goo blog サービス終了のお知らせ 

私の読書記録

20年間に渡り長い間ありがとうございました

20年間ありがとうございました

2025年04月15日 | 読んだ小説
昨日gooブログが11月でサービス終了するとアナウンスがありました。
突然の事で驚きましたが、始まりがあれば必ず終わりがあるのが当たり前なんですね。
思えばこのブログも開設してから今年の11月で丸20年でした。
そんなに人気のないブログでしたが楽しく続けてくることができました。
その間に訪れてくださった沢山の方々、本当にありがとうございました。
そして、gooブログのスタッフの皆様お疲れ様でした。 長い間お世話になりありがとうございました。
20年間ブログを続けてこれて幸せでした。 このブログは本日で終了します。 
沢山の思い出に感謝を込めて、さようなら。

ホテルジューシー / 坂木 司

2025年04月14日 | 読んだ小説
                    

☆☆
都会に暮らす女子大生が、夏休みの短期アルバイトで沖縄の海辺にあるようなリゾートホテルではなく、
国際通り近くの街中の雑踏にある小さなホテルで働く事になる。 そのホテルのオーナー代理は、不眠症
で昼と夜中では性格が異なる二重人格みたいな人で、午前中だけ掃除のアルバイトに来る双子のクメばあ
とセンばあは、沖縄特有のアバウトな人達で、他には料理上手な食事担当の比嘉さん、それからいろいろ
訳アリな宿泊客らや沖縄で知り合った人との交流の中でのひと夏の思い出物語。

主人公は、ホテルのみんなからヒロちゃんと呼ばれ親しまれるが、このヒロちゃんの性格が生真面目な
頑張り屋なものだから、良くも悪くも緩くてテキトーでのんびりな沖縄気質の職場の中で戸惑ったり、
失敗したり、怒ったり、悩んだりする事になる。 そこへ持ってきてオーナー代理が、昼と夜では言う事
や対応が違うから、頼りになるのかならないのか分からない人で余計に混乱する事もある。

‘‘郷に入っては郷に従え‘‘という諺があるように、沖縄という所は、そーゆー場所なんだからヒロちゃん
も、もっとおおらかにテキトーにやればいいのにと、ヒロちゃんの生真面目さからくるお節介で鬱陶しい
性格に読んでいてちょっとイラっとするような所もあるけど、いろんなトラブルに対処しながら大人へと
少し成長していく姿が微笑ましく素敵ではある。

沖縄の危険で治安の悪い部分なども結構描かれていて、沖縄の明るい太陽のようなキラキラした物語に
終始していないのも特徴だ。 主な登場人物に、そこまで悪い人はいないけど、心の中に苦しみや悲しみ
寂しさを抱えていたりする人達を、もう少し深く掘り下げて描いてくれてもいいような気がした。
他に私的には、クメばあとセンばあの、のんびりしたおおらかさが何か心地良かった。 
ちなみにホテルジューシーのジューシーは、瑞々しいという意味ではなくて沖縄の食べ物の事だそう。

女系家族(下) / 山崎豊子

2025年04月08日 | 読んだ小説
                    


藤代は、共同相続財産の中で矢島家の所有する山林に一番得があると思い、宇市と勝手に付いてきた姉妹
らと共に山林の様子を見に行った時の事を踊りの師匠に話したら、師匠は何か腑に落ちない所があって
後日に宇市には内緒で、もう一度藤代と見に行った。 千寿の婿養子は、店の棚卸に不審な点がある事に
気付き千寿に相談し宇市をそれとなく疑う。 叔母の芳子は、暖簾分けしてもらった自分の店の経営が思
わしくないため、雛子を養女にして雛子が相続する財産を自分のものにしようと企てる。
だから芳子は、先んじて雛子にすり寄りいろいろ親身にしていたのかと納得した。

藤代は、矢島家の山林を相続しようと企む中で、山林の状態を確認できるまで4回目の親族会議の開催を
遅らせるために怪我をした足が治るまで開催しないと言い、雛子は相続する骨董品の掛け軸の行方が分か
らない事にごねつつ見合いをした相手と付き合いを始め、宇市は下請け工場の者と結託して仕入れ値のリ
ベートを取ったり、店の経理で不正を働きながら、山林の木材を勝手に伐採して利益を得ていた事が発覚
する前に何とか早く親族会議を開いて遺産相続の決着をつけたいと焦る。 しかし、藤代が親族会議を先
延ばしにする事が、そのまま下巻での物語の中だるみ感を生んでしまっているのが少し残念だ。

