鎌倉 建長寺
真夏日の鎌倉は閑散としていたが、建長寺の方丈から眺める蘸碧池(さんぺきいけ)はとても涼しげで、しばし時を忘れて物思いに耽る。
蘸碧池というのは、緑の木々の色が青い水にひたって輝いていることを表していると木板に書かれていた。この庭園は、建長寺開山大覚禅師の作庭といわれている。普段座禅場として使われている方丈は畳替えの真っ最中で、大勢の畳職人が扇風機の風で涼をとりながら作業をしていた。
同じ長椅子に年配の外国女性観光客がふたりやってきて、日本人の私にニコッと愛想のいい顔をして座った。ふたりは仲のいい友達同士という感じで、会話の内容は全くわからないが楽しそうにくつろいでいる。英語ではないことは確かだったが、こういう所で外国の人と自由に会話が出来たらいいなと思った。
20年前、カミサンと結婚式と新婚旅行を兼ねて行ったパリで、初老のパリジャンから声をかけられたのを思い出す。その男性は、日本旅行をしたことを話してくれて、私たちが横浜から来たことを告げると氷川丸を知っているという。片言の英語でも結構意思が通じるもので、いまこうして外国の女性二人が隣にいるのに、話しかけられない自分が歯痒くてならなかった。大柄な彼女の方は、ノートを取り出して旅の感想なのか庭を眺めながら書き綴っていた。そういう私も久しぶりに定番のノートに俳句を書いていた。
真夏日の木々の輝き蘸碧池(さんぺきいけ)
方丈の池の先に百日紅
百日紅色あざやかに風にゆれ
コアジサシ方丈池に戯れて
木陰からかがやく夏を惜しむ声
み仏の眼(まなこ)に託す祈りの手
オンカカカ真言唱え本地仏
24/8/29
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます