第49回明治神宮野球大会は11月14日に神宮球場で大学の部の決勝が行われ、立正大(東都)が環太平洋大(中国・四国)に6-4で逆転勝ちし、初出場優勝した2009年以来、9年ぶり2度目の優勝を果たしました。
立正大はスライダーとカットボールを操る右の釘宮光希選手、環太平洋大はスライダーとカーブを駆使する左の岩永啓汰選手が先発。
2回裏、環太平洋大は五番・仲村来唯成選手がヒットで出塁、その後2アウト二塁から七番・梅本聡太選手が右中間へのタイムリー2ベース。環太平洋大が1点を先制。
すぐさま3回表、立正大が反撃。先頭の米田虎太郎選手がヒットで出ると、続く八番・佐々木勝哉選手がレフトフェンス直撃のタイムリー2ベース。立正大が1-1の同点に追いつく。さらに送って2アウト三塁と、立正大は勝ち越しを狙うが、環太平洋大は早々と先発・岩永選手に代えて右の佐々木龍志選手を投入して後続を断ちます。その後は立正大・釘宮選手、環太平洋大は佐々木選手から6回表に左の屋良陸選手へ繋いで投げ合いになります。
試合が動いたのは6回裏。環太平洋大の先頭、三番・安藤優汰選手のニゴロを、横浜DeNAベイスターズドラフト2位指名のセカンド・伊藤裕季也選手が悪送球。その後、四番・志賀巧朗選手の三塁線を破る2ベースにフィルダースチョイスもあって1アウト満塁。ここで七番・梅本選手がライトへタイムリーヒットを放って勝ち越し。さらに八番・祝出一慶選手もライト前にタイムリーヒットを放ち、代打・藤田翼選手の犠牲フライで4-1と一気に3点リードを奪います。
7回から環太平洋大は変則左腕の仲尾元貴選手が登板。しかし、立正大は六番・土井慎二選手と七番・米田選手の連打で1アウト二･三塁とすると、八番・佐々木勝哉選手が、レフト前タイムリーヒット。2点差として、なおも一･三塁のチャンスでしたが、代打・奥田昇大選手のスクイズはピッチャーフライ。スタートを切っていた一塁ランナーも戻れずダブルプレーとなり、反攻を断たれます。
立正大は8回表も先頭の一番・平田巧選手が2ベースヒットで出塁。ここで環太平洋大はエース西山雅貴選手をマウンドへ送ります。立正大は送りバントで送って1アウト三塁とすると、東北楽天ゴールデンイーグルスドラフト7位指名の三番・小郷裕哉選手がセンター前にタイムリーヒットを放って4-3と1点差。そして1アウト一塁の場面で、四番・伊藤がレフトスタンドへ逆転の2ランホームラン。その後、七番・米田選手の犠牲フライもあって、この回4点を挙げます。
9回裏、2アウトと追い込まれた環太平洋大は、立正大の3番手・糸川亮太選手から押部智樹選手が左中間へ3ベースで最後の反撃に出る。しかし、三番・安藤のバットは空を切り、試合終了。立正大が2009年以来9年ぶりの優勝を果たしました。
決勝
立正大 ０ ０ １ ０ ０ ０ １ ４ ０｜６
環太平洋大 ０ １ ０ ０ ０ ３ ０ ０ ０｜４
2009年に立正大はリーグと神宮大会を初制覇した翌年の2010年に東都2部降格。現四年生の伊藤選手らの入学時も2部でした。2013年に就任した坂田監督が、社会人のシダックス時代にキャッチャーとして野村克也さん(元東北楽天ゴールデンイーグルス監督ほか)から学んだ「頭で勝つ野球」をチームに浸透させてきました。場面ごとに相手の心理を読み、連係して動く緻密な野球です。「最初は理解が難しかったけれど、『考える野球』が身につくにつれて結果が伴ってきた」と伊藤選手は話します。
昨秋の15季ぶりに1部へ昇格。今秋は開幕3連敗と出遅れましたが、「あとがない状況を乗り越える中で、選手たちは一戦ごとに成長してくれた」と坂田監督は語っています。ベイスターズ2位指名の伊藤選手、イーグルス7位指名の小郷選手のドラフト指名コンビを軸とする攻撃力と、不安視された投手陣の踏ん張りがリーグ戦後半からかみ合って、ここまで勝ち上がってきました。
