ずいぶん日を遡りますが10月の終わりに東京へ講習会に行ってきました。
丸二日間、缶詰めになっていろいろなグラフや表とにらめっこしながら、方程式をひたすら解いていく…
なんだか受験生だったころを思い出しました(笑)
それも「エネルギーパス」という計算ソフトを導入するためです!
宿題やソフトの講習会を終えてやっと運用できるようになりましたのでご報告します!
このたび伊藤工設計では「エネルギーパス」、略して「エネパス」を導入しました!
「いやいや、エネパスってなに?はじめて聞いた」という方がほとんどだと思います。
エネパスはどんなものなのか、エネパスをつくることでどんなメリットがあるのかご紹介していきたいと思います。
エネパスってなに?
エネルギーパスとは、EU全土で義務化されている「家の燃費」を表示する証明書です。
EUでは一年間を通して快適な室内温度を保つため為に必要なエネルギー量が明示されています。
床面積1㎡あたり○○kW/時必要という形で数値化されており、誰でも簡単に家の燃費を確認する事ができます。
燃費を共通の「ものさし」にする
EUではエネルギーパスの登場以前は、全ての建物で省エネルギーに関する共通の「ものさし」が無かったため、「省エネ住宅」や、「超省エネ住宅」「外断熱住宅」「無暖房住宅」「3リッターハウス」「パッシブハウス」「ソーラーハウス」などの様々な省エネ住宅がありました。
名前だけではどれが低燃費なのか、住宅購入者はおろか工務店やハウスメーカーなどの造り手ですらその内容を把握できていない人も…。
(これは今の日本の状況と似通ったところがありますね…。)
そこで消費者保護や地球温暖化対策として、家の省エネ性能が一体どれくらいなのかを、一般の方にも分かり易く表示する「燃費のものさし」としてエネルギーパスが開発されました。
エネルギーパスは、住宅のエネルギー消費量の削減に関心を持ってもらうと共に、実際の賃貸契約や売買契約の主要な条件の1つとして、エネルギー性能を考慮する為に開発されています。
このエネルギーパスによって、居住者はより快適で光熱費のかからない家を求めるようになり、ヨーロッパ全土で省エネ住宅が爆発的に普及するようになりました。
ご自宅の燃費、把握していますか?
エネルギーパスの普及しているヨーロッパでは、「うちは○○kW時/㎡だよ」と答えが返ってきます。
EU全土では2008年より、エネルギーパスの表示が義務化されました。
光熱費や水道代だけではわからない、その家の「燃費」を定量的に示すことにより、性能の高低を一目瞭然でお客様に伝えることができます。
「電気代は月に1万円」と実際の光熱費をこたえられる方はいらっしゃいますが、これは燃費性能ではなく、実際に支払ったエネルギー価格。
車でいうと月のガソリン代を答えているようなものであり、○○km/Lという「燃費性能」とはちょっと違います。
ガソリン代は走り方や運転する環境やガソリン価格によって大きく変動するものです。
極端な例では、同じガソリン代が月5,000円でも、一ヶ月に200km走っている場合と、800km走っているのかで燃費は何倍も違います。
ガソリン代だけを聞いても、車自体の燃費性能を把握することはできません。
同じ理由で月々の光熱費を聞いても家の燃費を正確に知る事は出来ません。
住人が暑さ寒さを我慢するほど、省エネ性能の高い家という事になってしまいます。
我慢しなくても省エネ性能の高い家こそが、本物の低燃費住宅です。
自動車のほかにも家電でも年間の消費電力が明示されています。
新規に購入する場合や、買い替えの際には、この表示されている年間消費電力は大きな判断基準となっています。
このように、自動車や電化製品では必ず表示されている「燃費性能」が、一生で最も大きな買い物のはずの住宅に無いことは、今思えば非常におかしいことだったのではないでしょうか。
日本でも2011年7月に、「家の燃費」を表示する為に、日本エネルギーパス協会が発足し、日本版エネルギーパスの発行が始まりました。
こちらがそのサンプルです。計6枚の計算書に光熱費や室温などのシミュレーションがグラフを使って示されています。
(引用元URL:「日本エネルギーパス協会」http://www.energy-pass.jp/energypass/)
エネルギーパスを生み出したのは断熱大国ドイツです。
ドイツの断熱に対する取り組みは日本のおよそ20年先をいっていると言われています。
(ドイツではこんなにゴツいサッシが普通に家についているそうです。日本でここまでのものを使ったらお値段がすごそう…。)
ドイツでは国をあげて建築物の断熱・省エネ性能への取り組みを行い、現在の省エネ大国に成長していきました。
そのエネルギーパスを日本の環境や施工性、また現在日本で進められている省エネ基準の項目を考慮して、日本版エネルギーパスが作成されました。
もちろん、省エネ基準が改正されるたびにこちらのソフトも更新されています。
ソーラーパネルやエコキュートのメーカーなどホームページで光熱費のシミュレーションを行っているところもありますが、本来は家の断熱性能や間取りによっても光熱費は変わってくるものです。
また、もっと細かくみると、外壁の色によって日射から得られる熱量が違うこと、周囲に建物がどれくらいあるか、というのも光熱費のシミュレーションにはかかわってきます。
エネパスがこれから日本の省エネ基準のスタンダードになっていけば、より具体的な光熱費シミュレーションをすることができるようになり、「家そのものをつくための費用+30年間の快適に過ごすための光熱費」をまとめて見ることができるようになります。
現在、計画中のプランで実際に伊藤工設計の建物の評価をしていきたいと思っています。
丸二日間、缶詰めになっていろいろなグラフや表とにらめっこしながら、方程式をひたすら解いていく…
なんだか受験生だったころを思い出しました(笑)
それも「エネルギーパス」という計算ソフトを導入するためです!
