がめらのフィールドノート

人と自然との出会いの中から湧き上がった想いや音楽、エピソードなどを、紹介します。

小学6年生40人と挑む硫黄岳 ~その二~

2013年09月10日 | アウトドア
前記事に続き、第二弾のクラス。

今度は、帽子の色は紫ではなく黄色です。


行程は前のクラスと一緒。

タクシーで本沢入口に向かい、そこから約2時間かけて本沢温泉へ。

さらに一時間の急登で夏沢峠のやまびこ荘を目指します。






前クラスと若干違ったのは、天候。

登り出しの雨は少なかったのですが、やまびこ荘に先頭が着いて、あと少しで全員が到着、というところで、ドシャ降りの雨。

やられたー。レインウェアもザックカバーも着けていましたが、せまい山小屋にイッペンに入りきれないので、後の方の子たちはずいぶん雨の中待つことになってしまいました。


濡れ物の処理をして、着替をして、ホッと一息つく頃には、夕食どきになっていました。

あたたかいカレーライス。ありがたいです。





このクラスも全員ヤマネを見ることができました。




ヤマネを待っている間は、ランプの灯りの下、担任の先生と静かにお話をしている姿が印象的でした。

なんの話をしていたんだろうな。





外はまたもや雨と風の音。
夜中に外に出たときは、下界の夜景が見えていましたが、さて、明日の天気はどうなるでしょうか・・・。



朝。雨は小降りながら、強い風。
またもや「登れる」とはすぐに決断できない天候です。

決断の時間を伸ばしてもらい、朝食後、私は森林限界を超えてさらに15分ほどの地点まで下見に出ました。

森林限界の中と外では、天と地ほどの天候の違いがある場合があります。特に今回は風。硫黄岳は、森林限界を越えると、まったく風をよける場所がなくなります。足場も決していい山とは言えません。突風が吹いたら、体重の軽いこどもたちにとっては、命に関わる状況に陥ってしまいます。

ガスの濃さは、前回のクラスのときよりも薄いくらいです。風は・・・このままなら何とかなるかな、というギリギリの風。


ジャッジとしては前回のクラスとほとんど同じ。いや、ちょっと厳しいかな。
「行けるところまで行きましょう。今以上ガスが濃くなった場合、風が強くなった場合は、すぐに引き返します。おそらく森林限界を超えた地点での判断になると思います。」

一時間後、意を決して出発。




森林限界を越えて10分・・・。風は下見のときよりも明らかに強く、ときおりかなり強い風が吹きつけます。




「残念ですがここまでで限界です。命の危険があります。引き返します。」

全員を集めて話をし、すぐに引き返しました。
文句をいう子はいませんでした。やった、という子もいませんでした。みんな黙っていました。




悔しいな、という言葉を口に出したら、泣いてしまいそうな雰囲気でした。


でも、みんなで全力でチャレンジした結果です。満足はできないかもしれないけれど、得られたものはおおきかったと思います。


下山したその夜、「山とはなにか」「仲間とはなにか」子どもたちに考えてもらいました。

そのとき出てきた言葉を、このクラスの歌にも使わせていただきました。


キャンプファィヤーでは最後にしんみりとした時間が訪れました。
そして最後に、親からの手紙がそれぞれの子に渡されました。

炎の前で子どもたちは涙を流しながら、その手紙を読んでいました。

深い深い時間でした。






「仲間とともに」

一步また一步前へ 一步また一步高く 目指す頂はまだまだ遠く 山小屋でからだをいやす
ランプのともしび ヤマネの気配に 胸おどらせ 眠れない夜

  覚えていよう 山とは みんなと 私と あなたの
  強い絆が 生まれた場所


雨に打たれ風にふかれ それでも頂上を目指す 登ることが大事なんじゃない 登ろうと思うことが大事なんだ
たとえたどりつけなくても それは負けたことではなく わたしはここにいる ここまできた それだけで意味があるのです

  覚えていよう 山とは 試練と 挑戦と 成長と
  強さと思い出が 生まれる場所


一年目そして二年目 二年目から三年目 目指すゴールはすぐそこに あなたとすごす瞬間(とき)がいとおしい
かこむ炎 みんなの歌声が 森にひびきわたり しみこむ夜

  忘れない 仲間とは 信じ合い 支えあい わかちあい
  通じ合い 伝え合い ゆるしあう


ケンカして意地を張って それでもひとつになって進む 友だちはうつりかわっても 仲間はずっと変わりはしない
うまくいかなくても それはこわれたわけじゃなく 私たちはつながっている それだけで意味があるのです

  振り向かずに 歩いてゆくよ つかれたら思い出してみるよ
  強くやさしい あなたの横顔を


今はもう少しだけ あなたのそばにいるよ
はなればなれになっても 迷わず歩けるように まっすぐ歩けるように・・・


最新の画像もっと見る

コメントを投稿