静寂の王 壱

静かな暮らし

僕が家を買ってそれから一人暮らしをはじめてから得た大きなものでした。
まさかこんな大きなおまけがついてくるなんて想像もしていませんでした。
そこに現れたえらく怖い面でしかも声がとてもえらそうな奴が
「わしは静寂の王、そなたは静寂を愛するものか？」
なんて言うんですよ。
でね、近からずも遠からずのフシがあったんで、
「はい」
って普通に答えたんですよ。
「そうか。それはよかった」
みたいな顔してそのまま日々が過ぎていったんですけど、枕元に現れては
「わしは静寂の王…」
なんて毎回のように繰り返すんですよ。
ただね、ここからが不思議なんですけど、こういうのって普通「うざい」って思うじゃないですか。全然そのフシがないんですよ。不思議でしょ。
するとね、今日なんか…今までおっさん面だったのがえらく若返ってるんですよ。
「そなたの霊力に影響された」
ってこれまたおかしな物言いするんですわ。
自分の霊力吸われたって言うわけでもないのでこれはあチャラの勝手ということでほっときますが、もう一人えらいのが出てきたんですよ。
雪女ならぬ雨女。
どうも「静寂の王」の友達らしいんですが、こんなことを言ってたんですよ。
「人間が音楽というものを造っては楽しむようになったのは雨…」
似たような話は聞いたことあるんでね、わからんことはないです。
しかし俺の周りで何したいネンあんたら！