
9月6日、東京・江東区の父子家庭で起きた事件。10月6日放送のNHKクローズアップ現代の録画をあらためて見て、なぜこのような事件が起きたのか、考えさせられることが多かった。また、私自身父子家庭20年の経験を持つものの、気丈な母や我慢強い息子たちのおかげで大した苦労もなく、子育てが出来たことの倖せを噛みしめる。
5歳の長男に暴行し、死亡させたとして逮捕された父親は、4人の子どもを育てるシングルファーザーだった。その父親は4年前、勤めていた建設会社が倒産し失業。また1年前に妻と離婚し4人の子どもを引き取り育てていたようである。
毎日、手作りの弁当を作るなど「子育てに熱心」だったという一方で、地域の人とのつながりはなく、家族状況を知る人は殆どいなかったらしい。
今、父子家庭は全国で約22万世帯あり、7年前の調査に比べ25%増加しているという。ひとり親の支援を行うNPOは「父親は母親に比べ、親同士のネットワークや地域のつながりが弱いため、社会から孤立しているケースは少なくない」として、母子家庭とは異なる支援の必要性を訴えている。
家族の形が多様化する中で、急増する父子家庭。番組の中であるシングルファザーのブログが紹介されていた。
保険の営業をしている43歳のKTさん。2年前妻をがんで亡くし、3人の子供をひとりで育てているという。“明日は我が身…” “先の見えない不安。親としての責任感。” 写真はKTさんの台所のもので、私には容易に想像できる場面である。
「うちのお兄ちゃん(長男)の分と、今日は2つ。うちは母親いないじゃない、それが理由で弁当もってこれないと、子どもらに思わせたくないので…。意地もあります、正直。」 家のことは妻に任せきりで、突然、子育てと家事の一切を自分ですることになった。子育てと仕事を両立させるため、睡眠時間は3時間も減ったそうだ。子どもが小さいときには、ストレスから手を上げそうになったこともあったという。
イラっとスイッチが入っちゃうと、抑えがきかなってしまうこともあるという。母親の分まで俺がやらなきゃならないという思いが強すぎると、どこかにしわ寄せがいったり、ひずみが出てきたり、となる。結局、一生懸命になり過ぎちゃうという。この事件を知って、まさに明日は我が身と思ったことであろう。
KTさんのお話を聞いていて、本当に尊敬してしまう。、KTさんと同じく妻をがんで亡くし、当時母は58歳、私は27歳。子供は3才と生後4ヶ月の男の子二人。失意のどん底にあったが、私なんぞ酒に逃避するばかりで、父子家庭歴20年というのは名ばかりの毎日。
父と別居していた母が、偶々息子と孫と同居ということになり、以来釈迦力母は頑張った。親子喧嘩もあったが、私はKTさんに比べれば楽ちんだった。
昨日も離婚調停で親権を主張する父親がいた。仕事を持ちながら、ひとり親で子育てをすることは大変なことである。しかも子供が小さければ尚更で、圧倒的に母親を親権者とすることが多い。死別、離別とひとり親の事情は違うものの、父子家庭の苦労はそれなりに体験してきた。一番辛いのは子供たちである。我が家の息子たちはもう40代で、いい嫁さんと子供たちに囲まれて倖せに暮らしている。辛く寂しい時期を一生懸命生きてきた息子たちだからこそ、家族を大切に思う気持ちは人一倍である。
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