深い深いかなしみが
私とあなたを引きずりこむ
互いに自分のことで精一杯
穴から這い上がることに必死で
気がつくと
存在を見失い
虚しさだけが残っている
あなたは幻だったのか
私は幻だったのか
叫ぶということも忘れて
ただ立ち尽くす
私たちは一体何を失ったのか
思い出せない
静かに涙が流れるのみ
音を立てず嗚咽
音の出ない慟哭
深い深いかなしみが
私とあなたを引きずりこむ
互いに自分のことで精一杯
穴から這い上がることに必死で
気がつくと
存在を見失い
虚しさだけが残っている
あなたは幻だったのか
私は幻だったのか
叫ぶということも忘れて
ただ立ち尽くす
私たちは一体何を失ったのか
思い出せない
静かに涙が流れるのみ
音を立てず嗚咽
音の出ない慟哭
深い穴が空いている
底の見えない大穴が
冷えた空気が迫り上がって
この頬を撫で通り過ぎていく
吸い込まれたい
誘惑に耐え
ただ覗きこむ
深い穴は意志を持っているような
冷たい空気は悲しい咆哮にも聞こえ
ただ覗きこむ
何かが見えるかもしれない
すべての光を吸いとるのか
すべての光を拒絶するのか
あまりに深くあまりに暗く
何も見えなかった
そろそろ吸い込まれてみてもいい
見えない底に向けて
片足ずつ穴へ差し出してみる
そして落ちた堕ちた
私は消え去ってゆく
あなたのなかへ飛び込んだのだ
私だけが見つけた場所
誰にも知られていない場所
あなたが自らに空けた穴へ
あなたが決して与えられないもの
それを私は何よりも欲している
矛盾などどうでもいい
壊してでも手に入れたい
そうして
私自身も破壊されよう
あなたと私
もう逃れられない
互いを知った時から
互いを知る前から
だから力づくでも
奪ってみせるしかない
あの人を救えるのは
あなただけだ
あなたを感じるために
すべてを剥ぎ取り
剥き出しで生きはじめる
何もかもが私を突き刺すようになった
あなたの瞬間を逃さぬよう
静かにじっと待つ
痛いとても痛い
剥き出しだから
あまりの痛みで意識が遠のいていく
あなたを余すことないよう
引き換えにしたこと
あなたを懸命に感じながら
私は生と死の狭間を生きている
こんな極限の世界
他にない
私をここに連れてきたのは
あなたです
私を剥き出しにしたのは
あなた
この世界で生きるしかなくなった
新世界
あなたが起こす僅かな振動でさえ
瞬く間に爆ぜすべてを燃やしてしまう
あなたがほんの少し触れるだけで
瞬く間に昇華しすべてが眩くなりだす
私が唯一反応する
あなたという波
私は爆薬
あなたに投じられるのを待っている
なにもかも焼き尽くしたい衝動に駆られながら
絵筆を握りながら
キャンバスの前で佇む
描こうとしているのは何か
救いか
冷静さの続きか
あるいは激(たぎ)る熱か
じっと何かが降りるのを待っている
絵筆を握り
キャンバスの前で
あなたの心から色がほとばしりだす時
もうすぐ
つんのめる
けど転ばない
耐える耐える
つんのめる
いや転んだわ
痛い痛い
砂利が刺さる
擦り傷は山ほど
何だか分からないが
何かに追われている
つんのめるほどに
駆け足で逃げ
あなたに手をとってほしい
そう願いながら
汗まみれ
涙ながれ
何だか分からなくても
つんのめるほどに
駆け足
つんのめる
ほら転ぶだろ
ダサいダサい
独りでさ
血だらけでさ
そろそろ抜けられなくなったはずだ
しっかり突き刺さってるもんだから
抜こうものなら大量出血間違いなし
それはお互いさまで
忘れられないね
逃れられないね
時間を重ね合うしかない
死なないために
感触を重ね合うしかない
死なないために
死なない
死ねない
死にたい
タ ス ケ テ
迷わなくていい
そもそも選択肢はない
求めているものは目の前に
自分で呼び出しておいて
いまさら
迷わなくていい
そもそも
叫んだだろう?
泣いただろう?
ある一つを捨てるだけでいい
たった一つ
恐れを
恐れをだ
そもそも選択肢はない
迷わなくていい
いまさら
はい
では搬送しますよ
よろしいですか?