3回目の今回は「原崎市長と福津市教育委員会が行った福間小学校の生徒数の推計を使った誤誘について」述べることにします。
1.監査請求人の請願内容
令和6年8月の教育委員会の定例会において、教育部総務課長が福間小学校の生徒数の推計値に誤りがあるとして、推定値の最大値を令和10年の1,874人から令和9年の1,591人(283人減)に訂正した結果、当該校の過密対策として、児童・生徒数1,720人まで収容可能な教育施設を整備する必用のないこと、それに伴い起用した巨額の整備費が不当な公金支出に該当することも判明した。市長と教育委員会が、年次、生徒数の推定値と実数値を丁寧にチェックしていれば、このような事件は、発生しない。この責任は重い。
2.教育委員会の弁明とそれに対する反論
弁明:児童・生徒数の推計は目的に応じ対象校区や推定期間を決めて作成している。①(施設整備計画)小中学校の新設用地の選定や、施設規模の算出目的に令和4年5月に策定し令和4年から令和31年が推定期間となっている。令和3年度の児童・未就学児の実数、国立社会保障・人口問題研究所が算出した将来の人口増加率や、過去5年間の対象地域の人口移動・校区外通学制度活用児童数を基に、まちづくり基本構想の人口推計と比較しながら算出したものである。福間地域の中学生を含めた児童の増加率が、令和元年20%、令和2年10.3%、令和3年5.2%、令和4年3.5%,令和5年2.4%と、急激な変動があり、令和3年までの状況を基礎資料として作成している。(監査結果報告書 P9)
反論:国立社会保障・人口研究所が算出した将来の人口増加率は、市町村単位であり、福津市全体で算出している。福間地域の増加率ではない。このようなファクターを入れる必要はない。私たちはシンプルに福間地域の中学生を含めた児童・生徒・未就学児の数と校区外通学児童及び未就学児の数を加えた児童・生徒数で増加率を算出した。その増加率を算出した結果は令和元年9.5%令和2年3.0%令和3年2.7%で、教育委員会の弁明の増加率と比較するとほぼ半減する。教育委員会は令和10年まで児童・生徒数の推計を上振れさせるための意図が見て取れる。この施設整備計画の増加率算定は、「新設校必要」に住民を誤誘する目的で必要のないファクターを組み込みデータを作ったとしか思えない。
弁明:②(新設校基本計画)翌年度の予算編成や中期的事業計画の立案目的で作成していて、児童・生徒数の推計を、令和6年度~令和17年度まで期間としている。令和6年4月の児童・生徒・未就学児の実数、校区外通学制度活用児童数を基に、直近数年間の人口増加率を勘案したものである。(以下略)令和6年8月の教育委員会定例会では、①と②の推計の違いや差異を述べたにすぎず、推計の誤りや訂正を行った事実はない。(監査結果報告書P9/10)
反論:典型的な役人の無謬主義の文章である。監査請求人が令和6年10月に教育委員会教育総務部から情報開示請求に基づき入手した「市内小中学校児童・生徒数のまとめ」において、福間小学校の児童・生徒数の最大推定値が1,591人に令和6年7月26日付で訂正されている。また令和6年市議会9月定例会において福間小学校の児童・生徒数の最大推定値は1,537人になるというデータを教育委員会教育部は認めている。
弁明:①(施設整備計画)の児童・生徒推計によりリース校舎の規模を決定する必要があったものである。よって請願者が主張する「整備費が不当な公金の支出に該当する」ことも当らない。(監査結果報告書P10)
反論:請求人の主旨は、市長と教育委員会が福間小学校の児童・生徒数の推定値と実際の数値を丁寧にチェックしておれば、令和8年の推定値は1500人程度で、1720人も収容する教育施設を多額の公金を支出して整備する必要はないということである。私たちは再度、福間小学校の児童・生徒数推計の推移を試算し結果を下記のグラフの青色折れ線で示した。今回は福間地域の児童・生徒数に校区外通学児童・生徒数を補正したものである。比較して観る為に、①施設整備計画と②新設校基本計画の福間小学校の生徒数の推移も示す。
3.監査委員の判断とコメント
(3)令和2年度以降に実施された新設校を考慮しない推計のすべてで、福間小学校の児童数は、令和3年から令和9年に小学校が新設されるまでの間に、400人規模の児童数増加が見込まれている。また、契約の違法・不当を検討するにあたり、契約締結後の推計するにあたり、契約締結後の推計を参照するのは相当ではないが、令和6年7月26日の推計によっても、360名規模の児童増加が見込まれている。したがって、前提となる児童数推計の変化を理由として、福間小学校増築校舎賃貸借契約の締結を違法・不当ということはできない。 (監査結果報告書P16)
コメント:
監査委員は、令和3年から令和9年の間に400人規模の児童数が増加が見込まれていると言っている。この間のデータを出しているのは、㈱長大が作成した施設整備計画のみである。このデータを基にすれば、600人規模の児童数が増加するようになる。令和6年7月26日のデータであれば最大123名しか児童数は増加しない。したがって上記の説明文は事実誤認しているとしか思えない。監査委員は、教育委員会の資料のみで判断しているため、公正な判断はできない。