「ミスター・フルスイング」です。
2010年10月プロ野球ドラフト会議にて福岡ソフトバンクホークスから2位指名を受けて入団。この指名時に秋山翔吾選手(埼玉西武ライオンズ)を指名する方針でしたが、王貞治会長が「(指名候補の中で)誰が一番飛ばすんだ?」と聞き、スカウトが「柳田です」と即答したところ、指名が変わったと言う話です。
今年、その秋山選手と高打率での首位打者争いをしているのは運命みたいなものかもしれません。
その期待された「飛ばす」をプロ入り後に初披露したのが2012年8月5日に松永浩典選手(埼玉西武ライオンズ)から推定135mのプロ入りプロ入り初ホームランです。
今年は6月3日の横浜スタジアムでの横浜DeNAベイスターズ戦ではセンター後方のバックスクリーンのさらに上に向かって飛んで行った超特大ホームランで電光掲示板の上部に打球が直撃し、LEDランプを破壊してしまい、30cm四方が表示不能に陥いるという逸話まで誕生しました。
身長187cm、体重92kgの身体が、このフルスイングから繰り出されるパワーの秘訣の一つと思われますが、高校三年時の体重は68kgしかなかったそうです。
高校一年時は、身体は細くて、身長も170cmくらい。一年生の中でも目立った存在ではなかったそうです。
そこから身長が伸び続け、二年秋にライトのレギュラーを獲得した時には、180cmを超えていて、三年夏の最後の大会が終わると(現役引退後だから時間がある?)、かつて金本知憲さん(元阪神タイガース)、新井貴浩選手(広島東洋カープ)、中田翔選手(北海道日本ハムファイターズ)らが通っていた広島市内のスポーツジム「トレーニングクラブ・アスリート」に出向き、トレーニングの重要性に目覚め、大学卒業時には体重が90キロ近くまで増えていたそうです。
このトレーニングで肉体改造に成功し、その中で代名詞のフルスイングが定着していったそうです。
(なぜか澤村選手のネームプレート)
「高校に入ってから途中までは逆方向とかミート中心のバッティングをやっていましたが、中軸を打たせてもらうようになってからはフルスイングを意識するようになりました。ただ、今でもフルスイングすることをしっかり意識しないと、ついボールを当てにいってしまうんです。そうならないように、振り過ぎなぐらい振りにいきますね」
その柳田選手を見ていて一番楽しいのは、何と言っても思い切りスイングしていることです。
たとえ空振り三振でも、体勢が崩れて倒れそうになるくらいです。ハーフスイングで三振ししたり、当てに言ったような腰砕けの格好でボテボテの内野ゴロでアウトになる選手を見ているよりも、観る価値のある選手です。
そんな柳田選手に「バットは何%の力で振っているのか?」と聞いたライターがいます。
返ってきた答えは「どんな場面でも100%の力で振っています。2ストライクに追い込まれて、力を加減しようとすると全然ダメなんです(笑)。だから、追い込まれても、どんな時でも100%で振ることを心掛けています」とのことです。
つまり、追い込まれたから、確実性を狙うのではなく、どんな場面でも、全力でバットを振るということなのでしょうね。
おそらく、力を加減しようと思えば出来るでしょうけど、それでアウトになるくらいなら、思い切り振ってアウトになった方が良いと思う。
どこかで何か加減したり、要領よく合わせたり、実生活や仕事の中でついつい妥協点を探し出してしまったりする毎日です。
でも、いつでも、どこでも全力でバットを振るという柳田選手の「迷うことなく自分のスタイルを貫く」という思い切りのよさがは、忘れかけている大事なことを思い出させてくれます。
私もこう言えるようになりませんと。
「どんな場面でも100%の力です」