定義
モラハラ
(モラルハラスメント)
とは、
相手が嫌がる言動や
行動によって、
精神的に追い詰める
ことを意味している。
モラハラの概念は、
フランスの精神科医
である
マリー=フランス・
イルゴイエンヌ氏が
提唱した。
イルゴイエンヌ氏は、
モラハラの定義を
「言葉や態度によって
相手の心を傷つける
精神的な暴力」
と提唱した。
モラハラという
「目に見えない暴力」
は、
被害者の心身の健康に
悪影響を与え、
うつ状態の
スパイラルへと陥らせ、
ひどい場合は
自殺に追い込むとして
危険視されている。
また、
イルゴイエンヌ氏が
提唱するモラハラの
範囲は、
職場だけでなく、
家庭など
あらゆる日常生活に
潜んでいるのである。
さらに、
イルゴイエンヌ氏は
精神科医として
この問題に早くから
取り込み、
時に被害者を自殺に
まで追い込む
これらの精神的暴力は、
肉体的な暴力よりも
深刻であり、
犯罪行為である
と述べている。
パワハラとモラハラの違い
パワハラは、
職場などで起きる
行為を指すことが
一般的で、
精神的な暴力も
身体的な暴力も
含まれる。
そして
権力を行使する者が
その権力を乱用して
他者に行う行為には
背景に、
権力を行使する者に
とって
「優越的な関係」
が見られる。
一方で、
モラハラは
職場、
家庭、
友人
の関係において
成り立つ。
言葉などによる
精神的な攻撃が
主で、
暴力行為は含ま
れないことが
一般的である。
加えて、
加害者と被害者の
関係に、地位等の
優劣は存在しない。
原因①
幼少期の家庭環境が原因
モラハラ要因と
密接に関わって
いるのが
「自己肯定感」
である。
「自己肯定感」
とは、
ありのままの
自分を認めて、
受け入れる事が
できる能力
を指す。
ところが、
モラハラを行う
加害者は
自己肯定感が
低い
という特徴が
ある。
原因として
幼少期に
特別な家庭環境で
育ったことが挙げ
られる。
第1に
「親から虐待や
嫌がらせを
毎日のように
受けて育った」
ケースである。
虐待や嫌がらせを
受けたことで、
自分の意思や
人格的な尊厳が
軽んじられて
育つ。
その結果、
自己肯定感が
育たないので
ある。
第2に
「親が執拗に
子どもに
口を出す」
家庭で育った
ケースである。
親が過保護・
過干渉な場合
何かを決める時
子どもは
常に親の顔色を
伺って決定する
ように育つ。
その結果、
自分で意思決定
する機会が無く
なり
「自己肯定感」が
育たないのである。
原因②
日々の生活で 過剰なストレス が溜まっている
毎日の生活の中で
強いストレスが
かかっている事が
モラハラの原因の
1つと考えられる。
例えば、
・会社の人間関係が
上手く機能して
いない。
・仕事が忙しすぎる。
・給料が低い。
・家庭環境に様々な
トラブルを抱えて
いる。
などである。
このように
毎日の生活における
ストレスの蓄積が
原因で、
心の余裕が失われて
いる可能性がある。
原因③
自己愛性 パーソナリティ 障害
「自己愛性
パーソナリティ
障害」
とは、
ありのままの自分を
肯定できず、
自分は特別な存在で
なければならない
と思い込む
パーソナリティ
障害の一種である。
このような人は
自信満々な振舞い
とは裏腹に
内心では
劣等感や
コンプレックスを
抱え込んでいるのが
特徴である。
他者から
興味を引きたい
という承認欲求が
強く、
そのためには
他人を傷つける
言動も平気でする
傾向がある。
さらに
自分に対する
イメージが
高いことで、
他人から
批判されると
反抗することが
往々にしてあり、
思いやりを持てず、
周囲とトラブルに
なることが多い
のである。
原因④
アダルト チルドレン
「アダルトチルドレン」
とは、
幼少期に問題の
ある家庭環境で
育ったことが
要因で、
大人になっても
トラウマを抱えた
ままの状態で、
生きづらさを感じ
ている方のことを
指す。
現在では、
いわゆる
「機能不全家族」
「毒親」
の元で育った子ども
という
意味で使われる事が
多い。