そんな中で、やっと4回目の親族会議が開かれたが、その場で藤代は、宇市が作った共同相続財産の目録
が信用できないと再び遺産相続の決定を流して先送りにしてしまう。 宇市は藤代に知恵を授けている何
者かが後ろにいると思い興信所で調べてもらい、藤代と師匠の逢引の現場に踏み込む。 そこで山林の木
材を伐採した事を、自身が個人的な利益を得ていた事は内緒にして店の損失補填のためにやったと言い、
その事に目を瞑ってもらう代わりに共同相続財産の山林の分配で、藤代が得をするよう便宜を図ると取引
を持ち掛け、千寿と雛子にもそれぞれ個別に、相続で得するようにすると言葉巧みに話を持ち掛ける。 
まともな登場人物が1人もいない本作の中でも宇市が一番性質が悪いかもしれない。

そうこうしている内に文乃が男児を出産し、いよいよ本性を現し矢島家に乗り込み子供はすでに嘉蔵から
受胎認知されていた書状と戸籍謄本を見せる。 これで文乃の子供が姉妹の各相続額の半分を相続できる
事が確定する。 更に文乃は隠し持っていた日付の新しい嘉蔵の遺言状を出してくる。 そこには遺産相
続後に藤代は矢島家を出る事、遺産相続後に雛子は外に嫁ぐ事。 文乃の子が男なら将来、店の経営に参
画させる事、宇市の不正が発覚した時は千寿の婿養子が新たに遺言執行人となる事と書かれていた。

こうして宇市は、自分が作った相続財産の目録と文乃が持参した嘉蔵が書き残した目録との相違から不正
が発覚し、横領分を返済させられた上に店を追放され、藤代の思惑も破れ、芳子の計画も頓挫した。 
結局、一番大損したのは宇市で、次に損をしたのは師匠に多額の指南料を払う事になる藤代だ。
最初に藤代が遺産相続でごねなければ、貰えたはずの金額はもっと多くなっていたのにバカな女だ。 

嘉蔵は最初から宇市の横領を知っていて、姉妹が遺産相続で揉める事も見越して、その混乱に乗じて文乃
のお腹の子が無事に生まれてくるように時間稼ぎして守り、ずっと嘉蔵が女系家族の中で義母や妻、娘か
らも婿養子という事で軽んじられてきた積年の恨みを晴らし、矢島家の女系家族を破壊する野望を死して
実現する事に成功する。 何とも凄い親族間の遺産相続の醜い争いの濃い物語で非常に面白かった。

女系家族(上) / 山崎豊子

2025年04月01日 | 読んだ小説
                    


大阪の船場で代々老舗の木綿問屋を営む矢島家は、女系家族で娘と店の番頭を代々結婚させてきた。
母親は6年前に亡くなり、今回4代目の婿養子の嘉蔵が死んで矢島家は、出戻り長女の藤代、結婚して
婿養子を迎えている次女の千寿、まだ未婚の三女の雛子の3姉妹がいたが、それほど3人の仲がいいわけ
ではなかった。 そして、4代目が生前中から店を実際に切り盛りしていたのは大番頭の宇市だった。
他には母親の妹である叔母の芳子は、婿養子を迎えて店を暖簾分けしてもらい商売をしていた。 

父親の葬儀の後日、親族を集め遺言執行人の宇市から嘉蔵の遺言状が発表され遺産の配分が明かされた。 
私は財産分与の事はよく分からないが、読んだ限りはそこそこ平等に分配されているのではと思ったが、
長女なのに暖簾を継いで家名になれなかった事が不満の藤代、自分の夫が5代目になり、これから店を
経営していくのに配分が少ないと思う千寿、長年店に尽くしてきたのに何ももらえないのが不満の宇市、
同じく遺産相続から除外されているのが不満の芳子。 それぞれの思いが交錯する中、すぐに2通目の
遺言状が発表され嘉蔵に愛人の文乃がいた事が明かされる。 

そして、文乃が矢島家に呼び出された時に、姉妹や叔母、宇市らの前で文乃が嘉蔵の子供かもしれない
赤子を妊娠している事が発覚する。 一同が驚愕しドス黒い怨念や怒りが渦巻く中、更に遺産相続を巡っ
ての親族間のドロドロの争いが混迷の度合いを増していく。  

