その2 ニューヨーク到着編
さて、どうしたものか? 自分の乗る飛行機は、 もうニューヨークへ飛んで行ってしまった。
このまま日本へ帰ってしばらく東京見物でもしてようか?
ロスから計画と逆周りで、ニューヨークまで行こうか? ロサンゼルスのどこまでも青い空を見上げながら、自分なりに対応策を考えたのでした。
とりあえず、空港のカウンターに相談することにして、係の、かつては痩せていて美人だったろう?オチャンに訳を話しました。
するとラッキーなことに、コンピュータを何度も叩きながら3時のシカゴ行きに乗って乗り換えで、ニューヨークに行く手続きをしてくれたのでした。
「サンキュー、 ビューティフルレディ!」
「OK、 でも、 あなたのおかげで私の昼食時間が無くなったわ。」
手続きに時間がかかり、 もう午後1時をとっくに過ぎていたのでした。
でも、これで一安心、私は機中の人となって自分だけは機内食を食べながらニューヨークへ向かったのでした。
飛行機から眺める夜のニューヨーク摩天楼、いいだろうな、 しかし、雲に隠れて見えなかった。
J・Fケネディ国際空港に降り立つとここはもう、 憧れのニューヨーク。
でも、今の時間は真夜中の午前0時30分、おまけに雨が降っている。
ガランとして、暗く静かな空港内、 そして、 何か重たい空気と薬のような冷たい匂い。
飛行機から降りた人たちは、それぞれ早足にどこかへ消えて行く。
「おっかね~」 気を紛らすために、歌を口ずさんだ。 ♪♪ ~ 雨のニューヨークシティ~ ♪♪
ビリージョエルの曲のつもり。)
すると、体の大きなストライプの背広を着た黒人さんが話しかけてきたのです。
「HEY! ヤングマン、 どこに行くんだい?」
「マンハッタンのワシントンホテル」
「そうか、俺が連れてってやるよ、 一緒に来な!」
親切な人だな~と思いながら車のところへついて行くと、そこには、真っ黒のロングリムジンカーがあった。 やばいかな〜と車の中を覗き込むと、中には、ミニバーカウンターと、 テレビが、 そして、驚いたことにプロレスラーのような大男が一人乗っているのでした。
「まずい! NO サンキュウ。」
私は、こう言うと、すぐに重いバックを持って走って逃げ出したのです。
(アメリカに来てからは、走ってばかりいるな~。)
ようやく、通りかかった本当のタクシー(イエローキャブ)をつかまえてホテルへ向かったのでした。
「おっかねがったな〜」と思いながら、 車の窓から雨のニューヨークの街を見ていると、「今、本当にアメリカに来てるんだなー」と実感した。
運転手が「アメリカにようこそ。」と言ってタバコを一本くれた、うれしかったナー。
ホテルに到着すると、 午前1時30分。
「やれやれ、やっと安心できるな~」と思いながら、チェックインカウンターへ 「日本から予約しました。 部屋は有りますか?」と聞くと、 「オーバーブック!」と眠そうな声。
「WHAT?」
「部屋は無い、12時を過ぎたから予約は取り消しだ。」
「GOT IT (解った)」
ガクンと肩を落として、思いバックをまた担いで、 トボトボ、 空いてるホテルを探して街を歩くのでした。
まあ、運のいいことに、近くに空いてるホテルを見つけ、すこし料金が高いと思ったけど、そこに泊まることにした。(1泊44ドル)
ようやく部屋に入って、バックを降ろし、ドアに付いてるカギを二重に閉めて、私は、 「フーッ!」と深いため息をついたのだった。 時間は、午前2時30分。
後で聞いた話によるとさっきのリムジンカーはやっぱりかなり危険だったらしい。
運がよくてタクシーの2倍くらいの料金を取られるか、運が悪けりゃ、身包みはがされて、ハドソン川に浮かぶことになるらしい。
この先、私はどうなるんだべ~、でも、ワクワクして楽しみだな、死なないように、カー杯、いろいろなものを見ようっと!」