをシリーズ化するのは難しいのでは。もし続編が出ても、この120人分のキャラクターがいる今作程 作りこんだゲームを開発するのはあまり現実的ではないような気がする。
●ミニゲーム・・・ミニゲームや本拠地で出来ることで言うと、百英雄伝の方が圧倒的に多い。むしろ本編よりもこの辺りの作り込みの方が力が入っているのではと思う程だ。評価したいがもう少しシナリオに力を入れてほしいものである。
●エンディング・・・1週目はノーマルエンドだった。スポーツ戦争らしい無難な終わり方であり、幻想水滸伝2のような心に引っかかる何かを残すことはなかった。また、幻想水滸伝シリーズ毎度のことだが、エピローグで仲間のその後が3行でつづられるのだが、これの読解が追いつかない。すぐにキャラが切り替えられてしまい じっくり見れないのが残念である。別の話となるが、EDクレジットは一風異なるものであった。クラウドファンディングであったこそだと思うが支援者らしき名前が網羅されていた。また名無しのデバッカーのようなものまで表記されており誠意で応えているんだなと感心。改めて支援者の有志があってこそ世に出た作品なのだと感じる感慨深いものもある。こういったものはもちろん幻想水滸伝2にはなかった。
といった具合で幻想水滸伝2と比較しても負けず劣らずの箇所は多い。もちろん肝となる、シナリオという点では「残念ながら…」という感想を持ってしまったが、百英雄伝を全体で見ると、往年のファンの期待に応えるべく真摯に取り組んでいたんだな、と感じ取れる作品ではなかろうか。
さて1週目は仲間集めもそこそこに 通しプレイを意識した為、本拠地での遊びやミニゲーム、仲間集めも少しかじった程度である。ゆえに2週目も引き続き継続する。1週目の終盤では、仲間コンプリートエンドの存在を明らかに匂わせるシーンがあった為、少なくとも仲間のコンプリートは必須かなと。ミニゲーム辺りももう少し掘り下げてプレイをして終わらせようと考えている。
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