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脳科学者 茂木健一郎氏の話

2021年03月15日 10時31分15秒 | ハチパパのひとり言

PHP平成30年新年号を書棚から取り出して再読。巻頭特集「明日は必ずよくなる! 人生、前を向いて歩こう」から、脳科学者茂木健一郎氏の『思っているより脳は前向き』を再読。

茂木さんは、辛い経験を乗り越える力が脳にはあると言われる。人間の脳には、無数の回路がめぐらされていて、人のいる環境や交友関係など、後天的な要素で変化する。物事をポジティブに考えられない人は、引き込み現象が起こり、脳内に「負の回路」が出来てしまって、つらい経験と似たような状況に陥ると、その回路が働いて、前回と同様の思考パターンに入り込んでしまう。しかし、脳はそんなにヤワではない。脳には可塑性があり、一つの回路が使えなく、或いは使えなくなっても、脳の別の部位や回路がその機能を補ってくれるという。

思考を「負の回路」以外の回路に切り替えることで、いやなことがあっても、ネガティブな思考パターンに陥らずに済むという。そして、脳の回路を切り替えるには、つらい経験を恨みをもって振り返るのではなく、その経験が自分にとってどんな意味をもっていたかを、冷静に、客観的に振り返ることだという。これを「メタ認知」と言うそうだ。

前向きな人は、「いやなことがあってもすぐ忘れる」という。これは脳科学的にいうと前頭葉で切り替えているそうで、いやな人やいやなことがあった時は、その場から離れることが大切で、「このことはもうおしまい」と気持ちを切り替え、まったく違うことをするように導いている。

「人は何度でも立ち上がれる」というサブタイトルで、こうも述べている。

私たち脳科学者は、「魂の危機」と「創発」(新たな現象が生まれること)は同じことだとよく言います。創発とは、予想や意図を超えたイノベーションが起こることです。大震災に見舞われる、家族を失うほどの体験が、新たなものを生み出す契機になり得るのです。私は、震災で多くのものを失った方々が、もう一度立ち上がる姿を見てきました。これは究極のボランティアではないでしょうか。「脳は私たちが思っているよりもずっとタフで、前向きに生きるようにつくられています」と結んでいる。

「人は何度でも立ち上がれる」という言葉に勇気をもらった。高齢となった私の脳を「負の回路」が覆いつくしていると思い込んでいた。いくつになっても自分の脳がタフで、前向きに生きることを死ぬまで教えてくれる。脳と言うのは司令塔、24時間休みなくわが身を機能させてくれている。

 



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