
今年1月、「トイレの神様」という歌が、FM局で流れるや一気に評判となった。シンガーソングライター植村花菜が、自分をずっと支えてくれた大好きなおばあちゃんと暮らした日々を、切々と綴った詩に曲をつけたもので、泣ける歌として若い世代から年配の方まで多くの人々の心を揺さぶった。その後、植村花菜の自伝的小説「トイレの神様」(宝島社発行)が出版され、さらに絵本にもなり、歌は今年のNHK紅白歌合戦にも登場する。そして来春1月5日には、TBSテレビ新春ドラマスペシャルとして放映されるそうだ。
トイレの神様といえば、烏芻沙摩明王(うすさまみょうおう)を思い出す。浜松へ帰郷したときに立ち寄った静岡県袋井市の可垂斉で初めて知った仏様である。そこでいただいたお札をトイレに祀っている。特に下の病気に霊験あらたかで、俗に便所の神様として知られている。彫像は少なく京都大龍寺の烏芻沙摩明王が有名である。
烏芻沙摩明王は、天台宗五大明王のひとつとして崇められ、この世の形あるものの一切の汚れ、悪を食い尽くし、悪霊の禍いを消滅させる力を発揮するといわれている。厠(かわや)にはうすまさ明王という神がいて、そこをいつも綺麗にすることで安産祈願になるという言い伝えもあったそうだ。「トイレの神様」の歌は、おばあちゃんの生活の知恵の歌でもある。
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