アダルトチルドレン
になる要因としては
複数挙げることが
できる。
例えば、
①「 人との距離の
取り方が分か
らない」
②「 人からの承認
がないと不安
になる」
③「 自分に過剰に
批判的になる」
④「 感情のコント
ロールが
難しい」
などである。
特に、
モラハラ被害者の
中には
「両親の不仲、
虐待、無関心、
親の価値観の
押し付けなど」
子どもが健全に
育つ上で大切だ
とされている心が
乱されない、
安全な場所として
機能していない
家族の中で育った
経験をした方が
多い。
特徴①
自分が優位に 立ちたい
加害者は、
実は
自分に自信がない。
自分に自信が持て
ないからこそ、
相手に対して威圧的
な言動や暴言などで
攻撃して
「相手よりも自分
が優位だ」
という感覚を手に
入れることに必死
である。
つまり、
相手に
罪悪感、
羞恥心
を抱かせ
「下に見る」
ことで、
自分が相対的に
「上に立った」
という感覚を得る。
モラハラを行う人
ほど、
会社の上司などの
権力者の前では
ヘコヘコとして
外面を良く振舞う
のも、
自分への自信のなさ
の裏返しである。
特徴②
自分が受けた被害を 相手にも与えたい
モラハラをする人は、
・「過去に親から
同様な被害を
受けていた」
・「親のモラハラを
目の当たりに
していた」
・「過去に会社の
上司から同様な
被害で傷つけ
られた」
などを
経験している場合
が多い。
このタイプの方は
自分が受けた被害を
パートナーにも
与えたい
という心理が働く
と考えられる。
自分が過去に
同様な被害を
被ったため、
似たような状況
になると
モラハラを
再現してしまう
のである。
自分がされた
嫌がらせを、
全く無関係の
パートナーに
対して
行ってしまう
のは生産性に
欠ける価値の
無い行為で
ある。
特徴③
相手を支配したい ・依存したい
加害者には
「相手を
支配したい、
依存したい」
という心理がある。
加害者は被害者に
対して
・「自分一人では
何もできない」
・「みんなから
馬鹿にされる」
・「そんな事では
恥ずかしい」
などの暴言を吐く。
この心理は、
パートナーに
とって自分が
「特別な存在だ」
と実感させるため
のものである。
被害者に
罪悪感、
羞恥心
を抱かせて
自分がいなければ
何もできないと
錯覚させて
実は、
加害者が
被害者に
依存している
のである。
これは、
パートナーを失う
ことを恐れている
心理の裏返しである。
特徴④
自己中心的な 性格である
モラハラの加害者は
自己中心的な性格
の場合が多い。
常に、
自分主体で物事を
考え、
自分の思い通りに
いかないと
イライラしたり、
怒ったり
するタイプである。
日頃から、
自分の欲求や意見を
優先し、
他人の感情や意見を
無視する。
思いやりがある
家庭環境で育て
られず、
自分の気持ちに
配慮して貰えた
経験が乏しいため
他人の気持ちに
配慮できず、
それどころか
親や兄弟から
搾取された家庭
環境の場合に、
自分の思い通り
にする事が正解
だと学習し、
配偶者や友人でも
相手を攻撃したり、
コントロールする
兆候が出て来る。
特徴⑤
平気で嘘をつく
モラハラの加害者は、
自分を正当化する
動機が強すぎるため
に、平気で嘘をつく
ことがある。
むしろ、
本人すら
嘘をついている
という
自覚が無いので
ある。
それも
自分を高く見せ
たり、
自分の
自尊心、
虚栄心
を守るために
行うことが
多いのが特徴
である。
自分を守るために、
無意識的に自分に
とって都合の良い
嘘の方が「真実」
だと信じ込んで
しまう。
例えば、
自分が失敗した
ことに対して
「自分はやって
いない」
と嘘をついたり、
誤解していたこと
に対して
「間違っていない」
と理屈をこねて
真実を捻じ曲げ
ようとする。
特徴⑥
間違えても 謝らない
モラハラの
加害者は、
自分を守るために
責任を回避しよう
と、謝らない傾向
がある。
例えば、
自分が間違えた
のに謝らず、
「指示の仕方が
悪い」
「お前が○○
なのが悪い」
などと、相手を
攻撃する傾向
がある。
また、
モラハラ
加害者は
常に
「自分が正しい」
という態度を崩さ
ない。
どのようなミスを
しても謝らず、
周りが悪いかの
ように、振る舞い
自分を正当化する。
対処法①
「モラハラ加害者が悪い」 ことを理解し、「無視をする」
自己肯定感が
低い人は
ありのままの
自分を肯定する
ことが難しい。
一方で、
「自身の立場の
優位性を認め
させたい」
という欲求は
人一倍強い
傾向がある。
そこで、
他人を見下し、
ないがしろに扱う
ことで
自分の立場の
優位性が上がった
感覚を得ている
のである。
対して、
モラハラ被害に
遭いやすい人と
いうのは
穏やかで、
人に強く言い
返すことがなく、
自分に非がある
のではないかと
考え込んでしまう
優しいタイプの人
である。
このような
性格の人は、
加害者の絶好の
ターゲットに
なる可能性が
ある。
そうならない
対策として、
「加害者に
100%非が
あり、
被害者は
何も悪く
ない」
と強く理解する
ことが得策で
ある。
とは言え、
「議論すると
いつも
言い負か
されて
しまう」
「言い返すと
火に油を
注いで
余計に
消耗する」
と悩んでいる
方も多いはず
である。
では、
どうすれば
よいのか?
被害に対処する
第一歩は、
「無視」である。
加害者は
嫌がらせにより
「自分の立場の
優位性を誇示」
しているので
言動を無視する
ことで
優越感に浸らせず、
嫌がらせ行為が
「自分の欲求を
満たすのに
役に立たない」
と痛感させる事が
できるのである。
対処法②
物理的に距離をとる
モラハラは
行為者の
精神状態に
トラブルが
ある。
一方で、
被害者は
その行為の
ために
心身共に
健康状態を
害している。
そのまま
耐え続けて
いると
取り返しの
つかない
状態に陥る。
ところが、
どうしても
嫌がらせ
行為が
収まらない
場合には
「物理的な
距離を
とる」
ことがベスト
である。
とは言え、
「子どもがいる
から、
夫の元から
離れる事は
できない」
と思われる方が
多いはずである。
しかし、
無理をして
倒れては
守りたいものが
守れなくなって
しまう。
では、
どうすればよい
のか?
ご自身で
どうにもならない
場合には
第三者の助けを
求めると良い。
例えば、
友人、
実家、
公的な一次
避難所
など頼れる
相手は複数
考えられる。
諦めずに、
ネットワーク
を使用して
相談場所を
探して貰い
たい。
対処法③
モラハラされても 謝らない
もし、
相手から何かを
責められたり、
怒られても
「謝る」
ことは絶対に
しないこと。
何故なら、
被害者が謝る
ことで
屈服させたと
いう
「優越感」
に浸ることが
できるからで
ある。
とは言え、
「自分に向け
られる指摘
や非難には
一理ある」
と考える人が
いるかもしれ
ない。
しかし、
問題は、
相手の言動の
中身ではない。
むしろ、
モラハラは、
被害者の
意見、
考え方
を尊重しない
「相手の態度」
が、大きな問題
なのである。
加えて、
「相手の行為が
モラハラに
該当する」
と指摘すると
よい。
例えば、
「あなたの
している
ことは
モラハラ
即ち
嫌がらせ
である」
「そのような
言い方を
されては
話し合いに
ならない」
という具合に
これ以上
同じ行為を
続けさせない
よう、
制止するように
伝えることも
対策の1つで
ある。
対処法④
人目のあるところで 話し合いをもつ
配偶者と
モラハラに
関する話し合い
の場を設ける
のであれば、
カフェ、
レストラン
など、
人目がある所で
行うことがベスト
である。
もし、
自宅などで
話し合いを
すると、
相手は
自分のペースに
話をもっていき
やすくなる。
場合によっては
声を荒げたり、
逆上される恐れ
があるため、
是非とも、
避けて貰いたい。
それ故、
加害者に
そのような
行動を取り
づらくさせる
ためにも、
話し合いの場
をもつ場合は、
人目のある
カフェ、
レストラン
を選ぶ方が
得策である。