第10話「映画のような 朝の海で」
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7月22日夕方
ようやくキーウエストに到着した。 ここは周囲約5kmの島で四方を海に囲まれているのです。 それもきれいなさんご礁に。
もう日もくれて、辺りが暗くなってきたので、とりあえず今日の宿を探そうと街を流していると、たくさん歩いている青い目の、金髪さんの人ごみの中に、 自分と似たような黒髪のアジア系の顔を見つけた。
すぐ、彼に話しかけると、やっぱり日本人で、アメリカの大学に留学中で、夏休みを利用してアメリカ国内を旅行しているところだそうだ。 そして彼の名前は「つよし君。
オッ! 同じ名前じゃないか。 「君とボクは友達だ!」と彼の泊まっていたユースホステルに転がり込んだのでした。
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(剛くん)
7月23日
早朝5時ころ、ユースの二段ベットで目を覚まし、ぶらりと散歩に出かけた。
からりと晴れた気持ちのいい朝、5分ほど歩くと海岸に着き、一人で海を見つめていたのだった。
青く静かな海。
海へ突き出している白い桟橋。
停泊している豪華なヨットが1隻静かに揺れている。
マストの上には、ペリカンが1羽、羽を休めている。
周りには、誰もいない。
「今、俺は生きているんだな〜、いったい人生とは何なんだろう。」
「いい人生、悪い人生とかあるのだろうか」
「どう生きようと、人生は人生だな。」なんて考える。
(まるで、 映画の1シーンだな。)
自分の世界に浸りながら、目の前の海辺にひょっこり顔を出している岩に飛び乗ろうとジャンプした。
グラッ!
ジャップン!
いきなり、海に落ちたのでありました。
ずぶ濡れのTシャツを絞りながら、背中を丸めてユースホステルへ帰りました。
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