




主人公の男性は、6年前に人妻と不倫していたが、妻を愛している事を再認識し短期間で関係を断った。
しかし、その女性が自分を捨てた主人公に罰を与えるようにわざと家族と共に近くに引っ越してきて、
息子は6年前のあなたとの子供だと言った。 実際にその子供は、主人公と同じような身体的特徴を持っ
ていた。 そして主人公は、かつての不倫相手の女性から執拗に関係再開を迫られる。
そんな折、誘拐事件が起こり主人公の息子が誘拐されたが、それは犯人が主人公のかつての不倫相手の
女性の子供を誤認して誘拐したものだった。 子供を間違えた事に気付いていない犯人から主人公へ身代
金要求の電話があり警察に連絡する。 刑事らと主人公夫婦、誘拐された子供の両親らが固唾をのむ中、
主人公が6千万円の身代金を用立て犯人の指示に従い身代金の受け渡しに向かうが失敗し子供は殺害され
てしまう。 息子が死んだのはあなたのせいだと主人公に詰め寄るかつての不倫相手の女性。
そんな主人公の息子も夫婦の実子ではなく妻の死んだ妹の子供を養子として迎えたものだった。
主人公は、誘拐事件の犯人は、自分の息子の顔もよく知らない義妹の夫で、自分の子供を取り返そうとし
てのものだと考えたが、義妹の夫には、犯行時刻に推理作家の法月綸太郎とずっと一緒にいたという完璧
なアリバイがあった。 そんな中で義妹の夫が密室状態で何者かに殺害されてしまう。
義妹の夫が殺害されたのは主謀者である犯人の共犯か、何か事件の真相を知っているから口を封じられた
と考えるのが自然で、 探偵役の法月綸太郎は、犯人は子供を間違えて誘拐したのではなく、最初から不
倫相手の女性の子供を狙ったものだと推理する。
そうなると事件に関する容疑者としての登場人物が、両家族夫婦と義妹の夫と主人公の妻の義父の6人
で、主人公は当然別にして不倫相手の女性が自分の最愛の子供を殺害するはずがないし、主人公の義父
は、主人公とその隠し子に苦々しい思いはあるだろうが殺人を犯すほどの動機があるとは思えない。
そうなると義妹の夫は既に殺害されているから残りは主人公の妻か不倫相手の女性の夫しかいなくなり、
義妹の夫と不倫相手の女性の夫が面識や接点などあるはずがないから、おのずと犯人は主人公の妻しか
いなくなる。
事件の細かな真相とか役割とかアリバイの事は置いといても、まだ終盤前の段階で犯人当てがこんな簡単
でいいのかな? 終盤、不倫相手の女性は主人公の息子を誘拐し、主人公と妻を呼び寄せ妻に過去の不倫
をぶちまけるが、妻はすでにその事を知っていたのだった。 主人公は、隙を見て突撃し息子を助けよう
として刺され、不倫相手の女性は、主人公といっしょに来ていた警察に誘拐と傷害で逮捕される。
最後、病院から退院し妻の実家に預けていた子供と共に帰宅したら妻の姿はなく何故か法月綸太郎が家に
いた。 そして、法月綸太郎から事件の真相並びに犯人を教えてもらい自分の妻が犯人で自殺を遂げた後
だと知る事になる。 妻の犯行動機は、最初に妊娠した子供を掛かりつけの産婦人科の看護師だった夫の
不倫相手の女性に、お腹の子供を流産させられ子供が産めない体になった事(と妻は思っている)に対す
る復讐で、すべては過去に主人公が蒔いた種が原因によるもので悲しい事件だけど内容は面白かった。