宿題やソフトの講習会を終えてやっと運用できるようになりましたのでご報告します!
このたび伊藤工設計では「エネルギーパス」、略して「エネパス」を導入しました!
「いやいや、エネパスってなに?はじめて聞いた」という方がほとんどだと思います。
エネパスはどんなものなのか、エネパスをつくることでどんなメリットがあるのかご紹介していきたいと思います。
エネパスってなに?
エネルギーパスとは、EU全土で義務化されている「家の燃費」を表示する証明書です。
EUでは一年間を通して快適な室内温度を保つため為に必要なエネルギー量が明示されています。
床面積1㎡あたり○○kW/時必要という形で数値化されており、誰でも簡単に家の燃費を確認する事ができます。
燃費を共通の「ものさし」にする
EUではエネルギーパスの登場以前は、全ての建物で省エネルギーに関する共通の「ものさし」が無かったため、「省エネ住宅」や、「超省エネ住宅」「外断熱住宅」「無暖房住宅」「3リッターハウス」「パッシブハウス」「ソーラーハウス」などの様々な省エネ住宅がありました。
名前だけではどれが低燃費なのか、住宅購入者はおろか工務店やハウスメーカーなどの造り手ですらその内容を把握できていない人も…。
(これは今の日本の状況と似通ったところがありますね…。)
そこで消費者保護や地球温暖化対策として、家の省エネ性能が一体どれくらいなのかを、一般の方にも分かり易く表示する「燃費のものさし」としてエネルギーパスが開発されました。
エネルギーパスは、住宅のエネルギー消費量の削減に関心を持ってもらうと共に、実際の賃貸契約や売買契約の主要な条件の1つとして、エネルギー性能を考慮する為に開発されています。
このエネルギーパスによって、居住者はより快適で光熱費のかからない家を求めるようになり、ヨーロッパ全土で省エネ住宅が爆発的に普及するようになりました。
ご自宅の燃費、把握していますか?
エネルギーパスの普及しているヨーロッパでは、「うちは○○kW時/㎡だよ」と答えが返ってきます。
EU全土では2008年より、エネルギーパスの表示が義務化されました。
光熱費や水道代だけではわからない、その家の「燃費」を定量的に示すことにより、性能の高低を一目瞭然でお客様に伝えることができます。
「電気代は月に1万円」と実際の光熱費をこたえられる方はいらっしゃいますが、これは燃費性能ではなく、実際に支払ったエネルギー価格。
車でいうと月のガソリン代を答えているようなものであり、○○km/Lという「燃費性能」とはちょっと違います。
ガソリン代は走り方や運転する環境やガソリン価格によって大きく変動するものです。
極端な例では、同じガソリン代が月5,000円でも、一ヶ月に200km走っている場合と、800km走っているのかで燃費は何倍も違います。
ガソリン代だけを聞いても、車自体の燃費性能を把握することはできません。
同じ理由で月々の光熱費を聞いても家の燃費を正確に知る事は出来ません。
住人が暑さ寒さを我慢するほど、省エネ性能の高い家という事になってしまいます。
我慢しなくても省エネ性能の高い家こそが、本物の低燃費住宅です。
自動車のほかにも家電でも年間の消費電力が明示されています。
新規に購入する場合や、買い替えの際には、この表示されている年間消費電力は大きな判断基準となっています。
このように、自動車や電化製品では必ず表示されている「燃費性能」が、一生で最も大きな買い物のはずの住宅に無いことは、今思えば非常におかしいことだったのではないでしょうか。
日本でも2011年7月に、「家の燃費」を表示する為に、日本エネルギーパス協会が発足し、日本版エネルギーパスの発行が始まりました。
こちらがそのサンプルです。計6枚の計算書に光熱費や室温などのシミュレーションがグラフを使って示されています。
(引用元URL:「日本エネルギーパス協会」http://www.energy-pass.jp/energypass/)
エネルギーパスを生み出したのは断熱大国ドイツです。
ドイツの断熱に対する取り組みは日本のおよそ20年先をいっていると言われています。
(ドイツではこんなにゴツいサッシが普通に家についているそうです。日本でここまでのものを使ったらお値段がすごそう…。)
ドイツでは国をあげて建築物の断熱・省エネ性能への取り組みを行い、現在の省エネ大国に成長していきました。
そのエネルギーパスを日本の環境や施工性、また現在日本で進められている省エネ基準の項目を考慮して、日本版エネルギーパスが作成されました。
もちろん、省エネ基準が改正されるたびにこちらのソフトも更新されています。
ソーラーパネルやエコキュートのメーカーなどホームページで光熱費のシミュレーションを行っているところもありますが、本来は家の断熱性能や間取りによっても光熱費は変わってくるものです。
また、もっと細かくみると、外壁の色によって日射から得られる熱量が違うこと、周囲に建物がどれくらいあるか、というのも光熱費のシミュレーションにはかかわってきます。
エネパスがこれから日本の省エネ基準のスタンダードになっていけば、より具体的な光熱費シミュレーションをすることができるようになり、「家そのものをつくための費用+30年間の快適に過ごすための光熱費」をまとめて見ることができるようになります。
現在、計画中のプランで実際に伊藤工設計の建物の評価をしていきたいと思っています。