寒い冬はやっぱりどこにも出かける気にはなりません。出かけたとしても、暖かい沖縄がいいなと思うという単純な私です。
ただ、今シーズンの冬は暖冬。よって、TVでよく観たことがあり、一度は行ってみたいと思っていた、世界で唯一温泉に入るお猿さん(スノーモンキー)が見られるスポットとして、世界的に有名なのが長野県山ノ内町にある「地獄谷野猿公苑」へと足を運んできました。
この施設は今のところ年中無休ですが、お猿さんたちが温泉に入る時期というのは冬だけです。さらに、冬でも冷え込んだ日または朝早くではないと温泉につかるお猿さんは見られないということもあって、早めに自宅を出発。
冬季の平日でも平均来場者は約150人いるそうで、さらにその半数以上が外国人になるそうです。私が訪れた日も平日でしたが、日本人は私だけ?と思えるような雰囲気でした。
そもそも、なぜ寒い冬に足元の悪い中を延々と歩いてお猿さんを観に行くほどの人気があるのかと言いますと、米国の自然写真コンテスト「ネイチャーズ・ベスト国際写真コンテスト2006」で国内外のプロ写真家らによる12,000点以上の作品を抑え、地獄谷野猿公苑の職員・萩原敏夫さんが撮影した「雪ザルと赤ん坊」という写真がグランプリを受賞したことが発端になります。
それに加えて、「温泉に入る猿がいるのは、世界でも地獄谷野猿公苑だけ」と言われたこともあり、以前から海外でも知られていた観光スポットでしたが、世界的な知名度を大きく高め、外国人観光客が増えたのです。
一般的には、お猿さんたちは水が嫌いであり、温泉に入ることは考えられないそうです。
では、どうしてここのお猿さんたちが温泉に入るようになったのかというと、1964年に日本猿の生態を間近で観察できる場所として地獄谷野猿公苑が作られました。その後、餌づけに成功したお猿さんたちの内、偶然、子猿が野猿公苑のすぐ近くの露天風呂に入ることを覚えたそうです。
すると、お猿さんたちが野猿公苑にいる時間が多くなり、必然的に餌待ちの時間を潰すために周辺の施設に遊びに行くお猿さんが増えたようです。その後、徐々に仲間の子猿や他のお猿さんもつられて温泉に入ることを覚え、以来、代々、お猿さんたちの間に温泉に入る行動が受け継がれていったとのことです。お猿さんたちが温泉に入るのは寒さをしのぐために身につけた知恵なので、夏場にはあまり温泉に入らないとのことです。
なお、私たち人間は冬にお風呂に入った後に、寒いところにいたりすると湯冷めをしてしまいますが、お猿さんのように全身を毛に覆われた動物は汗腺が少なく、汗をあまりかかないそうで、身体自体も寒冷地適応で体温を奪われない機能が発達しているため、湯冷めしないそうです。
駐車場から野猿公苑までは約2km。割と平らな道なりで山登りみたいに大変ではありませんが、雪が積もっていて滑りやすくなっていました。暖冬でこの状態ということは、雪の多い時には一体どうなっているのだろうかと。
その冬でも寒いと感じなければ温泉の周りにはやって来るけど、中に入ることはありません。実は訪れた日は人間的には寒くても、お猿さん的には寒くなかったようで、1匹たりとも温泉には入っていませんでした。また、偶然にも翌日にローカルニュースで野猿公苑の話題を取り上げていましたが、今シーズンはほとんど入浴姿が見られていないとのことでした。
それでも、温泉だけでなくいたるところにいるお猿さんたちを見ることが出来ます。
ちなみに、日本猿の英語名は正確には「Japanese monkey」ですが、寒冷地区に住む日本猿を驚きを込めて「Snow monkey」という別名が付けられ、定着しているそうです。