そんな中で藤代は踊りの師匠に相談し自分の取り分が有利になるように画策し、千寿も姉妹を牽制し、
芳子は雛子にすり寄り、言葉巧みに手なずけ何か企てているようだし、宇市は店の売り上げ金を着服し、
矢島家の山守と結託して矢島家が所有する山林を勝手に伐採して売り密かに私腹を肥やしつつ、自分の
愛人を病気で倒れた文乃の所へスパイとして送り込み、嘉蔵から何か子供の認知について書状のような
ものを貰ってないか探ろうとする。

昭和前半の時代を描いているから流石に古臭いが、やはりいつの時代でも他人の家の揉め事は興味があり
面白いし、人間の業を描かせたら天下一品の山崎豊子は文句なく素晴らしい。 矢島家の大騒動が、今後
どのように展開していくのか下巻に大いに期待したい。

メアリー・ケイト / ドゥエイン・スウィアジンスキー

2025年03月25日 | 読んだ小説
                    


主人公のジャックは、空港のバーで隣に座った見知らぬ美人女性ケリーから突然「あなたのドリンクに毒
を盛った」と言われ「あなたは10時間後に死ぬ」と告げられる。 最初は変なナンパか新手の詐欺だと思
い相手にせずホテルへ帰ったが、やがて女性が言っていた通りの症状が表れ慌てて空港へ引き返しケリー
を見つけるが、ケリーから「解毒剤が欲しかったら、私がトイレに行く時も片時も離れないで」と言われ
る。 一方、国土安全保障省の諜報組織CI-6の工作員コワルスキーもケリーを追い確保するよう指示を受
け行動していた。 このケリーという謎の女性を中心に2人の男の運命が翻弄される。

普通に考えたらジャックは、ケリーを捕まえて警察に行くか病院に行くだろうと思うが、ケリーが言うに
は、私は科学者で実験施設の事故で体内に無数のナノマシン(通称メアリー・ケイト)が入り込み増殖
し、そのメアリー・ケイトは、ケリーの近くに居る人物を感知し、その人物がケリーから10フィート
(約3m)以上離れ10秒以上経過したら体内のメアリー・ケイトが脳を破壊するというものだった。 

ジャックは、メアリー・ケイトの話など信じずにケリーにキスをしてしまい体内にメアリー・ケイトが入
り込んでしまうが、メアリー・ケイトは、ケリーの血液、リンパ液、涙、唾といった体液内にいるのだか
ら、ケリーとキスするとかどうのこうの前に、ケリーのすぐ傍にいるだけで飛沫感染すると思うのだが、
その事については特に言及されていないのが不思議だ。 

そして、コワルスキーは、ケリーを確保すべくジャックとケリーのいるホテルを急襲するが思わぬ障害が
入り、メアリー・ケイトの死刑執行が発動しかけたケリーは病院に収容されジャックも取り逃がしてしま
う。 ケリーは、メアリー・ケイトが体内に入り込んだのは研究施設での事故と言っていたが、本当は施
設の所長がケリーに故意に行ったもので、ずっとケリーは所長から逃げ続けてきて、逃亡中にケリーと
接触し感染した人間が何人か死亡していた。 コワルスキーは、ジャックの足取りを追う中、病院に収容
されたケリーの前に研究施設の所長が現れる。 所長は、コワルスキーのハンドラーを通してコワルスキ
ーを操っていたが、その事をコワルスキーは知らなかった。

一方のジャックは、メアリー・ケイトに感染したまま、メアリー・ケイトの死刑執行が発動しないように
必死に傍に居てもらえる人物を求めて彷徨っていた。 とにかくジャックとケリーとコワルスキーの3人
は、瀕死の重傷を負ったりメアリー・ケイトの死刑執行に怯えながら散々な目に合う。 

最後ジャックは、離婚調停中の自分を裏切った妻に別れのキスをして密かにメアリー・ケイトに感染させ
たのは痛快だったし、ケリーがジャックに毒を盛ったというのも嘘だった。
そして、ジャックとケリーとコワルスキーは、メアリー・ケイトに感染している人の血液を小さな瓶に入
れて肌身離さず持ち歩いてメアリー・ケイトの死刑執行発動を防いでいく事になるが、そんなんでこれか
らずっと一生を過ごしていくのだろうか。 

更にケリーが広めてしまった感染者が1万4千人にも及び、今後感染者は増え続けていくだろうし人類は
どうなってしまうのだろうか。