碧の中で幾重にもアーチを映しながら
流れていく白い雲
「苦しみの中にも幸せは存在する
常に夢を抱いていれば
いつか花咲く時がくる」と
姉は口癖に言っていた。
空は青いと言うけれど
灰色の空だって又空なのか
白雲のむこうには
姉の嫁った町がある。
故郷のデイゴの花を後にして
内地へ嫁いでいった姉
だが、幸せもつかのま
うまれつきの、病いに倒れ
若くしてこの世を去った姉
かわいそうな
かわいそうな姉
あの雲に あの雲に
いくら叫んでみても
花咲く春はやってこない。
あの雲に あの雲に
いくら叫んでみても
姉はかえってこない。